僕は猫(クリストファー)2
僕は、塔を駆け下りる。眼下に燈の灯る夜の街が見える。この姿でも、少しの魔力は使えるらしい。身軽な猫の身体に、更に重力を少しだけ遮断して、滑るように駆け下りた。
夜の街の中を歩いて行く。僕の魂の消えていった方向に向かって。期待と、緊張と、旅へのドキドキで、胸が高鳴る。
いつまでかかるかわからないけれど、この旅が終わる時には出会えているだろう僕の愛しい人。まだ誰かもわからない。ことによると出逢えずに、ずっと彷徨う事になるかもしれないけれど、きっと会えると信じたい。
まだ始まってもいないのに、寂しくて、切ない。本当に会えるだろうか。僕の大切な人に。
銀色の満月が、ずっと見ている。
***
僕は、3年、旅をした。
最初綺麗だった毛並みはボロボロ、擦り傷だらけ泥だらけだ。
飼い猫になったり、ボス猫に追いかけられたり、魔力があるのがバレて攫われたり、別の国(オピニオ国)の王族に匿われたり、身元が分かって姫に求愛されたり(愛情ポイント達成ならず)、また旅に出たはいいが騙されて捨てられたり、フォーラ国の魔法使いの家に居候になったり。
まあ世間知らずの王子だった僕も、大変に勉強になりました。そして、王子として戻ったらやらなければならない改革や、いつかしたい恩返しや、父上や兄上に国交の上で報告すべき事もできた。
…なのに。
まだ、会えない。僕の、魂と、大切な人。
僕は、ヤマトイ国までやって来た。




