20. 成功と失敗
「いやー、悪いな!顔見知りってだけで頼み込んじまって!」
「いえいえ。私共はあなたの武器防具のお陰で、こうして仕事が出来ているのですから!お気になさらず!」
「おぉ〜、そうかい?じゃ、ご贔屓に!..............................どうだ?俺がいて正解だったろ?」
「みたいですね。まさかこんなにあっさりと門を抜ける事が出来るなんて、思いもしませんでしたよ。......いざとなったら魔法を使う気でしたし」
ダスティさんが王都の兵士と見解があったなんて。
まぁ、商売をしてる以上、会う事もあっただろうけど。
「とまぁ、無事に王都に入れた訳だ。後は領主にしてもらうだけだが.....念には念をだ。魔術師の魔力回復の為今日は自由に行動していい。
.....という名目で楽しめ!」
「お!リオにも良い所あるじゃん!」
「ブイ。少し買っておきたい物があるのだが、いいか?」
「おう、いいぜ。宿は......あれだよな?んじゃ行くか?」
「うん。荷物を沢山持ってもらうから覚悟しておけ?」
「その為かよ......」
(......計画通り。これで俺のイメージも少しは変わっただろう)
あ......そういう意図で自由にしたんだ。
でも、折角の王都だし、楽しまなきゃね。
「ディーネ、僕達も行こうか?」
「うん。リオさん。それでは、宜しくお願いします」
「任せとけ。交渉においてはコンより自信がある」
(自信はあるが、上手いとは言ってないからな.....)
この人、信じても良いのかな?
それより今は、観光だね。お金はリオさんから取ったからある。無いのは時間だよね......。
............................................................。
「ディーネ!行こう!」
「え?うんーーーーーーーーーーーー」
「おいコラ待て!俺の金を取っただと!?......使いすぎるなよ!」
あれ?てっきり怒られるかと思ったんだけど、他にもお金を持ってるから多少の余裕があるのかな?
まぁ、そういう事なら楽しませてもらおう!
「ディーネ、何処に行ってみたい?」
「う〜ん......じゃあさ!向こうの、お店がいっぱいある所行ってみようよ!」
「うん」
お店かぁ。村でまともに行ってたお店はレオールさんの魚屋くらいだったなぁ。
ここはどんなのがあるんだろう?
「コン!見てみて!凄く綺麗だね!」
えっと......ペンダントかな?青色だけど、何というか......透き通ってるって言うのかな?色付きなのに向こうが見えそう。
「お嬢ちゃん。それは、水精石って言ってね、地下深くにある鉱石さ。しかも、水の近くにしか無くて、1日に1回だけど、魔力を通すと水が一滴出る面白い物さ。それはお試し用だから、魔力を込められるんなら込めてみな?」
「あ、はい」
あの鉱石って、込めれる魔力の限界はあるのかな?
あ、本当に水が出た!
不思議な鉱石だなぁ。
............あ、ディーネのあの顔は、欲しいと思ってる時の顔だ。
「それ、幾らですか?」
「......それがねぇ、この鉱石は珍しいけど需要が無いって価値も低いんだよ。買う人がいなくてね。正直、置き場に困ってる訳さ?」
あれ?これって、もしかして............僕の事試してる?
