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剣の道  作者: 底虎
兄妹編
20/138

悪戦

 今回の試合ルールデスマッチとは、簡単な話相手を全員倒せばいいという単純明快なルールだ。

 倒すと言っても、装置によって測定された各自の生命力に応じて設定されてあるHPを削りきると、ゲームから強制帰還されるという。


 最初の位置情報開示が行われる。

 幸の作戦によると、とにかくまずは敵味方関係なく誰かと会うように。

 味方同士で固まると狙撃による全滅のリスクが増えるからなるべくなら単体行動。

 負けそうなら、逃げること。

 この作戦のもと動くことになる。


 さて、僕の一番近くにいるのは…。

 赤いマークだ。

 どうやら、いきなり戦えるチャンスが回ってきたようだ。

 しかも、この赤いマークこっちへ向かってきてる!

 普通に迎え撃つか考えていると、ビルの中に入ってもいいということを思い出す。

 情報開示が終了すると同時に僕は急いでビルを駆け上がる。


「さて、俺の獲物はどこだ~」


 そんな台詞を叫びながら、ギョロギョロとした目付きの男が歩いてきた。

 彼は、手に鎌を持っていることから恐らくは前衛の人間だろう。

 しかし、こいつは隙が大きすぎる。

 そう思った僕は、彼が僕のいるビルを横切ると同時にビルの窓から飛び降りて、上空からの奇襲を仕掛ける。

 落ちている間に、剣に体力を注ぎ剣自体の重さを増しておく。

 敵が僕に気づいたのは、攻撃が当たるほんの少し前だった。

 彼は鎌を用いて防ごうとするも、それに至らず僕の着地と同時にまるで溶けるかのようにして消えていった。

 しかし、この時僕は1つ大きな勘違いをしていたのだが、敵を倒せたと思いそんなことを気にするほどに余裕はなかった。

 このときに考えていたのは、武器の使用上不利になるから一撃で倒せて良かったなって言うことだ。



「あいつら、大丈夫か?」

 俺は、自分の事よりも仲間のことの方が心配だった。

 開示された情報を見ると、誰かが赤いマーク2つとかなり近くにあり、願わくば俺も助けに入りたかった。

 しかし、それは叶わない。

 少し視界がボヤけるが、よくみると向こうに人がいる。

 どうやら、俺もバトルの時間みたいだ。


「まったく、せっかちだな」


「いえいえ、これも作戦ですので」


 丁寧なしゃべり方の男は、杖を持っていた。

 恐らくは後衛だろうか?

 とにかく、後衛と戦うならば一気に距離をつけるに限る。


「悪いが速攻で終わらすぜ」


 そう言って、俺は槌を展開していない棒の状態である武器で相手に殴りかかる。

 けれども、その攻撃は相手をすり抜けてしまう。


「ふふっ、残念。それは偽物でございます」


 いつの間にか後ろに回り込まれていた俺は、杖で思い切り殴り飛ばされる。

 すぐに、終わりそうなんて思っていたけど、どうやら少し時間がかかりそうだ。

 すぐさま、反撃に移ろうとするがそれもまたすり抜けてしまう。

 それなら、攻撃を受ける瞬間にカウンターを決めてやる。

 そう思い攻撃を身構えるが、俺は何もないところから攻撃を受けてしまう。

 何らかの方法で隠れているのだろうと思い、相手を攻撃するも全く手応えがない。

 くそ、相手の位置が全然掴めねえ。

 俺の能力は、せいぜい見える範囲の地面から鉄塊を突き出すくらいしか届かない。

 それに相手の位置がつかめてなければ当てることだって叶わない。

 どうすれば…俺がそう悩んでいると、相手が愉快そうに笑いながら話し掛けてくる。


「当たらなくて、悩んでいるようですねえ。折角ですし1つプレゼントを」


 プレゼント?

 あんまりいい予感がしねえ。

 相手がどこからか指をパチンと鳴らす。

 すると、俺の目の前は文字通り真っ白になった。


「私はそれほどまでに強い能力ではないのですが、こうして霧や蜃気楼を作ることが出来るんですよ」


 なるほどね。

 だから先程まで攻撃が当たらなかったわけだ。

 最初に少し視界がボヤけたのもこいつの能力が原因か。

 俺は、ボヤけたことなど全く気にしなかったが、剣太郎だったらきっとすぐに気がついていたんだろうななんて思ってしまう。

 ただ、相手の能力の仕組みが分かったところでこれでは反撃のしようがない。

 このままでは埒があかないと思った俺は、とりあえず先程まで見ていた景色を頼りに逃走をはかるのだった。

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