2.パン屋の私と市場のレイラさん
今回はブランドンはあんまり出てきません。
あの日初めてやってきて以来2カ月間毎週パンを買ってくれる貴族様。毎週やってきてパンを買ってくれてこちらとしてはうちのお店のパンを好きになってくれてよかったと思っている。
あっ、今日もきた。
「いらっしゃいませ。本日はどのパンになさいますか?」
「…そうだな、この前は確かクリームパンを買ったからな、今日はバターロールパンにしようか。」
「はい、かしこまりました。では個数はいつも通り2個でよろしいでしょうか?」
「あぁ、頼む。」
実はこの貴族様いつもパンを2個買っていくのだ。もしかしたら奥さんがいるのかもしれない。…ありそうだ。なにせとても整った顔をしていらっしゃるから。きっと女性の方が放っておかないだろう。
「では200リンになります。」
「ではこれで、」
ぴったり200リンいただく。いつも思うが、お金の出し方がとても綺麗だ。チャリン、などの音が一切しない。
「ありがとうございます。またのご来店をお待ちしております。」
さて、少し時間が空いた。そういえばお母さんが今日の晩御飯の材料を買ってきてって言っていた。…よし!今から行くか。
「お父さん!ちょっと、買い物に行くね‼︎」
「あぁいってらっしゃい。あんまり遅くならないようにな。」
「はーい、行ってきます。」
今日は近所にある市場で買い物をすることに決めた。実はこの街の市場はこの国で一番大きく、色んな食材や珍しい異国の品まで集まってくる。
「おや、アンナちゃん今日は何をお求めかい?」
「レイラさん、こんにちは。今日は晩御飯の材料を買いに来たんです。」
「そうかい、今日は野菜が安いよ。」
「そうなの、じゃあ今日のオススメの野菜を500リン分お願いします。」
ここのお店で働いているレイラさんは野菜の目利きがとてもうまくいつも美味しい野菜を売ってくれる。
「はいよ、500リン分ね。…そういえばアンナちゃん、最近ここら辺で強盗が出たんだってさ。気をつけなさいね。」
「そうなんですか、教えてくれてありがとうございます。」
そうなのか、知らなかった。気をつけないとね。よし、夜はあんまり出歩かないようにしよう。