「では、かなり安く出来ると?」
「まぁ、安くはできるけどねぇ?こっちとしても安く買って高く売りたいしねぇ?」
うん。これは確定だね。僕のことを試してる。
だったら、徹底的に攻めてみよう。
「安く買って、ですか?あなたの手はそこら辺の商売人とは違いますよね?マメが出来ていて、かなり使われた手だと思いますね。
例えば...そう。鉱石を掘るとか?」
「へぇ......君は結構頭がまわるんだね?でも、どうして鉱石を掘ってると思うのさ?」
やっぱりそこを突くよね。
「正直、最初は分かりませんでしたよ?指の腹の傷跡を見るまでは」
「つまり?」
「自分で掘って、形も自分で整えている。という事でしょう。
細かな所にも注意を向ければすぐに分かります。
まず、その手。あと、靴の頑丈さ。隠しきれていないツルハシ。よく見ると、商品のひとつひとつ形が微妙に違う。わからない程度ですがね。
他にもまだ幾つかありますが......聞きます?」
「いや、もういいよ。気付いてたみたいだけど、試して悪かったね。あの間に色んな情報を集め、分析、結論を出す。君程の客は久しぶりだ。君の予想は全て的中してるよ。良いだろう、持っていくといいさ。無料だ」
「ありがとうございます」
合格みたいだね。それにしても、最初に見たお店の人がいい人で良かったよ。お金を多めに取られるなんてこともあるみたいだしね。
「はい、ディーネ」
「コン!ありがと!.....はぅわ............綺麗.....」
よし、決めた。
買い物をしながら、商品の値段を調べよう。
お金はある(リオさんのだけど)。それでディーネに色々買ってあげるんだ!
「あ、そうだ!これ、サービスね」
「これは?」
1枚の紙......地図?何箇所か、❌されてるけど、何だろう?
「それは、商品の原価を知らない旅人から金を多めに取る店さ。気を付けなよ」
「あ、ありがとうございます!......実は情報収集で来た国の偉い人とかだったり?」
「まさか!そんなんじゃないさ。他の店のおかげでこの店まで評判が落ちたら嫌だからね」
............嘘が下手なのか、わざとわかりやすくしてるのか。
人が好きだからお節介やいちゃうだけなんじゃないかな。
「ありがとうございました。また来ますね」
「あいよ。また面白いのを並べておくよ」
うん。ここなら安心できるかもしれない。
「じゃあ、ディーネ。いこーーーーーーー」
「や、やめてぇぇぇ!」
っ!?今のは!?
「コン、行ってみよう!」
「うん!」
何があったんだろう?周りの人も気にはなってるみたいだけど動かない。一体何が.....?
.............そこの角を曲がれば......!
「おら!さっさと渡せ!」
「や、やめてって言ってる!人族は己の言葉すら忘れたんですか!」
「んだとぉ!?馬鹿にしーーーーーごがあ!?」
「あ、すいません。水魔法で遊んでたら手が滑りました」
さて、と。
やっちゃった!?意識してなかったとはいえやっちゃったよ!威力は抑えたけど当てちゃったよ!起き上がらないよどうしよう!!?
......って、あれ?襲われてたの女の子?というか、エルフ?
「やぁ、大丈夫?遊んでたから、方向とか分からなかったけど、当たってない?」
「............下手すぎ」
「ん?」
「いや、ありがとう!全く困ったものだよ!何もしてないのに物を取ろうとしてくるんだから!」
............お?乗ってくるつもりかな?
兵士も来たみたいだし、本格的に演技をしていこう。
「ほんと、そこに倒れてるおじさんは人のものを取ろうとする悪い人だからねぇ?次からは気をつけよう?」
「そうだね!気をつけよう!」
「君達があの男を止めたのか。我々兵士がすべき事をやってくれてありがとう。おかげで、目立った被害は無いようだ」
信じちゃってるよ。まぁ、信じてもらわないと困るけど。
「いえ、僕は水で遊んでてあの人に掛けちゃっただけですから」
「アタシも物を取られないようにしてただけですから!それでは、失礼します!」
おー、強引。ていうか僕を引っ張ってるのは何で?
「ディーネ、行こう!」
「う、うん!」
さて、何処まで行くんだろう?
左に曲がって右に行って右左左右............
「ここなら、誰も来ないか」
「エルフさん。付いてきてください」
「気付いていたのか!?......なら、付いていくことは出来ない」
「じゃあ、しばらく眠っていてください」
「なに?子どもに何が......でき............まさ、か.....まほ.........う............」
さて、本当にどうしよう。とりあえずリオさんの所に連れていこうかな。
「この人の予定とか聞かなくて良かったの?」
「........................あ、れ?」
この人が待ち合わせとかしてたらまずい事になる......。
あぁ、やっちゃった............。




