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4.パン屋の私と魔法の先生

今回は少しだけ長いです

騎士のニコラスさんとブランドンさんと別れて図書館に向かう。10分ぐらい歩いて着いた。ふぅ、結構暑くなってきたなぁ。


少しばかり説明しよう。この国では1年を4つに分けて考える。

春はブラタ、夏はサター、秋はホマン、冬はクランという。1つの季節で、90日間ある。


今日はブラタの71日目となっている。そろそろ、サターの季節になるので日差しが強くなっている。


図書館は水魔法と風魔法の応用で冷やされているためとても涼しい。サターの季節になると人が集まる場所だ。


ちなみに本の貸し出しは魔力で行う。この世界の生き物は全て少なからず魔力というものを持っている。だが、持っているだけで使える人は平民にはほとんどいない。


どうして平民ではほとんど使える人がいない魔法を私が使えるのかというとそれは今、20歳の私が15歳だった頃にさかのぼる。






あれは15歳のホマンの季節だった。


私はいつも通り学校からの帰り道に図書館に寄っていた。このころの私は図書館へ行っては魔法の本を読み、どうして平民には魔力があるのに魔法が使えないのか?ということを考えていた。


学校の友達などからはそんなことどうでもよくない?や、そんなこと考えるなんて時間の無駄だろ?などと言われてきたが私は調べるのをやめなかった。


今日、借りる本を決めて貸し出し手続きをしようと席を立とうとした時に話しかけられた。


「君は、魔法に興味があるのかい?」


いきなり話しかけられて驚いた。だけど驚いたのはそれだけではなかった。学校の友達も、どうせ使えないのになどとバカにされたり相手にされなかったりしたのに、この人は真剣な顔で質問をしてきた。


その顔を見た時この人は今までバカにしてきた人たちとは違う。と思うことができ私も正直に話すことが出来た。


「はい。どうして魔力があるのに平民と呼ばれる人々は魔法が使えないのかということが気になっています。」


そういったとたん彼の雰囲気が変わり、先ほどの真剣な顔とは違い笑顔になった。


「そうか…そうだな君はうってつけだ。まぁ一応自己紹介しておこう。私の名前はオースティン、こう見えても一応魔術師というものをしている。」


がっしりとした体つきで兵士や騎士などの仕事についていそうだが魔法の改良などが主な仕事の魔術師とは…しかも魔術師といえば1年で1人とればいい方といいつくのが難しい仕事で、就いている人は皆、貴族だという話だ。


「あっ、私の名前はアンナと言います。今は学生として学校に通っています。」


「そうか。それでどうして平民が魔法が使えないのか?ということだったね。実は本には書いていないと思うが、魔法というものには属性と質というもが関係してくる。属性は知っているよね?」


答えてみろ。というように彼は片眉を上げる。


「えっと、火、水、雷、土、風だったと思います。それと特殊ではありますが、闇、光といった属性もあるかと思います。」


「あぁ、正解だ。では質というものは本などには書いていないから私が説明しよう。…そうだな例えば、火をつけるとき油と水が混じったものと油だけのものどちらの方が火がつきやすい?」


「油だけのものです。」


そこまで答えてようやく気がついた。つまり、油と水が混じったものを平民の魔力、油だけのものを貴族の魔力にたとえているだ。つまり、平民の魔力は色々な属性が混じっている。逆に貴族の魔力は純粋に1つの属性だけなのだと言いたいのだろう。


魔法というものは質が大切だと言っていたのでやはり平民には魔法は使えないのだろう。そう思ったのだが、それは次の言葉で覆される。


「その様子だと気がついたようだな。まぁ、おそらく君が考えてる通りだろう。だが、平民のほとんどが魔法が使えないというのは間違いだ。」


「えっ⁉︎」


「平民でも魔法が使える人がいるだろう?その人たちは、魔力を属性ごとに分けて使っているんだ。」


さっぱりわからない。困惑顔で見ていると苦笑しながら続きを話してくれた。


「つまり、純粋に1つの属性だけにうまく分けて利用しているということだ。」


そうか!ということは、分けることができれば平民でも魔法が使えるということか。


「だが、この分けるという作業がとても難しい。これは才能というものがないとできないだろう。しかし、分けることができれば様々な魔法が使えるだろう。」


才能かぁ。私にはないだろうな。そう思っていると


「私は君に才能があると思うんだ。だから私は君に声をかけた。君は平民としてはありえないほどの魔力を持っている。きっと色々な魔法が使えるだろう。しかも理解も早い。…無理を承知で頼む。私の研究に付き合ってくれないか?実は私は、平民が魔法を全属性使えるか?ということを研究しているのだ。」


この誘いを受ければ、使えないと思っていた魔法が使えるようになる。そう思っただけで答えは既に出ていた。


「ぜひ、お願いいたします!」


「そうか!では…そうだな、毎月下1桁に2がつく日に図書館で待ち合わせ、というのはどうだろう?時間は…16時から17時までの1時間というのはどうだろうか?」


10日に1回、1か月に9回か、ちょうどいいぐらいだろう。


「はい、よろしくお願いします。」


ここから、私はオースティン先生と魔法の勉強を始めて、1年間で火、水、雷、土、風と、基本の5つの属性の魔法を使えるようになった。





そういった訳で私は魔法を使うことができる。ちなみに闇や光は、まだ使うことができない。今は属性に分けるので精一杯だ。ちなみに火と水は応用魔法まで使えるようになった。それもこれもオースティン先生のおかげだ。


今でもまだ、下1桁に2がつく日に魔法を教えてもらっている。オースティン先生の研究はまだ続いているようだ。


今日は、最初に言った通りブラタの71日目なので魔法の勉強は明日だ。


今日は1時間だけだと決めていたので、帰る用意をする。


図書館から出て道を歩いているときにそれは起こった。あのときあの道を歩いていなければこんなことにならなかったのに…と後悔するのはもう少し後の話だ。


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