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一色  作者: 相原ミヤ
火の国と来訪者
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赤に厄をもたらす色(3)

 黒は赤丸を避けている。それはまるで、全ての悲劇が赤丸によってもたらされたと考えているように思えるほどだ。嫌っているという言葉では生ぬるい。

「俺が何者であっても関係ない。今は、黒の色神を救うことを考えろ!」

赤丸の言葉は強い。優しいが強い。赤丸の強さが現れていた。


――のお、黒。それほど感情的になるでないぞ。


言って現れたのは赤だった。赤は優美に赤丸に向かって足を進めた。


――赤丸。そちは悪くないぞ。黒の色神が暴走したのは、黒の色神の心に弱さがあったからじゃ。

すると黒が跳ねるように走り、赤の前に立ちはだかった。

――赤、止めなさいよ。あんた、分かっているの?あんた、厄色の子を飼っているのよ。大人になるまで生かして、あんたの身に何があるか分かったものじゃないわよ!あたしは、あんたのことが好きじゃないけど、あんたが滅びるのを見ているほど大人しくないの!

すると赤はけらけらと笑った。優美に扇子で口元を隠し、駄々をこねる子供をあやすように笑いながら目を細めた。

――黒、案ずるな。赤丸は己の身の上を知っている。己の境遇を理解し、己の為すべきことを知っておる。黒の色神の身体に触れたのは、生じることで起きる反発を知らなかっただけじゃ。わらわは紺や黄緑のようにならぬ。

赤は優美に笑い、赤丸に言った。

――赤丸、案ずるな。わらわはそちを信じておる。そちを生かすことを決めた先代の赤丸や紅、赤山を信じておる。わらわが認めたのじゃ。そちの未来をな。だから、戦え。そちは紅の代わりに戦え。わらわはそちの強さを信じておる。そちの優しさを信じておる。

赤の言葉は赤く広がり、優しさを持っていた。目の前では赤と黒の攻防が繰り広げられている。赤丸と異形の者の力が衝突しているのだ。二つの色の衝突は、激しい力の渦を作り出し、建物が軋み始めた。傷ついているのに、赤丸は強い。悠真は肌でそれを感じた。異形の者は黒の色神から切り離されている。切り離されているからこそ、その力は薬師の小屋で戦った時と比較して弱まっている。だから持ちこたえられているのだ。

 力は五分五分と言ったところだろうか。悠真は赤と黒の力の渦の近くで、二つの色の攻防を見ていた。


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