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ボネース帝国が攻めてきた2 その頃、上空を飛行する竜騎士部隊

【ボネース帝国が攻めてきた2 その頃、上空を飛行する竜騎士部隊】


『おい、地上部隊も川からの攻撃部隊も大変なことになっているようだな』

『ああ、敵は強力な魔法使いとテイマーらしき大蜘蛛使いが報告されている』

『こりゃ、我が竜騎士団が美味しいところを全部かっさらうってか』


 竜騎士団は無敵を誇る。


 この時代、空からの攻撃は他に例がない。

 1頭のワイバーンであっても千人クラスの軍団が太刀打ちできない。


 それが100頭の竜騎士が勢揃いしている。

 彼等の鼻息は天に昇るほど荒い。



『おお、見えてきたぞ。距離は5kmというところか。なにやらでこぼこした要塞だな。よし、各自戦闘態勢に……うぎゃっ!』


 指揮官がそう命令を言い終える前に、指揮官の竜は未知の攻撃で撃ち落とされた。

 無論、ザップ要塞から発射された魔導バリスタの初陣である。


『敵は長距離砲を持っているぞ!警戒しつつ突入せよ!』


 さすが、鍛え上げられたエリート竜騎士たちである。

 突然の事態にも慌てず、副官が指揮官からすぐさま指揮を受け継ぐ。


 しかし、あわれ次々と撃ち落とされる竜騎士。


 運良くバリスタの波状攻撃をかい潜った竜騎士は結界魔法に遮られて方向を失い、無様に地面に激突する。



 ザップの星形要塞。

 高さ5m、厚さ3m、堀あり。

 結界、防壁魔法がかかっている。


 対空砲が要所に備えられている。自慢の魔導バリスタ。

 矢は強い魔力を自動で追跡する優れもの。射程距離5km。

 しかもステルス魔法がかかっており、視認が困難。

 魔導バリスタは魔石により補充されるので、ほぼ装填数に限りがない。


 竜騎士部隊は100頭ほどでザップを襲いにかかるが、

 魔導バリスタや結界でどんどん撃ち落とされる。

 竜騎士に攻撃の暇を与えない。


 半数が撃ち落とされたところで態勢を改める竜騎士軍団。


『信じられん。無敵の竜騎士軍団があっという間に半壊だと?』


 すでに副官も撃ち落とされ、命令系統が混乱しきっている騎士団。

 一旦、退却するのが冷静な判断というべきかもしれないが、

 彼等は目の前の惨劇が理解できない。


 自分たちの戦力に過剰な自信をもっていたからだ。

 その迷いが判断を狂わせた。



 そのとき、ロレンツォは騎士団の上空、太陽の方角から忍び寄る。

 生き残りの竜騎士をターゲッティング、風魔法を竜騎士の数だけ発動して、彼等にぶつける。


『『『『『うわー!!!』』』』』


 あっと言う間に竜巻に巻き込まれて地上に落ちていく竜騎士団。

 攻撃開始から僅か1分で全滅した。



 撃ち落とされた竜は継戦意思をなくし、山へ逃げていく。

 竜騎士は捕虜とする。


 竜は魔力で空を飛ぶ。

 あらかじめ、竜騎士団を想定して魔力を無くす魔道具を開発。

 この魔道具により、空の自由を奪い、竜を捕縛した。



 大勢の帝国の指揮官、竜騎士、竜を捕縛した。

 人質返還交渉はあっという間に終わった。

 人質は全員地面に埋めておくだけ。食事の用意もしないと伝えてある。

 それを交渉人に見せれば、帝国側はすぐに交渉をまとめた。


 なお、竜は1頭だけ残した。

 スィーツをあげてたら、ロレンツォになついてしまったのだ。


『GRGRGR(主に忠誠を誓います)』


 多分、そんなことを言っているんだろう。

 ロレンツォは竜語もなんとなくわかるみたいだ。

 同じく、ロレンツォの言う言葉も竜語に翻訳されて伝わっているみたいだ。



『今回の戦争、あっという間に終わっちゃったな』

『だよな、チラッと竜が村めがけてやってくるのは見えたけどな』


『オレたち、出番まるでなかったなー』

『そうだよ、あれだけ魔導銃とか練習しているのに』

『だよな、一度実戦であの銃を試してみたいぜ』


『魔法バリスタ係がうらやましい』

『何言ってるんだよ。遠くの方の竜めがけて適当にバリスタを発射するだけ。後は矢が自動的に竜を追跡してくれる。俺たちゃ、お茶のみながらでもやれたよ』


 村民たちは気楽な戦いに実感がわかないようだ。


『噂によると、王国軍は1万人、帝国軍は3万人以上に最強竜騎士団百体が襲来したらしいぜ』

『最強竜騎士団って……1分で全員落とされてたじゃないか』


『それに、それだけの大軍、どこにいたんだよ』

『おめえ、川の方の船の大量の残骸見てないのか』


『森の関所の方へ行ってみろよ。数百人の捕虜が地面に埋まっているぞ。あれ、全員貴族で上級指揮官らしいぞ』


『ロレンツォさま、半端ねえ。昔からおっかねえ人だけんどよ』

『神のお使い様もな。子蜘蛛の腹の中には、敵が何体か納まってるって話だぜ』


『『『『『ぶるぶる』』』』』


『昔は腹が立つこともあった妖精ピクシーだけんど、地味な活躍をしたらしいな』

『ああ、森の中を彷徨い歩かされると、ホント、HPが削られるもんな』

『姿形は癒やし系の癖にな』

『奴ら、遊んでるつもりらしいぜ。悪気ゼロなんだとよ』


 村民は自由気ままな話題に事欠かない。

 戦争は準備で9割が決まるってことだな。



 帝国はその後2回に渡りロレンツォの領地を襲いにやってきた。

 そのたびにロレンツォたちは圧勝。

 一般的には過剰戦力と見られた帝国の大軍であった。

 補給の観点から最大限の兵力を投入したのだ。

 だが、結果としては戦力の逐次投入となってしまった。


 しかし、仮にまとめて攻撃に来ることができたとしても、帝国側はどうにもならなかったであろう。

 それほど、森を含めたザップ側の戦力は隔絶していた。

 質は量を凌駕するのである。


 帝国側は、いたずらに敗戦処理が嵩んだだけであった。



ブックマーク、ポイント、感想、大変ありがとうございます。

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