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日本に戻ってきた

【日本に戻ってきた】


 なんとか騒動も乗り切ったので、日本に行くことにする。

 次元の狭間を中継地点としたルートだ。


『ロレンツォ、私も連れてって』

『えー、めんどい』


『あのな。回復持ち、鑑定持ちがどんだけ便利か知っとるやろ?』

『マリア、スィーツ食べたいだけでしょ』


『えーから、行くで』


 マリアはこうなるとホントにめんどいので、フードに彼女を放り込み、

 教えてもらった次元の狭間への転移魔法陣に向かった。



『ほう。また来たのか』


『今度は日本に行ってみようと思いまして』

『うん、問題はないが、ちょっと修練する必要があるの。あそこに修練の間があるからしばらく修行じゃ』


 ロレンツォとマリアはしばらく次元の狭間に滞在して、

 アーチェミーさんのプログラムに従い、修練を続けた。


 そして、いよいよ日本に行くときが来た。


『では行ってまいります』

『ああ、気をつけて。ただし、滞在できる期間は1週間。それ以上だと異常を感知されて“管理者”に気取られてしまう。あと、お土産はいらないよ』



 転移魔法陣に入り、日本に向かった。

 一瞬あとに、コンクリートに仕切られた窓のない部屋に転送された。


『これが、アーチェミーさんの研究所の地下室か』


 まずは、いろいろと魔法を発動してみる。

 問題ないようだ。


 攻撃魔法とかは使う機会はないかもしれないけど。

 転移魔法、飛行魔法、マジックバッグなど、

 有用な魔法は使えないと不便だ。


 僕はアーチェミーさんに教えてもらった通り、結界を抜ける魔法で外に出る。

 ここは○○県の郊外の森の中だ。

 時間は早朝のようだった。


 ここからは僕の住んでいたマンションまで飛行魔法で30分ほどだ。

 場所がわかっているので、迷うことなくマンションの屋上に降り立つ。


 鍵開けの呪文はアーチェミーさんに教えてもらった。


 部屋の中に人の気配がないのを確認して部屋の中に入ってみる。

 だって、転生してから10年近くたってるからね。

 僕が両親から受け継いだマンションだけど、流石に管理人とか騒ぐでしょ。



 ところが、驚いたことに、部屋は全く以前と変わっていない。

 カレンダーを見ると、日付があの日のままだ。

 PCもまさにゲームにログインする画面のままだった。


『これが転生前のロレンツォの部屋か。清潔な部屋やん』

『うん。しかもどうやら転生した直後の部屋みたい』

『転生してから10年ぐらいたってるでしょ?』

『向こうの時間とこちらの時間はリンクしていないみたい。よくわかんないけど』


 仮に時間が進んでいたとしても、親兄弟も友達もいないから、僕が消えても問題ないけどね。



『よし、ここを拠点にしよう』


 部屋の中にアーチェミーさんの研究所への転移魔法陣を設置する。

 部屋が狭く、転移魔法陣をなんとかおさめる。


 それから、着替えだ。

 流石に中世風の衣装では恥ずかしい。


 幸運なことに、サイズはさほどおかしくなかった。

 前世の僕は身長が178cm。

 ロレンツォも178cm。

 体重も痩せ型で似ている。

 脚の長さが若干違うのが悲しい。



 時計を見ると、まだ朝の6時ごろだった。

 外出するために、マリアと打ち合わせをする。


『マリア、この世界にはカメラとかビデオとかいうのがあってね』


 僕はスマホを取り出して、マリアを撮影した。

 そして、パスワード付きの画像投稿サイトにアップした。


『これで、マリアの写真は多くの人が見ることになる』

『多くの人?』

『最悪、世界中の人が見ることになるよ』


 それは非常に不味い。

 だから、カメラやビデオに映らなくなるようなオーラを二人で開発した。

 一種の結界魔法の延長でなんとかなった。



 ホッとした僕はフードに猫マリアを放り込んで、近くの公園に向かった。

 昔の僕の散歩コースだ。


 通勤途中の人が足早に駅に向かっている。


 僕とは逆方向になるので、多くの人とすれ違う。

 ただ、女性がジロジロ見てくる。


『あれ、変な格好してるのかな?』


 10年ぶりだから、服の感覚が狂っているのかもしれない。

 気になりながら、チラッと女性の方へ目を向けると嬌声が起こる。


 知らずに女子高生の集団の通学途中に出くわした。

 大変な騒ぎになった。

 僕の周りを女子高生が囲む。

 スマホで撮影している不届き者もいる。映らないけど。


 ああ、僕は絶世の美男子ロレンツォだった。

 転生前はフツメンだったから、こんな状況に慣れてない。


 昔はモテる人を羨ましく思ったこともある。

 実際に経験するとあんまり気持ちの良いものではない。

 正直いえば、うざったい。


 ところが、変身してもイケメン状態を脱することができない。

 動物とかだと問題なく変えたりできるのに。

 人間の変身だけはあまり変化をつけることができないのが恨めしい。


 かといって、猫の姿に変身しても色々動きにくい。

 特に都市は人間に都合よくできている。


 マフラーを口元の周りにぐるぐる巻きにする。

 春先だから、さほどおかしくはないだろう。


『これやと、私も人間の姿に戻れんわ』

『ああ、大騒ぎ間違いなしだ』


 マリアは中身はともかく、外見は絶世の美女だ。

 マリアに比べると、日本人の芸能人などお茶漬けレベルでしかない。

 中身はあれだけど。


『ロレンツォ、余計なこと考えておらんやろな』

『マリアは人前でスィーツを食べることができないね』

『あほか。そんなん関係あらへん』


『猫の姿でペロペロすると店員さんが怒るよ』

『当然、人間に戻ってペロペロするわ』


 仕方がない。店のそばまで猫の姿で、どこかで変身を解こう。

 その前に、マリアに服を買ってやらねば。

 今は猫だからいいけど。


ブックマーク、ポイント、感想、大変ありがとうございます。

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