34. 冒険者ギルド
「うぅ.......」
ん?もう朝なのかな?
う...眠い.......。というか、ここは?
.........................あ、そうか。王都にいるんだ。
「ふわぁ~、うぅ~。ディーネ、起きて。朝だよ」
「ん~。....コン~...おはよう」
....よし。ディーネの寝起きの可愛い顔も見れたし、今日も頑張ろう。
「坊主と嬢ちゃん。今日から冒険者かい?」
「あ、エーグさん」
宿の...主人?宿主?何ていうのか忘れたけど、それが、筋肉の塊っていうのは、驚いたなぁ。
「坊主、今、失礼な事を考えちゃあいなかったか?」
「気のせいですよ~痛いです~」
痛い.....頭を拳でグリグリされた。あの筋肉の塊に。痛すぎる...。
「ま、今日が始めてってんなら、基本を教えてやるよ。ギルドで教わると、時間かかるからな」
「エーグさんは、冒険者だったんですか?」
「まぁな。B止まりだったが...。でだ。まぁ、基本的には、一つだけ守ってりゃ良い」
筋肉の塊がBランク.......結構厳しいのかな。
まぁ、それより話だね。
「それは、上のランクのやつらに絡まれたら、殺さず倒す。無理なら、ギルドの職員を呼ぶ。これさえやってれば、怖いのは魔物だけになる」
「殺さず倒す、ですか。ありがとうございます」
「嬢ちゃんも、いざとなったら坊主の後ろに隠れるんだぞ?」
「はい。コンは強いから、すぐに隠れます!」
「ハハハ!そりゃいい。...もう行くんだな。頑張れよ!」
「はい、では」
「いってきま~す」
いやぁ。筋肉の塊だけど脳は筋肉じゃない.......いや、倒せってことは、筋肉なのかな?あ、脳筋って言うのかな。うん。
「ディーネ、頑張ろうね!」
「うん!....魔法は、中級までだよね?」
「..........忘れちゃ駄目だよ?」
「う、うん。頑張るね」
..........あ、少し不安になってきた...。
「いやぁ。着いたねぇ。まずは、受付かな」
登録登録っと。
「すいません。登録したいんですけど...」
全く戦えなさそうな眼鏡の女性が1人。少し鍛えてる男性1人。ただのイケメン1人で受付してるんだ。こういう時って、女性の所に並ぶものなんじゃ?誰も並んでないけど?
「はい。お2人ですか?こちらの紙に、名前と歳。剣士か魔術師を記入してください」
「はい。...ディーネ、書ける?」
「書けるよ!もう...コンの意地悪」
「ごめんごめん。....................はい、書きました」
名前は、僕がロイスリーフって付けなかっただけで、あとは何も偽ってない。
「...はい。では、ギルドカードの作成をしますので、10分後にここに来て下さい。この札を渡すと、ギルドカードを受けとる事ができます」
「はい、わかりました。じゃ、ディーネ、行こうか」
「うん!」
10分かぁ。ここで待ってるか、何処かに行くか...
「ディーネ、ここで待つのと、何処かに行くの、どっちが良い?」
「う~ん。どうしよっか.........」
「おい、お前ら!こっち来いよ。俺達が冒険者ってのを教えてやるからよぉ?」
「ゲヒャヒャヒャ!」
「邪魔」
初級で事足りるよ。壁まで飛ばして、バインド。
...全く。ディーネの邪魔をするんじゃないよ。
「おい、お前ら!やっちまえ!」
「うるせぇんだよジジイ共がぁ!」
「「ぐぼはっ!?」」
お。いい人材発見。
「ったく。飯が不味くなる」
「ねぇ、君。僕はコン。こっちはディーネ。君の名前は?」
「.....パジュ。なんだよ?」
......性格に難あり?でも、このくらいなら問題にないかな?
「いやぁ。僕ら冒険者になったばかりなんで、もし良ければ一緒にパーティを組んでもらいたいんですけど」
「......他を当たれば?俺はランクが低いし」
「低いのにあれですか?ますます気に入りました」
「は?気に入った?」
「幻聴です」
さて...まぁ、断られても良いけどね。ディーネと一緒にいられるし。
見たところ、剣士かな?でも、武器が鉄パイプって.....いや、木刀も?魔物を狩る気あるのかな?まぁ、大丈夫なんだろうね。
「では、僕が1ヶ月以内にBランクまで行けたら、考えてくれますか?」
「.....まぁ。それなら考えよう」
無愛想だなぁ。僕の国にはいない属性!やっぱり欲しい!
