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一色  作者: 相原ミヤ
火の国と来訪者
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赤に厄をもたらす色(6)

 下村登一の時と動揺に、赤と黒が悠真に力を貸してくれた。悠真の中に赤と黒が宿り、悠真は二つの色の渦の中を駆け抜けた。赤と黒は悠真を傷つけたりしない。今、悠真は赤と黒に染まり、二つの色は悠真の中にあるのだから。

 悠真は赤丸と黒の色神の元へ駆け寄った。倒れる黒の色神の身体。そして、異形の者から黒の色神を守る赤丸。二つの色の力は、今、赤丸の方が有利であった。空っぽな異形な者は赤丸に押され、身を守るために黒の色神の色を喰らい続けている。このままでは、黒の色神は命を落としてしまう。


 弱まる黒の色神の黒。

 だからと言って、赤丸が力を抜くことは出来ない。


 異形の者は黒の色神を喰おうとしているのだから。


「悠真、一体」

額に汗を浮かべた赤丸が、悠真に戸惑いの目を向けた。ここで何をしているのか。赤丸の言いたいことはそれだった。

「死なせたりしない」

悠真は一つ、赤丸に言った。悠真の取った行動は単純なものだった。黒の色神の色が弱まっている。ならば、色を黒の色神に渡せば良い。そんな単純な答えにたどり着いた悠真は、黒に色を求めた。


 黒を身体に受け入れて、悠真は黒に染まった。今の悠真は黒の色神と同じだ。


 悠真は黒の色神と同じ色を手に入れた。黒の色神の一色が流出しているのなら、反対側から入れれば良い。悠真は黒の色神の身体に触れると、その色の流れに身を任せた。

「黒の色神に色を送るとは、確かにそれは妙案かもしれないな。悠真の色で、黒の色神の身体は耐えることができるかもしれない」

赤丸が低い声で言った。ぽたりと床を叩くのは、赤丸の汗だ。赤丸は疲弊している。当然なのかもしれない。たった一人で異形の者を押さえ込み、たった一人で黒の色神の身体を守っているのだから。

 悠真が黒の色神の身体に触れると、悠真の目に流れる黒色が見えた。悠真が色を渡すたびに、黒の色神の力は強まり、異形の者は膨れ上がっていく。

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