次男レオニダ視点2
【次男レオニダ視点2】
『やっと三男が城を出ていったわね』
『はい、お母様』
『でも、安心しちゃダメよ。あの子、あれ以来とても大人しくなったけど、何かおかしいのね』
『ずっと、外で活動していたとの噂がありましたが、手がかりがありませんでした』
『それも一つね。何か隠している感じがするの』
『僕もおかしい感じがします。探りをいれているんですが。表面的には何も出ないんです』
『でも、それらしい人物が市場で目撃されたりするのよ』
『そうなんですよ。でも、城から出た形跡がありません。穴でも掘ってるんじゃないかと』
『まさかと思うけど、魔法が使えるってことないわよね』
『魔法が使えても、城から出られるような魔法はありません。姿を消したとしても門のところでばれます。結界魔法にひっかかるはずです。伝説的な飛行魔法か転移魔法が使えるというなら別ですが、あまりにもおとぎ話すぎます』
お母様と僕は度々会議を開いて、三男を廃す計画を立てた。
しかし、なかなかうまく行かない。
接点がほとんどないからだ。
奴の部屋には密かに近づけないし。
執事のランベルトが優秀で100%彼に退治される。
食事も彼等が独自にとっている。
食材は彼等が調達しているようだが、仕入ルートが不明だ。
そもそも城で調理しているのかも不明だ。
気配のないことがたまにある。
以前は城の図書室にいたこともあるらしいが、それもなくなった。
『長男や4男への計画は進んでいます。長男は上手く体調がおかしくなりました。長くないでしょう。四男は能力的に問題があります。残るは三男だけです』
『三男を物理的に排除するよう、ならず者を奴の領地へのルートに配置しました』
王位継承権でオレは2番めだ。
長男はベッドに伏すことが多くなった。
もう治らないだろう。
四男は本当に鼻垂れのままだ。
怖いのはあいつだ。
幼い頃から、神童の誉の高い。
二歳で二ヶ国語を話し、4歳で国際政治を語る。
とんでもない天才と噂された。
眠り毒事件以来、奴は大人しくなった。
才能をひけらかさなくなった。
ビビってる?そんな雰囲気はない。
年に1回ぐらい顔を合わすことがある。
大人しくしているが、目が死んでいない。
目が敵対的とさえいえる。
オレは騙されない。
絶対、猫をかぶってる。
だから、オレは手を変え品を変えて奴に攻撃をしかけていった。
全て上手く行かなかったが。
偶然じゃない。やつが俺の攻撃をブロックしている。
それと、腹が立つことにあの聖女様との仲が噂されてる。
彼女はオレの2つ下。
年齢的にもばっちりだ。
あの美形は必ず手に入れる。
そう決めて、プレゼントとかしてきた。
気張って香水もかけまくっている。
来年になったら、彼女に結婚を申し込む予定だ。
他人、しかもロレンツォとの噂は絶対に許せない。
前から父である王に吹き込んでいたように、
やつを僻地に追放することができた。
魔法が発現しないのだから、当然なんだが。
領地はザップだ。
王国でもダントツ一番の僻地。
存在すら忘れ去られている僻地。
あそこなら一生浮かび上がれまい。
ざまーみろ。
それに、オレは手をうってある。
途中にならず者を配したのだ。
ちゃんと上手くやってくれるだろうな。
これでオレは長男を廃して王になる。
そして近隣国を手球にとって、この国史上一番の王様になるのだ。
えっ、何?聖女様がいなくなった?
捜さんか、馬鹿者!
しかも、セリア姉さんもいなくなってる。
城では大騒ぎだ。
悪いことに、次の日にはオレの部下が城の塔にぶら下げられた!
奴は俺の悪事担当、ロレンツォ襲撃を計画していたのだ。
まさか、ロレンツォがやったのか?
いや、奴は領地へ行く途中だ。
何? ロレンツォに襲撃隊が瞬殺されただと?
やっぱり甘くみるのはいけない。
しっかり、ヤツをはめなくては。
次やるときは、軍隊を引き連れてくぞ。
 




