表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一色  作者: 相原ミヤ
火の国と来訪者
294/785

赤に厄をもたらす色(2)

――無駄よ!


響いたのは黒の声だった。


――いざべら、止めてちょうだい。九朗を喰らっても、あなたの穴は埋まらないのよ!


黒は叫んでいた。赤と黒がせめぎあう。黒の色神を喰らおうとしている異形の者。そして、黒の色神を守る赤丸。赤丸の持つ赤が濁流のように強さを増していた。

「あなたが、黒だな」

ふと、赤丸の声が響いた。悠真は耳を疑った。赤丸は黒の姿を見ている。声を聞いている。色の姿を見ているのだ。

――あんた、あたしの姿を見ているっていうの?

黒は戸惑ったように一歩後ろに引いた。赤丸は紅の石の力を発動させ続け、異形の者を防ぎ続けていた。

「姿は見えていた。下村登一の乱の時、赤と共に悠真の前に立っていたな。薬師の屋敷で、俺が異形の者と対峙していた時、悠真を黒に染めたのもあなただな」

赤丸は黒の姿を見て、声を聞いて、会話をしている。漠然とだが、悠真は思っていた。色の姿を見ることが出来るのは特殊なことなのだと。しかし、赤丸には見えている。聞こえている。

「教えて欲しい。どうすれば、異形の者を止めることが出来る?どうすれば、黒の色神を身体に戻せる?」

赤丸の声色から焦りが伝わってきた。声が、赤丸の感情を伝えているのだ。しかし、赤丸の焦りを横に、黒は一歩、また一歩と後ろへ下がっている。


――あなた、厄色の子ね。


黒は一つ呟いた。黒の顔色が変わった。

怯えているのだ。黒は赤丸に怯えている。


――なんで、赤は厄色の子を生かしているの!だから、だから九朗は惑わされたのね。九朗がこんな目にあったのは、あんたのせいね!


黒は怯えたように叫んでいた。


(厄色の子)


黒は赤丸をそう称し、怯えていた。悠真には何が何なのか分からない。ただ、赤丸の一色と黒の色神の一色が反発したのは事実だ。赤丸が黒の姿を見ているのも事実だ。そして、黒が赤丸を見て怯えているのも事実だ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