決意
前回のあらすじ
剣太郎は無事勝利?
サルは逃走をはかるのだった。
見えない攻撃に、視界を見えなく遮る霧。
この二つを操る男に俺は苦戦していた。
正直言って、後衛をなめていたと思う。
後衛なんて、距離を詰めれば何とかなるかと思っていたが、そんなことは無かった。
これが経験の差という物だろうか。
作戦上、ここで俺が負けるのはよろしくないよな…。
そう思い俺は、先ほどまでの景色を頼りに逃走を図ることにする。
ただ逃走したところですぐに追いつかれてしまうし、この視界の悪さじゃ思うように逃げられないだろう。
そこで、俺は地中から鉄塊を大量に発生させる。
これで、相手の視界はある程度遮られるだろう。
「ふふっ、そんな視界でどこに逃げるというのですか?」
とりあえずは、視界が晴れるまで逃げてやるよ。
「悪いが、俺の能力じゃこのビルを突き破ることはできなくてな」
そう、突き破ることができないものがある。
その突き破ることができない遮蔽物をまるでレーダーかのように能力を用いて探り当てる。
それにより俺は、なんとか逃走ルートを確保していくのだった。
「まあ、この鉄塊をたどっていけばあなたにたどり着くので精々頑張って逃げてください」
盲点だった。
これじゃあ逃げても意味がない。
しかし、いつまでたっても霧が晴れないな…。
そう思いつつも走っていると、前方から誰かに叫ばれる。
「キャアアアアアアア。霧のお化けなのです」
「いやいや、俺だよ俺」
「詐欺なのです!?」
そんなつもりじゃねえよ。
しかし、霧のお化けとはどういうことだ?
「声的に、サル君ですね。そんな霧まみれでどうしたのです?」
霧まみれ…?
そうか、この霧は場所にかけたのではなく俺の周りにまとわりつかせてあったのか。
そこで、俺は美子に今までの経緯を説明する。
「なるほど、そういうことですか。では、サル君はこっちのビルの中で霧が晴れるまで隠れていてください。私がなんとかするのです」
そう言って、美子は俺の首根っこを掴むと、ぐいぐいとどこかへ引っ張りビルの恐らくは受付の場所に俺を押し込んだ。
流石に美子ひとりでは危ないだろうと思い、美子に抗議するも
「私は、もう守られるだけの立場は嫌なのです」
その一言で俺は、何も言えなくなってしまう。
剣太郎といい、美子といいあいつらは本当に昔から不器用すぎる。
「さて、私頑張っちゃいますよ!」
私は、自分で自分を鼓舞する。
サル君にあんなことを言ってしまった手前、なんとか頑張るしかない。
サル君によれば、不可視の攻撃と霧による視界妨害をしてくるそうですが私にはどちらにも対応できるであろう力があるから、負ける気が全くしなかったのです。
そうこうしていると、正面から杖を持った男がやってきました。
「おやおや?先ほどの彼じゃないのですね」
「あなたなんて、私一人で十分なのです」
「ふむ、予知能力の御嬢さんですか…。作戦上あまりよろしくありませんが、お相手して差し上げますよ」
彼がそういうや否や、私の眼前からいきなり消えていなくなる。
そして、間もなく彼が私の右側から攻撃をしかけてきました。
普通なら、不可視の攻撃なんて当たるまで気付けません。
けれども、私はそれを難なく躱します。
達人レベルなら、気配などで察せられるのかもしれませんが、私にはそんなこと出来ません。
次の攻撃は、逆側からでした。
しかし、私はそれも躱してしまいます。
私は、この短期間で1つだけ確実に自分の意思で見れるようになった予知があります。
それは、少し後に自分に降りかかるであろう危機の未来です。
この能力により、少なくとも私は自分に来るであろう攻撃を先に知ることができるのです。
もちろん、未来は絶対ではない。
だからこそ、攻撃が当たるという未来を私は変えることができるのです。
「やはり、厄介ですね。それでは、予知できても躱せない攻撃を繰り出すとしましょう」
どこからともなく現れた男は、杖に力を込めて杖を振り下ろす。
すると、私めがけて大量の氷の塊が空から私を襲います。
サル君の嘘つき。
何が、霧と消える程度の能力者ですか。
私はそう愚痴をこぼしつつも、予知でいかに避けるかを見ようとします。
しかし、避けるには量が多すぎました。
すぐに、避けられないと察した私は、弓で氷の塊を打ち落とすことに。
ただ、その程度では量はあまり減らず、いくつもの氷の塊が私を襲います。
「こんなところで、負けるわけには…」
「そうまでして勝ちたいのですか?早くあきらめたほうが楽ですよ?」
そう言っている間にも、私の体を氷の塊が襲います。
私の体力が削られていくのが自分でもよくわかりました。
でも、私は諦めずなんとか応戦しようと頑張ります。
なんで、ここまでして勝ちたいんでしょう。
私は、私は―
今思えば昔から、私は幼馴染二人に助けられっぱなしでした。
いつか、二人を助けたい。
いつか、二人と並んで歩きたい。
もう、守られ続けるのは嫌だ。
もう、囚われのお姫様でいるのは嫌だから。
「だから、私はあなたを倒します」
そう、決意したとき頭の中に熱いものが流れ込む。
私にはこの感覚に覚えがありました。
何か重要な予知とか、見ようとしていないのに見せられる予知の感覚。
今回の予知は、いつかはわからない未来の私の映像。
その私は、杖を持って炎を操って戦ってました。
それと同時に、今は使えない筈の炎の超能力を使う感覚が頭の中に流れ込んできます。
予知能力が私を助けてくれるとでもいうのでしょうか。
私は、使えない筈の超能力が今なら、使えるような気がしました。
「面白い子でしたけど、そろそろ終わりですよ」
そういって、彼はひときわ大きな氷の塊を私の頭上に呼び出す。
もちろん、避けることも普通の弓で壊すことも出来ないでしょう。
しかし、それは私に当たることはありませんでした。
なぜなら、私の超能力によって消し去られたから。
矢に紅い炎を纏わせ弓を構えて私はこう言います。
「もう、負けませんよ?」




