3.パン屋の私と騎士の彼
すみません。設定があまいかもしれませんが大目にみてください。
買い物をしていた時に、レイラさんから盗賊の話を聞いてから1週間近く経過した。
未だに犯人は捕まっていないらしい。早く捕まるといいなぁと思いながら、お店を開ける。
よし!今日も頑張るぞ‼︎
「いらっしゃいませ。」
本日1人目のお客様がやってきた。それに続くかのようにたくさんの人がお店に入ってくる。
平日のオープンする時間12時は、仕事している人などもお昼時のため、とても混雑する。だいたい13時ぐらいまでがピークだ。それまでにほとんどのパンは売り切れてしまう。
目が回るぐらい忙しい時間が終わりようやく一息つく。
大変だった。でも今日の一回目のオープンは終わりだ。
そう、このパン屋さんは1日2回に分けてオープンする。1回目は12時から15時まで、2回目は18時から20時までだ。
今は15時、次のオープンまでに3時間ほど余裕がある。そういえば最近、図書館に行ってなかったなぁ。と思い出したので行ってみることにした。
「お父さん、ちょっと図書館に行ってくるね。」
「あぁ、わかった。次のオープンする時間までには帰ってこいよ。」
「はーい」
この街の図書館は私の家のパン屋さんから歩いて15分程度の場所にある。
今日は、料理の本でも借りようかなぁと考えながら歩く。
すると、前から見たことがある人が歩いてきた。
あの人は確か…そうだ!最近よくパンを買いに来てくださる貴族様だ。
「こんにちは」
「…はっ こんにちは」
いきなり話しかけてきたので少し驚いた。とっさに返したが大丈夫だっただろうか。
「ごめんね。いきなり話しかけて。」
いつも来てくださる彼の隣にいた人が話しかけてきた。
「大丈夫です。」
「えっと、俺はニコラスっていうんだ。…いつもパンを買っているこいつはブランドン、これでも一応、騎士だ。」
騎士だったとは。やはり貴族だったようだ。騎士はほとんどの人が貴族だと、しかも今の騎士団に所属している人で平民なのは1人しかいないと聞くためおそらく貴族だろうと思う。
「遅れてすみません。私の名前はアンナです。いつも私の家のパンを買って頂き有難うございます。」
「あぁ、いつも美味しくいただいているよ。」
よかった。パン屋にとって美味しいと言われるのはこの上なく嬉しい。料理を作っている人なら分かるだろう。
「そういえば、どうして下町などにいるのでしょうか?騎士様といえば城の警備をしているはずですが。街の見廻りは兵士の仕事では?」
「あぁ、最近ここら辺に盗賊が現れたのは知っているだろう?」
知っていたので首を縦にふる。
「実はこの盗賊が魔法を使うということで俺たちが見廻りをしているというわけだ。」
ニコラスさんがそう教えてくれた。…魔法かぁ。魔法は貴族様ぐらいしか使えない。たまに平民にも使える人がいるそうだがあまり多くはない。
実は私も魔法を使える。それは、火を操る魔法だ。パンを作るためのカマドにいつも火を入れたりしている。
「そういうわけだから今日はもう家に帰ったほうがいいだろう。」
ブランドンさんが言ってくれる。だが図書館に行くぐらいはいいのではないか?
「実は、図書館に行こうと思っていたところでして、すぐそこなので行ってもよろしいでしょうか?」
「っ!…まぁそのぐらいだったらいいだろう。だだし、16時までには家に帰るんだ。いいな?」
「はい!では私はこれで」
この時に家に帰っていればと後悔するとはつゆ知らず私は図書館に向かった。
次回は12日を予定しています。