パン屋に通う俺
ブランドン視点です
初めてあのパン屋に行ってから2か月、あの日から1週間に一回パン屋に通っている。
パンが美味いことはもちろんのこと、パンを買えばあの子の笑顔が見れるから、という理由もある。
「いらっしゃいませ。本日はどのパンになさいますか?」
そうだな、この前とは違うパンを食べてみたいな。よし、決めたぞ。
「…そうだな、この前は確かクリームパンを買ったからな、今日はバターロールパンにしようか。」
確かニコラスが美味しいと言ってたきがするからな。
「はい、かしこまりました。では個数はいつも通り2個でよろしいでしょうか?」
「あぁ、頼む。」
なぜいつも2個買うのかというとそれを説明するには初めてパン屋に来た時に話を巻き戻さなければならない。
初めてパン屋に行った日、あの日はあのクルミパンがとても美味しくて2個買ってしまった。しかし、あとで食べようと自分の部屋の机の上に置いていたのが悪かった。
「このパンは一体何!」
母の声が聞こえて直ぐ様自分の部屋に駆けつける。なぜ部屋へ入っているのか。すぐさま問いただしたい。
「なんで勝手に部屋に入っているのですか‼︎」
「そんなことよりこのパンは一体何?とても美味しいわ。」
そんなことよりって… まぁ先に母の質問に答えておくか。
「このパンは下町で今人気のあるパン屋で買ってきたのです。」
「…そうなのね。」
「それよりも母上、どうして私の部屋に勝手に入ってきてどうして私のパンを食べているのですか?」
母だからといって許されることではないだろう。
「まぁ、いいじゃない。どうせって私が掃除しているのだから変わらないでしょう?」
そうなのだ。実は俺の家は貴族とはいえ所詮男爵程度、しかも貧乏なので使用人を2,3人雇うのがやっとといったところだ。なので母も家事などを使用人などに混じってやっている。
「…わかりました。ですがどうしてパンを食べてしまったのですか。」
「2個あるからいいじゃない。」
もう話すのに疲れた。
「あぁ、それとこれからもそのパン屋さんにいって私の分までパンを買ってきてくれないかしら?」
…なぜだろう。有無を言わさぬように聞こえる。 まぁ1つ買うのも2つ買うのもあまり変わらないだろう。
「わかりました。では次の休みの日に買ってまいります。」
「楽しみにしているわね。」
それから1週間に一回パン屋に行き、パンを2個買うことが日課になった。
「では200リンになります。」
いつも通り、ぴったりお金を払う。
「ではこれで、」
「ありがとうございます。またのご来店をお待ちしております。」
さて、家に帰ってパンを食べるとするか。