僕は猫(クリストファー)1
僕は、猫の姿のままずっと彷徨っていた。
3年前のあの日から。
「クリストファー王子、そろそろ出発の時間です。」
王宮の魔女、アカリナが言う。
「13才の誕生日になると、王子は皆、魔女の呪いを受けなければなりません。動物に姿を変えられ、魂をとられるのです。魂を見つけ、元の姿に戻るまで帰ってくる事はできません。」
ここは、王城の塔の上だった。銀色の満月が輝く。僕は、魔女アカリナと、ケルリア国王である父上と母上、そして爺やと向かい合っている。
「第一王子は1年、第二王子は2年かかった。まあ何年かかろうとも良い。きっと帰ってくるのだぞ。」
父上は、ちゃんと僕の事も見てくださっている。心に刻む。
ちなみに何代か前には帰ってこなかった王子もいたとか。
「見つけた魂を、愛する人の手で飲ませてもらわないと戻れないのよ。心配だわ…。でもあなたは心が綺麗だからきっといい人がみつかるわ。」
母上が目を潤ませながら言う。心配性なのだ。でも大丈夫。多分。僕はにっこり笑うと、父上と母上に挨拶のキスをする。
「坊っちゃま。爺やは待っております!命の続く限り!愛情1000ポイントで返り咲き!どうか、どうかご無事で!!」
爺や、愛情がもの凄い。爺やが飲ませてくれたら一発かも。
「ありがとう。それじゃ行ってきます。」
魔女アカリナが、呪文を唱える。僕の胸から青みがかった虹色の球体が吸い出された。アカリナがそれを掴む。僕は胸が苦しくて、呻く。身体が変化していく。そういえば、一番上の兄は綺麗なヒョウだった。二番目の兄は銀の狼だ。僕は、何に…。
耳と、しっぽがついた。グレーの子猫だった。
ええー。何でなの。兄さん達かっこいいのに。魔女アカリナの顔を見る。イヒヒって顔してる!
アカリナ!やってくれたな!きっと、僕が小さい頃背中にイモムシを入れた時の事覚えてるんだ。あんなの5才くらいの時の事じゃないか。大人げない!
「子猫ちゃん、君に決めた!」とか言って、魔女アカリナは輝く虹色の球体を、えいっと投げた。雑すぎやしませんか。
僕の魂は、銀色の満月の浮かぶ空を横切り、彼方へと消えていった。