↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
1/23

第1話 灰燼の夢と荷運び

 挿絵(By みてみん)


 世界は今、炎に飲まれて全てが灰燼になりつつある。

 俺はその光景を見ている。

 燃え盛る炎の中で逃げまどう人々、崩れ落ちてゆく建造物。

 見つめる俺の瞳には一欠片の憐憫も浮かんではこない。

 因果応報‥‥世界の理はただそれだけだ。

 俺はただ‥‥笑い続ける。

 

 これは‥‥全てを奪われた者たちの復讐の物語。

 




 僕は王都で冒険者をしている。

 冒険者と言っても、僕はまだ下から数えて二つ目のFランク。しかも何処かのパーティーに荷運びとして臨時で入れてもらう程度のことしか出来ず、まだ戦闘経験はほとんどない。あと一つ上がれば、正式にパーティーメンバーの一員になれるし、もっと上に上がれば自分でパーティーを作ることだってできる。

 ここが踏ん張りどころだ。

「おいライル、遅れるな!」

「はい!」

 大きなリュックを背負って、今日も僕はダンジョンに潜っている。

 薄暗いダンジョンの中、戦士のボルドさんが魔物の群れに大剣を振って突っ込んでいく。

「なんだよ、ゴブリンしかいねえのか!」

“GIAAAA!”

 ボルドさんの剣の一振りで、ゴブリンが三体、同時に吹き飛んでいく。

 このパーティーはBランク。あと少しでランクアップの申請登録料が貯まるらしいので、そうなればいよいよAランク。より難しい仕事を請け負ったり、王国勅命の仕事を受けたり出来る。それよりも、この王国の勇者アルヴィンさんと、一緒に冒険することもあるらしくて、それが羨ましくて仕方がない。

挿絵(By みてみん)

「ライル! ぼうっとしてるな! 一匹、そっちに行ったぞ!」

「はい!」

 僕は腰から剣を抜いて構えた。

 安くて古い剣だけど、手入れはちゃんとしているので切れ味はいい。

“HIHIHIHI!”

「‥‥‥‥」

 手負いのゴブリンがこっちに向かってきてる。

「はあ!」

 ゴブリンが爪をたててきたけど、僕は先に剣を振った。

「!」

 だけど、ゴブリンは飛び退いて避けて、すぐに飛んできた。

“GAHAHA!”

「しまった!」

 引き裂かれる‥‥そう思った瞬間、

“GIA!”

 矢がゴブリンの体に刺さった。

 紫色の血を流しながら、ゴブリンは地面に落ちる。

 そのゴブリンが火に包まれた。

「全く、花屋の兄ちゃんはなっちゃいないねえ」

 ジェイドさんが弓を持ったまま笑う。

 その反対側にいる髪の長い女性は魔術師のフィオナさん。

「ライル君は無理しなくていいのよ」

 フィオナさんはいつも僕を気遣ってくれる人だ。

「すみません」

 僕は頭をさげた。

「あと少しでここのダンジョンも終わりだから、ライル君はここで待ってた方がいいわね」

「い、いえ! 大丈夫です」

「花屋の兄ちゃん、こっから先は敵が強くなる。そこで兄ちゃんに何かあると、依頼は失敗になる。兄ちゃんの手間賃も払えなくなっちまうんだ」

「‥‥分かりました」

 二人に諭されて僕は頷いた。

「じゃあね、あ、もし敵が来たら出口に向かって逃げてね」

「‥‥はい」

 二人はあっという間に奥に行ってしまった。

 遠くで硬いものがぶつかる音や、魔法の爆発音が流れてくる。

「‥‥‥‥」

 今日もまた最後までついていけなかった。

 ダンジョン攻略がこの仕事の条件。

 つまり、僕は失敗したことになる。

 もっと強くならないと‥‥。

 僕は握った手に力を込めた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。