霧の王城(ミオ)2
黒い霧の中には、異形の魔物達がいた。ゴツゴツとした表皮から角の生えている人型のものから、足が沢山ある巨大な甲殻類の様なものまで、黒い霧の中に魑魅魍魎が蠢いていた。
霧に突入した使役の動物達は、次々に魔物を倒した。爪で掴み、牙をたてると魔物は叫び声をあげながらボロボロと崩れ落ち、灰のようになり、消えてしまった。
ヒョウの姿のレオナルド第一王子は、上空から一際大きな魔物に狙い定めて急降下し、一噛みで灰にしてしまった。パトリシア姫は今は別の雌ヒョウに乗り、危険の少ない上空から使役の動物達に指示を出して見守っている。
金銀の狼は地上を駆け抜けた。どこからか白く輝く狼が何頭も現れ共に走り始め、一つの群れの様になると、魔物達を四方八方から挟み打ちにし、囲い込み殱滅していった。
クリストファー王子とアカリナ、ジーヤは人の姿に戻り(爺やは動きやすいので学生仕様だった)城に向かっていた。途中襲ってきた魔物はジーヤの火魔法やアカリナの風魔法で吹き飛ばした。
「もうすぐ城の入り口ですが、あのあたりに大物がいそうですね」
傍から飛び出してきた小物を片手の炎で楽々と吹き飛ばしながらジーヤが言う。
アカリナは防護の魔法を重ね掛けしてシールドを張り、用心しながら歩く。霧は、城に近づく程濃くなり、視界を遮り、何重にも重ねた保護の下の皮膚をビリビリと焼いていく。
「この黒い霧を、取り去る事ができるといいんだけど。」
黒い霧は、魔力そのものらしく、術者の桁外れな魔力量が予想される。魔法陣か魔石で増幅させているのかもしれない。アカリナの手足の先が痺れ初めていた。
一方、ミオ達は、地面に降り立ち、黒い霧の外側で待機していた。
妖精と白いモフモフちゃん(シロ)に守られて、ジルとユーノも一緒にいる。何も出来ないどころか足手纏いではなかったかと心配になってくる。さっき王子達は、ミオ達の心配をしながらそこから動かないでと何度も言いながら霧の中へと入っていった。
王子達こそ大丈夫だろうか。アカリナは王宮の魔女なだけあって他の魔法使いより魔力が多いから大丈夫だと笑っていた。王子は、実は兄上達より僕の方が魔力量多いんだよとウインクしてくれた。ジーヤは未知数なんだそうだ。ユーノがまた衝撃を受けてフルフルしていた。
そこに先程突入したばかりの大勢の妖精達が次々と戻って来る。羽がチリチリと焼け焦げてしまっている。
「黒い魔力の霧は危険。羽が焼けてしまって入れない。」
「じっとしてて。ミオの周りにいた私達が癒すから。」
ミオの護衛についていてくれた妖精が光りながら飛び回り、輝く粉を傷ついた妖精達にかけると、焼け焦げた羽が淡く光り、すっかり元通りになった。
「すごい!いつもより」
「羽がちょっと長いよ」
「色が虹色になったよ」
妖精達がざわめく。
「ミオの近くにいたからかも」
「何だか時々フワッとして気持ちいいよ」
「ミオから何か出てる」
――あ、それ、帯電してるヤツかも。




