表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一色  作者: 相原ミヤ
火の国と来訪者
236/785

赤と異形の者と官府(14)

赤星は口には石がつなげられた紐をくわえていた。

「赤丸の石さ。紅の石は加工されているから、俺は使うことが出来ないが、他の石なら使える。今の状況で、この中で最も重要なのはこの紫の石さ」

赤星は地に紐でつなげられた様々な色の石を置くと、紫の石に鼻を近づけた。


「紅、紅、紅」


赤星は紫の石に呼びかけていた。紫の石は人を繋げる石だ。そう、説明されたことを、悠真は思い出した。


「ああ、分かっている。俺の石が近くに無いのさ。赤丸なら心配するな。ちょっと、ややこしいことになっているのはお前も気づいているだろう。異形の者は黒の支配下を抜けている。そうだ。そう。悠真もここにいる。柴なら赤菊が連れている。心配なら、誰か迎えにやってくれ。赤菊が柴を抱えて動くのは無理だろ。俺もここにいることだしな。薬師も無事だ。それで、そっちの状況はどうなっているんだ?」

赤星は頷いていた。もしかすると、紅の声が赤星に届いているのかもしれない。

「俺たちは俺たちで動いていみる。ここからなら、黒の色神の体も近いはずだ。お前が動くと、異形の者に勘付かれるぞ。野江や都南も動かせ。まず、菊の迎えからだな。異形の者はここに陣取っている。官府に進入するのは容易くないだろうな。お前は誰と一緒なんだ?ああ、義藤と秋幸か。義藤が一緒なら……と言いたいが、あいつは紅の石を持っていないだろ。双子とは言え、赤丸の石は使えないんだから。とにかく、危険なことに首を突っ込むな。それは分かっているんだろ。分かった。分かっているって行っているだろ。ああ、俺たちで黒の色神を探す。お前たちが異形の者をひきつけておく。野江と都南が菊を迎えにいってから、ここへの進入を試みる。それで良いんだろ。とにかく、義藤と秋幸から離れるな。赤丸ほどではないが、義藤も術士としては一流だからな」

赤星は続けた。

「赤丸は残していく。俺と小猿じゃ運べないからな。赤丸の石は俺が貰っておく。何かあれば、俺に連絡しろ。何、俺のことは心配するな。またな」

赤星は言うと、ゆっくりと前足を起こした。腰を浮かせると、立ち上がり悠真を突いた。

「ほら、行くぞ」

赤星は言った。傷だらけで、胴体に巻かれた包帯には血が滲んでいる。それでも平然としているのだ。どうやら、赤影たちは痛覚が鈍麻しているらしい。そう思えるほどだ。

 悠真はゆっくりと身体を起こした。関節の節々が痛み、体が石のように重たかった。


「とりあえず、黒の色神を探すぞ」


赤星はゆっくりと足を進めた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