あ、でも、ツンデレはいらないかな。リオさんも、男のツンデレはいらん!そんなやつは必要ない!って言ってたし。
「じゃあ、そういうことで」
「コン!何をするの?討伐?採集?探検?私は何でも良いよ!」
「うんまぁ落ち着こうか。でも、どれもすぐに終わっちゃうしね。...討伐でも行ってみようか。歯応えのある魔物がいれば良いけど」
「コン、オーバーキルは駄目だよ?」
「わかってるよ。ディーネも、僕が教えた言葉を使えるようになってきたね」
「えへへ...コンと同じように話したいから、頑張ったんだ」
「ありがとう、ディーネ。......そろそろカードも出来たかな?行こう」
うん。パジュさんの目の前でやっちゃった。イライラしてるかもしれないなぁ。まぁ、とりあえずBランクだね。
.......あ、結局聞いてなかったなぁ。パジュさんのランク。
「はい。では、こちらがギルドカードです」
「ありがとうございます」
よし。これで、ディーネの夢を一つ叶えられた。
..........2人で竜を討伐するのは、まだまだ先だし、そもそもそこまで脅威でもないんだけどね。この夢は、夢のままなのかなぁ。
「おい、ゴニョゴニョ.......」
「えぇ!?あ...。その、ギルドマスターが、呼んでいますので、上にお上がりください」
ん?........あぁ。僕が王だってことを、マスターさんにだけ教えたのかな。
「階段を上がると、部屋が一つあります。そこが、ギルドマスターの部屋です」
「わかりました。...ディーネ、行こうか」
「うぅ~......冒険、冒険が離れていく~」
あ...まぁ、欲しいものを目の前でお預けされてるようなものだもんね。仕方ないかな。
「ディーネ。セルベアさんの魔力が近いから、セルベアさん達と合流して、先に行っておいで」
「え?でも.......」
「大丈夫だよ。すぐに追い付くから」
「...うん。わかった!レーラちゃんのことは任せて!」
「よろしくね、ディーネ。それじゃあ、僕はギルドマスターと会ってくるから」
「うん!」
あ~。やっぱり、目先の冒険には勝てなかったか。少し、悲しいかな。まぁ、これもディーネため。さて。行きますか。
....................魔力を隠しきれてない、凄く強そうなマスターさんの所へ。
1歩1歩が重いよ...魔力量凄いなぁ。僕ほどじゃないけど、量だけで言えば聖級魔術師っぽい。僕の半分.....よりはあるかな。
お母さんがちょうど、僕の半分より少し少ない位だから、やっぱり凄いね。まぁ、技術ではお母さんに勝てないだろうけど。
「失礼します」
「おう!」
おう?.......まぁ、入ろうか。
「おぉ。君がコン君か!あの龍帝をも手懐けたという」
「やっぱり、知ってましたか」
「勿論だとも!......で、一つ確認をしたいんだが」
..........いや、しないで欲しい。いや、だってさ?だって。こんな事ってあるの?
信じたくは無いね。うん。だって、リオさんの世界の、ゲームでは最弱とすら言われてるような魔物が.......
. . . .
「あの、あなたは、スライムで合ってますか?」
「おう!スライムだ!まぁ、俺の正体を知ったやつは、皆、同じ反応だ。.....で、一つ。俺は、これでも魔王なんだ。領地を持ってる。魔王であるから、神から啓示が降りたんだが....」
「っ!?」
敵!?......いや、まだ先があるみたいだね。準備はしておくけど。
「いや、やり合うつもりは無い。大陸を出た弱っちい魔王だとしても、かなりの数がやられてんだ。俺は死ぬ気はねぇよ。ギルドマスターってのは、結構気に入ってんだ」
「大陸を...あなたは、元大陸の?」
「おう。向こうで魔王をやってた。これでも、上位に入るくらいには強いんだぜ?」
「..............」
まぁ、確かに。はっきり言えば、うちの魔王なんかよりずっと強そうだ。見た目プルプルしてるけど。
というか、スライムって、剣効くの?液体みたいなものだけど。
「えい」
「おう!?いきなりなんだ!?」
「いやぁ。スライムって刃物効くのかと疑問に思いまして」
「いや効かねぇけど!?効かねぇけど効いてたら死んでたぞ!?」
「大丈夫です。隠しますから」
「そういう問題か!?」
お。この人ノリが良いね。ただ単に驚いてるだけかもだけど。
あ、ディーネ達が王都から出た。僕も早く行かないと。
「え~と。あなたは、蒸発させなくて良いんですね?」
「......スライムには効果的だな。これから気を付けよう。まぁ、蒸発させなくて問題無い。むしろ、支援してやるよ」
「え?」
何言ってるのこの人?
「俺は、魔王だからな。ここにも、向こうの大陸にも、情報をくれるやつがいるんでな。大陸の魔王の大半は、神がぶっ壊れて世界を壊そうとしてることに気付いてる。あいつらは、馬鹿やって平和に暮らせるなら、神だって裏切るさ。元より、俺達は魔王、なんだからな」
「..........でもそれだと、勇者みたいな存在を作り出してきそうですけどね」
「................そうか。その可能性もあるのか」
あ~。ディーネが離れていく~。
よし、終わらせよう。
「じゃ。そういうことで」
「いや、どういうことだよ!?まぁ、忙しいのなら、止めない。今回は、少し情報を渡したかっただけだからな。用は済んだ。また会おうぜ!」
「はい。では」
..........よし、扉は閉めた。一つ言いたかったのは......
「声、渋かったなぁ.......」
まぁ、良いか。
早く追い付かなくちゃ!




