死に戻り
本章に入ります。
ゆっくり更新ですがお付き合い頂けたら嬉しいですm(*_ _)m
「お嬢様」
マーサの声がする。
「起きてください、お嬢様。」
起きれないよ。私死んだもん。
でもマーサは無事だったんだね。
良かった、それだけが心残りだったから。
「お嬢様!起きなさい!」
頬っぺたをグ二グ二され吃驚して目を開く。
笑顔で私の頬っぺを押えているマーサの顔が瞳に映った。
「マーサ!」
まさかまた会えるなんて思ってなかった。
ここ天国なの?
「マーサ!無事で良かった!
また会えて嬉しいよ!
なんか若返ってるけど天国って若くなる仕様なの?」
私はマーサに抱きついて泣きながら再会を喜んだ。
「お嬢様?」
戸惑ってるマーサなんて滅多に見れない。
天国って凄い!
「殺されちゃったけどマーサとずっといられるなら何でもいい。神ノーダムに感謝を!」
「お嬢様!」
怖い顔してどうしたんだろう。
あ、そうか。
「マーサが怒るのも無理ないよね。私のせいであの後マーサまで殺されたんだから···」
私は嬉しいけどマーサは私に会いたくなかったかもしれない。
そう思うと悲しくて涙腺が壊れたように止まらなくなった。
「お嬢様、落ち着いて下さい。何か怖い夢でも見たんですか?」
夢?
夢ってどういう事?
「夢じゃない!
私はジャスパーに殺されたんだから!!」
「ジャスパー様?
昨日アゲートお嬢様の婚約者になったコーネル伯爵家のご次男のジャスパー様ですか?」
昨日?どうして昨日なの?
アゲートが婚約したのは11才の時でしょ?
えっ?
意味がわからない?!
私は自分の頭を押さえて気づいた。
なんか手が小さい···
自分の手を顔の前に持ってきたら明らかに子供の手。
下を見たら胸はツルペタで体も小さい。
急いで起きて姿見の前に立つと腰まであった髪は胸に届くくらの10才くらいの私がいた。
「$#”#&∵<*&&ง〈こ〉」
声にならない悲鳴をあげて私はぶっ倒れた。
「ごめんね、マーサ。
またあいつらから嫌味言われたんじゃないの?」
「何の心配してるんですか?
変なお嬢様ですね。」
ぶっ倒れた私をマーサはベッドに寝かせて、お医者様を呼んでくれた。
診断は精神的緊張で2、3日の安静が必要と言われたそうだ。
あの神前裁判であいつが言っていた。
マーサをクビにした時、私が泣きわめいて医者にかかり今日と同じ診断をされ恥をかいたとーー
私は死んだ後もこの世界が見えていた。
マーサが殺されたのも、神前裁判の内容も。
そして奴らが星華広場で罰を受けている所でマーサの私を起こす声が聞こえた。
何故10才に戻ったのかわからない。
わからないけどもうマーサを死なせない!
それにはどうすればいいか?
ジャスパーを誘惑しなければいい?
違う、あいつらはジャスパー関係なく私が邪魔なんだ。
利用価値があるからここで育ててるだけ。
愛情が欲しかったけど元々ないのにそんなの欲しがったって人生の無駄遣いだ。
あいつだって言ってた。
私に使う自分の時間なんかないって。
私は私の大切な人に自分の時間を使いたい。
その為にどうしたらいい?
「お嬢様、一人で考えてても妙案など浮かびませんよ。
マーサに話せませんか?」
マーサに離したい。だけどこんな荒唐無稽な話を信じてくれるのかな?
頭のおかしな子と思われてマーサに見捨てられたら·····
「お嬢様がどんなおかしなお話をしてもマーサは驚きませんから。
それこそ一度死んで甦ったお話でも。」
私の方が吃驚した。
「どうして知ってるの?!
もしかしてマーサも記憶があるの?」
そうだ。神前裁判をしたのはマーサだもん。
神ノーダムの恩恵を受けててもおかしくない!
興奮した私をマーサは困ったように笑う。
「違いますよ。先程お嬢様が天国とか殺されたと仰ったでしょう。
だからそのお話がしたいけど信じて貰えないかもと悩んでいるのではないですか?」
さ、さすがマーサ。
殺される前に神前裁判の準備を抜かりなくやってただけあるわ。
こういうのを一を聞いて···とにかく察しが良すぎる!
「今から話すことはかなりおかしな話だけど···」
マーサは優しく微笑んで私の手を包んでくれた。
「大丈夫ですよ。安心してお話して下さい。」
マーサの笑顔に勇気づけられて話した。
私がジャスパーを誘惑して婚約破棄させ、婚約者が代わりオニキスに言われた事。
ジャスパーが私を殺し、オニキスとアイツらが共謀してマーサを殺した事、そして神前裁判の事も。
マーサはずっと黙って聞いてくれた。
全部話した後マーサからの質問にも答えた。
マーサからの質問も終わり部屋は静まり返った。
マーサは険しい顔で何か考えてるみたい。
やっぱり信じられないかな。
私も他の人が死んで過去に戻ったなんて言われても信じられない。
あ、もちろんマーサが言えば別だけど!
でもこの沈黙辛いな⋯
「あのマーサ···」
マーサがハッとしたように私を見た。
「信じられないならいいよ。
私だって幼くなった自分見てひっくり返ったんだし。」
マーサが気にしないように笑って言った。
変な笑い方になったって分かってるけど。
「お嬢様、嘘だとも夢だとも思っていません。
本当はそう思いたかったのですが神前裁判のお話を聞いて真実だと確信致しました。」
マーサの困ったような悲しそうな顔を見て私の話を信じてくれたとわかった。
そしてまた大泣きしてしまった。