精霊がやってきた
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【精霊がやってきた】
養蜂のための花畑もかなり整備されてきた。
今(春)はレンゲとニセアカシア、杏など。
野草だけど、カラスノエンドウ、イモカタバミとか。
カラスノエンドウは豆類で窒素固定を行うし、
イモカタバミは芋だから根っこが食べられないことはない。
もう少したつとヒナゲシ。虞美人草ともいわれる野草だ。
ただ、こちらは蜜じゃなく花粉目当てに蜂が飛んでくる。
あと、ナガミヒナゲシは繁殖力が非常に強い。
綺麗な花だけど、有害なので取り除く。
シロツメクサも春の代表的な野草だ。
別名、シロクローバー。四葉のクローバーと言えばこれだ。
蜂も大好きな花である。
窒素固定を行うが、それなら紫クローバーの方が有名。
農業用途に使われるのは紫クローバーだと思う。
野草に詳しいのは、前世で僕はウォーキングが趣味で、
途中に見かける野草とか鳥とかをチェックしてたため。
ヒッキーだったけど、前向きなヒッキーだったのだ。
夏はトチノキとひまわり、そば、セージなど。
秋はコスモス、ベロニカ、百日草など。
冬はビワ。
いつきても何かの花が咲き誇っている。
領民の憩いの場でもある。
外部には秘密の場でもあるので、結界が張られている。
腕輪をしていないと、結界の中では体に激痛が走る。
僕たちはここでお茶会をすることにした。
人数は10人ぐらいだが。
『今日は、特別な飲み物を持ってきました。ホットチョコレートです』
ようやくカカオを手に入れられたので、さっそくココアを作ったのだ。
ココアができたということは、当然、チョコレートも製作済である。
ちなみに、カカオの実を天日で乾燥⇒脱穀⇒実をふやかして粉砕
⇒練る⇒圧搾する
これでカカオリカー(カカオマス)とカカオバター、ココアを手に入れる。
カカオリカーは液状、カカオマスはカカオリカーを冷却・固めたもの。
『甘くてほんのちょっぴり苦くてかなり好きかも』
猫のマリアはどうやって持っているのかは謎。
取っ手付きのコップで幸せそう(推定)な顔をして熱いココアを飲み干す。
あれ?猫舌は?
『細かいことは……ry』
ああ、そうだった。では。
『本日のメインイベント。チョコレートケーキでーす』
僕はドヤ顔だ。
ココア入りのスポンジケーキにチョコレートクリームを塗り、ココアパウダーをふりかけたもの。金箔の飾り付き。とてもゴージャスに見える。
スィーツの王様と僕が思ってるケーキの登場に、みんな目が野獣になっている。
『まあ、待って。切り分けるから』
とみんなを制していると、真っ赤と言うか体が火で覆われているような小さなトカゲが現れた。
『もしかして、サラマンダー?』
精霊や妖精に詳しいらしいマリアが驚く。
サラマンダーは火の妖精だ。
体長は10cmぐらいだろうか。
目がケーキから離れない。
『ひょっとして、欲しい?』
コクコクと凄い勢いで首を振るサラマンダー。
ケーキを切り分けてあげると、猛烈な勢いでがっついた。
なお、猫マリア同様、フォークを器用につかっていた。
『ワシ、こんな美味しいもの食べたことがない。あー幸せ』
するとひょっこり、花の影から小人が顔を出した。
『ノームとノッカーや』
『君たちもケーキ欲しいの?』
額が地面につく勢いで首を振る二人。
チョコレートケーキを切り分けると、わほわほと寄ってきた。
『オイラたちにも衝撃のお菓子』
『ウンディーヌとシルフもおいでよ』
なんだか、精霊大集合だ。
精霊さんたちには僕の結界は関係ないらしい。
『ウチも混ぜてもらってよろしおすか?』
『わたくし、欲しいなどとは申しておりませんのよ』
一人だけおかしいのがいる。
『あっそ。じゃあまたの機会で』
『社交を知らないおたあけさんだこと。こういうときは、そんなことおっしゃらずに是非食べて下さいっていうのよ』
ああ、マリア以上に面倒くさいやつがきた。
こういうのは無視すると後々がうるさい。
黙ってケーキを切り分ける。
『ところで皆さんどうしたの?』
『この場所が花で賑わっておるでの。花見じゃ』
僕はいいこと思いついた。
『あのさ、僕の仕事手伝ってくれたら、毎日違うお菓子をあげられるんだけど』
ランランと目が輝く5人。
『聞いて差し上げるわ。早く言ってご覧なさい』
『ウンディーヌさん。お菓子のためにキレイな湧き水を街に』
『サラマンダーさん。鍛冶のときに高温を』
『シルフさん。街に清浄な風を』
『ノームさん。きれいな細工を』
『ノッカーさん。この辺りで鉱山の位置を』
みんな、気軽に応じてくれた。
その代わり、3時になったらこの花畑でお茶会。
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