第三話 過去
すみませんいろいろリアルが忙しくて遅れました・・・・
これから投稿頻度上げていけるように頑張りたいと思います
第三話 過去
あの日から早くも一週間過ぎたが、あの活動場所のメンバーから何の音沙汰もない。『本当に自分はあの人たちの中に、入ったのだろうか?』そんな疑問が、あれから何度も考えてしまう。仮に、自分がそんな大層な能力を持っていたとして、どう考えても戦力になるとは思わない。それはそうなのだ、体術や魔術関連を習ってきているわけでもない、ただの”一般人”だったのだから。実際、あれから能力自体使用していない。いや、できないが正しい。どのようにして発現したものすらわかっていないものなのだから、自分で出せるわけがないのだ。
「今日も何にもないのかな」
ついにこんな言葉まで出てきてしまっている。僕は一体どこに向かわされているのか…。
「なんでそんな暗い顔なんだよ」
いきなり後ろから話しかけられたせいで僕は、素っ頓狂な声を出してしまった。
「なんだよ!びっくりしたじゃないか!」
「悪い悪い、でもそろそろ仕事がほしいでしょ?」
先ほど話しかけてきたをかけてきた剛君が平謝りで返事する。
…少し気になることを聞いた
「仕事ってなに?」
そうだ、その単語にはどんな意味が入っているのか気になった。もし、その仕事が初陣であれば僕は死ぬ覚悟を決めなければならないのだ。
「まあ簡単な仕事だよ。だだ、俺とおまえで武道会に出るだけだからさ」
終わった。もう死ぬしかない。そう僕は悟った。だが、寸でのところで正気に戻る。
「だけど、まだ戦闘のいろはすら知らない僕を武道会になんか出していいの?」
これしか自分が生き残る道はないと思い、わずかな光に助けを求めたが、
「いや、大丈夫でしょ保有者なんだから」
・・・あっさり希望は切り捨てられた。
少し時間をさかのぼり、あの放課後、黒板に一回見ただけで暗記した英単語を書いた後のことである。
「その能力、どこで手に入れた!?」
と声を上げたのは、一歩輝だった。周りの人たちは驚くだけだったが、一歩輝は焦るように、聞いてきたのだった。
「その能力は、剛とほとんど同じようなものだ!
それに加えて、こいつのこれは神器に近いものだ!
そうそう似たようなものが、二つもあってたまるか!」
僕の”能力”が、剛君とほとんど同じもの?
最初、言っていることがわからなかった。
「あの巨人を倒せる力を僕も持っている?」そう考えると、うれしさよりも恐怖に心が支配されそうになっていた。
「そんなはずはないでしょ。僕はあんな戦闘はでき___」
「いや、確かに、お前の能力は俺よりも純度の高いものだ。しかも、俺の人工的なものに対して、お前の能力は純粋な能力だ。少し、自分を誇らしく思ってもいいぞ」
…剛君が今言ったことは本当のことなんだろうか。なら、鍛えれば剛君のように巨人と同等、それ以上で戦えるということなのだろうか
僕は、思わず淡い期待を自分にしてしまっていた。が、そんなはずはない。だってあの時だって、自分の守りたいものを守ることすらできなかったのだから。そう自分を否定したかった。そうしないとあの時、あの場所で自分は大切なものを裏切ってしまっていたことになってしまうのだ。それがどれだけ、自己的で、愚かで、醜いことだとわかっている。その事実から目を離したかった。人はいくら善人でも、誰一人悲しませず、救うことなどできるはずがない。それが嫌というほどわかっているから、目を離したかった。自分があの時、あの場所で救えていたら____________
___________「逃げて…!あなたは生きて…」_______________
あの言葉が頭の中でぐるぐると繰り返される。あんな思いは二度としたくない。だが、
「・・・・・僕も変われる?」
勇気を振り絞って、考えに考え抜いた結果出た言葉がこれだった。人が変わりたくて願うことは、おかしいことではないと心から思ったのだ。そして救われた命を自分の正しいと思ったことのために使うことが「人生」なんだろうと、将人はその一言に詰めた。
「ああ、人は変われるさ。”何度”でも。その気持ちさえあればな」
その時、剛に言った一言が将人をどれほど救ったのかは、将人自身にしか分からなかったが、聞いた途端、泣き崩れてしまった将人を見た人間は少し、その気持ちがわかった気がした。
時間は戻り、剛と将人は大会について話していた。
「もし、僕が出るとして戦力になるの?」
「勿論今のお前じゃ無理だが、この前言った通り鍛えれば俺より強くなれる。それは保証する。」
「わかった。なら、剛に任せるよ。」
その時、剛は将人の眼を見て感じ取った。僕は変わるのだという決意を、そして過去の気持ちに対する決別を。
「これから辛くなるかもしれないけど、本当にいいんだよな?」
「うん。僕は僕が"正しい"と思うことを頑張るよ」
剛は無言で、手をさしのばした。まるで、その重荷を一人で背負うなと言うかのように。
第二話 了