8.伏線(笑)
サブタイトルにあるように、伏線を仕込みました。わかりやすいと思います。
というかバレバレですね。
「はぁ......はぁ......そろそろ、魔力が切れる。残り、2体。シェルターの魔力を合わせても、あと1分位かな......」
戦闘開始から、もう10分が経った。さっき、ディーネ魔法が教えてくれた。
実は何分か前に、勝てないかもしれないから村の人たちを逃がすように伝えた。
それが終わったという報告の時に時間もついでに聞いておいた。
9分かけて5体。1分で2体を倒せる訳がない。
不意に、フライの魔法が解けた。海の上で戦っているから、濡れちゃうなー。
............あ、ヤバイヤバイヤバイヤバイ!体の制御出来ないのにヒュドラが近付いてくる!拘束系魔法......より、即死させた方がいいかな!?
そんな事を考えてる内に..............................
「う、あああああああああああああぁぁぁ!!!」
右腕を喰いちぎられた。
痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!
落ち着け、落ち着け落ち着け!
まずは、血を止める。
「ヒール!」
......よし、血は止まった。痛みも少しは引いた。
次は、右腕を戻さなきゃ。
「リヴァイブ・ライトアーム!......あれ?リヴァイブ・ライトアーム!..............................あ、治癒系の上級は、右手でしか使ったことがない..............................」
..........................................右腕は、諦めよう。
でも、ディーネ達は諦める訳にはいかない!!!
「この魔法で死ぬなんて、運が悪いね。言い伝えだと、転生出来ないんだって。嘘だといいね」
無詠唱で発動させる。
薄く黒がかった風に当たった瞬間。ヒュドラは砂のようになって死んだ。
あとは自分が死んで終わりかな。......あれ、何だろう?まぁ、何であっても僕には何も出来ないんだけどね......。
海に落ちてからも、色々考えてしまう。
ディーネや妹は悲しむかな。死んで転生してまたディーネに会えないかな。最後に少し見えたあれが敵だったらどうしよう。お父さんやお母さんに何もしてあげれなかったな。
............ん?あれって......ディーネ?あぁ、幻覚かな?ディーネが、セイレーンや海竜種がいる海に来るはずが無いもんね。実際、僕を食べようと寄って来てるんだし。
..........................................幻覚なんかじゃない!?
あれは、間違いなくディーネだ!幻覚なら海竜種達に襲われる筈が無い!
「コン!しっかりして!まだ死なないでよ!私が、何とかするから!」
ウンディーネだから、海の中でも喋れるのか.....いや、少し苦しそう。怪我してる。ディーネが、怪我を.....ディーネに怪我を負わせたのは、どいつだぁ!!!
何処にそんな魔力が残ってたのか、水の聖級魔法を使う。セイレーンや海竜種を空に打ち上げて、海を割る。これで空気の確保は出来た。
「ディー、ネ。フライの魔法を、使って.....今の、内に............」
「分かった!フライ!.....コン。もう、無茶はしないでよ。本当に、怖かったんだから」
あぁ、ほんとに、無茶は良くないかも.....でも、無理は、して.....ない......から............................................................
「コン!?......りして!............と.....だよ!コ......!......コ...ン......」
魔力切れ......かな?
お母さんは.......魔力切れになった魔術師は、気を失うって、言ってたけど......あ、さっきの魔法で、腕の傷が、開い............た..............................
〜ディーネ〜
ど、どうしよ!コンが、気絶しちゃった!............って、右腕が無い!?血が出てる!止めなきゃ......でも、私はコンみたいに魔法を同時に使うなんて出来ないのに............とにかく、早く村に行かなきゃ....................!?
「この男の子がねぇ......おっと!驚かせたか?俺は訳あってここに来たんだが......ちょっと急いだ方が良さそうだな。お手を拝借」
い、いきなりなんなのこの人......でも、コンの事を知ってるみたいだし............
「う、うぅ..............................」
!?
......迷ってる時間なんて無い!
「お願いします!あの村まで!」
「よし、任せとけ。その男の子を離すなよ?..............................よし、行くぞ!」
......!
こ、この人。速い!コンよりも速いかも......あ!今の内に手当だけでも!
「ヒール!」
お願い。止まって......止まってよぉ............お願いだから、止まってよぉ............!
「いくら才能があっても、まだ子どもなんだな。君達は。血が止まらないなら、ヒールよりキュアの方が良いって聞いたぞ?」
「キュア............や、やってみます!」
でも、治癒能力はヒールの方が高い......本当に、止まるのかな..............................あ!
「と、止まりました!ありがとうございます!でも、何で............」
「一重に治癒と言っても、やっぱり向き不向きがあるらしいぞ?例えば、頭痛に効く魔法でも、腹痛には効かないって具合にな。..............................さぁ、着いたぞ!早くその男の子を《医者》......ごほん!治癒系が得意な魔術師の所に連れて行ってあげな」
「あ、ありがとうございました!」
早くコンをコンのお母さんの所に連れて行かないと!
あ、あの人の名前聞いてなかった......いや、今はコンの方が先!
「すみません!コンを............」
「っ!?ディーネか!コン..............................治療をしてやってくれ。
ディーネ、よく聞くんだ。治療が終わったら、コンを連れて隣の街に連れていってやってくれないか?」
「え......?な、何でですか?」
ヒュドラは倒したんだし、他の街に行く必要は無い筈なのに............。
「素直に言おう。この村に向かって、ドラゴンが、推定50体飛んできている。もう他の人達は皆逃げた。俺達が時間を稼ぐから、逃げるんだ」
ドラゴンって............勇者様でも勝てない魔物が何で..............................
「わ、分かりました。どうか、お気を付けて」
「うん」
............あ、お父さん!
「ディーネ!必ず、生き延びるんだぞ!すぐに追いかけるからね」
「お父さんも、死んじゃ嫌だからね」
「こんなに可愛い娘を置いて死ねる訳ないよ。さぁ、お行き!先に行って待ってて」
............コンは、治療終わってるね。コンのお母さん、泣いて......い、いや!もう行かなきゃ。私がいても邪魔って言うのは分かるから............
「それじゃあ、また」
私は、隣の街。風の都・ラファーレを目指して歩きだしたーーーーーーー