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アラサーの俺がヒロインの友達に転生?ナイワー  作者: 七地潮
〜のんびりいこうよ、え?いけないの?〜
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東の国から来た職人達

お店を開くのはまだ先だし、職人さんが来るのも先。

職人さんが来てからじゃないと、取り扱う商品の細かいことや価格は決められない。

なので、今は店の規模や取り扱う品数、そして包装紙とその値段、店を出す場所のリサーチや、その近辺の店や住人への根回しなど、やる事は沢山ある。

しかしまだ一番大切なことが決まっていない。


店の名前だ。


クリスティーナは、アルバートがオーナーだから、【アルバート商店】にするつもりだったそうだけど、それは俺と兄が却下した。

俺はダサ……語呂の悪さからだけど、兄は『あくまでも店を切り盛りするのは店主であるクリスティーナだから、私の名前を前面に出すのは却下』だと言う。


それに伯爵を継ぐ自分の名前を前面に出すと、色々ゴタゴタが予想されるとか。

言われて納得、クリスティーナも考え直すそうだ。


大和の国の商品を扱うのだから、コウエンジに相談するのが良いんじゃないの、とはアドバイスしておいた。

商品に合わせて【和】っぽい名前が良いと思うし。

クリスティーナの第一案を却下したけど、ぶっちゃけ俺もネーミングセンスなんてないんだよね。

浮かんだのは【桜菓子店】……ほら、贈答用の箱に桜の箔押しする予定しね、千代紙にも桜柄あるしね、桜餅なんかもきっと売るだろうし………いや、ほら、俺はさ文字よりイラスト脳ですから…って意味わからん。



菓子職人さん達は、6月末から7月の頭頃に到着するそうだ。

店を出すのはまだまだ先でも、必要な設備の説明や、道具の手配願い、それに水や気温や湿度など、和菓子を作るにはその土地を知ることが重要だとかで、試作などもしなければならないし、とりあえずどんな感じかを知る為に、まずは一月ほど滞在するそうだ。


滞在先はうちの屋敷。

クリスティーナの家は、もう本当にギリギリみたいで、とても人を泊めるのは無理っぽい。

大丈夫かなぁ、クリスティーナ。


滞在中に夏休みに入るけど、俺の予定は……まあひとまず置いといて、その前に卒業式だ。

クリスティーナが、兄の謝恩会のダンスパートナーに申し込まれてOKしたのは良いけど、その話を聞きつけた兄の同級生女子が、入れ替わり立ち替わりクリスティーナの元へ訪れている。

因縁ふっかけられてるんだけど、流石ヒロイン、巧く言い繕って店の宣伝に話をすり替えて乗り切った。


眉を吊り上げて来た女生徒が、

「アルバート様のお眼鏡にかなった珍しい菓子を取り扱う店の従業員」

と納得し、更に

「アルバート様の店で買い物すると会話のきっかけになるのでは?」

などと考え、ニコニコ顔で去って行く。

兄はあくまでオーナーで、直接店には出ないし、クリスティーナに丸投げなんだけど、そこはオーナーと言うのものがこの世界には無いものだから、よくわかってないみたいだね。


勿論クリスティーナは、兄が店に出るとは一言も言ってないし、店の店主は自分だと明言もしていない。

曖昧にボカして、店の宣伝だけはキッチリしている。

そばで見ていて流石としか言いようがない。

「使えるものは何でも使うわよ。

アルバート様にも了承は取っていますし」

だそうだ。


ファンタジー小説とかの異世界転生モノだと、こう言うの(元の世界に関する物を広げる)は転生者がやるものなんだろうけど、俺は傍観者だ。

前世の知識を持ってすれば、国一番の店舗経営とかも夢じゃないんだろうけど、そんなモチベーションはありません。

スローライフだ〜、とか言いながら、チートで無双なんてしません。

俺は【ヒロインの友達ポジ】らしく、地味に生きますよ。

は〜、ほうじ茶美味〜。



六月半ば、予定より早く職人さん達が王都へ到着した。

大陸には一週間くらい前に着いていたけど、うちの国に近い、海に面して居る南の国に船をつけ、後は陸路で王都まで来たそうだが、天気も崩れず順調な道のりだったそうだ。


やって来たのは若い職人が5人と【ザ・職人】って感じの年配者が一人の6人、後はラッピング用小物などの担当者?指導者?と、和菓子を作るための店舗建設のプロが2人、それに護衛と予想以上の大人数だ。

今日は顔合わせと言う事で、うちにクリスティーナとコウエンジが来ている。

リズヴァーン?

居ないわけないじゃん。


まずこちらの紹介の後、職人さんの紹介があった。

建築の人が2人なのは、こちらの建設業者に色々説明するだけなので2人だそうだ。

だよね、2人で店舗を建てれるわけがない。

一から建てなくてリフォームするとしても、和菓子はしたりふかかしたりと、この国ではない製菓方法なので、なんか色々あるらしい。

詳しい話は右から左です。


ラッピング担当者は、紙の箱だけでなく、巾着を使って小分けしたり、それを風呂敷に包むのはどうかとか、箱を小物入れとして利用したり、千代紙を飾るのに折り紙を提案したり。

要はリサイクルのススメをしている。


カウンターに鶴やら風船などを折って飾って、折り方の説明書をそばに置き、自由に持っていってもらう様にすれば、ポイ捨てが減るし、精魂込めて作った物を気軽に捨てられるのを防げるから、めちゃ力説している。

リサイクルなんて考えのない世界だけど、現代日本人だった俺にはとても好ましい考えだ。


実際に鶴を折って説明している横で、いかにも【今見て真似してますよ】風を装い、俺も鶴を折る。

不思議と手が覚えているもんだよな。

しかし折り鶴なんていつ誰に習ったっけ?

そこがわからなくても、なんとなく鶴は折れるって人、結構いるんじゃないのかな。


職人さんが6人なのは、年配者が纏め役で、軌道に乗るまでは指導して、後は国に戻り、若者達がこの国でガッツリ働くそうだ。


5人のうち3人が、生菓子と干菓子、残りの2人が……。


「クリスティーナ嬢が、もう少し安価で庶民にも気軽に買えるお菓子はないかって言ってたから、こちらはどうかと思ってね」

と言うコウエンジの説明とともに出されたのは、あられと煎餅!

しかも、塩、醤油、ザラメ、ゴマ、海苔巻きの5種類!

うわー、うわー!

嬉しくて早速手を伸ばし、ばりぼりと音を立てて食べる。

ウマー!お茶に合うー!

久しぶりすぎて止まらない!


いや〜ほらさ、こちらの菓子は、ケーキやクッキーが主だし、ヤスハルの差し入れも、あんこ系の和菓子だったしで、久しぶりの塩っぱい系に手が止まらない。

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