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アラサーの俺がヒロインの友達に転生?ナイワー  作者: 七地潮
〜気がつけば第二の人生?〜
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父の呼び出しの用件…マジか

兄の誕生日が終わって、来月の俺の誕生日までは何事もなく、平穏に学園生活を送りながら日々を過ごす……はずだったのだが…………。


ある夜、俺は父から呼び出しをくらったので、書斎を訪れた。

いつも父の側には母がいて、俺の側には兄がいて、部屋の中には執事やらお付きやらがいるので、父と二人きりの今の状況は非常に稀だ。

何があったのかなと考えながら、父が口を開くのを待つ。

長い沈黙の後、父は重い口を開いた。


「え?………今なんとおっしゃいました?」

父の告げた言葉が理解し難くて、思わず聞き返した。

「だからな、ビアトゥール大神官から、婚約申し込みの打診があったのだが」

どうやら聞き間違えではなかったようだ。

「確か神官の息子はキャシーの一つ上だったな。

何か交流があるのかい?」

「先日お兄様へのプレゼントに付与をするため、神殿を訪ねた時にお世話になりましたけれど、学園ではすれ違うくらいですわ」

神殿に行った時の、記憶から消した会話が蘇る……。



「なぜここまでしてくださるの?」

「それはですね、貴女に婚約を申し込もうかと思いまして」

いきなりの発言に、思わず「は〜〜⁉︎」と口から出そうになったのを、なんとか堪える。

「私もそろそろ伴侶を見つけるようにと周りから言われているのです。

けれどなかなか条件を満たす方はいないのですよ」

「条件…ですか?」

「ええ」


ベルアルムが言うには、卒業後は正規の神官として、そしてゆくゆくは大神官の跡を継ぐ者として、結婚相手はバカはダメなんだと。

知識があり、頭の回転が早く、かと言って神職なので優しさもないと困る。

自分の意志はちゃんと持ちつつ、周りの人のために動けて、他人を尊重できる相手………ってそんな奴おるかい!


周りのご令嬢達は、頭が悪いか、察しが悪いか、意地が悪いんだと。

『私が私が』ばかりで人より自分優先、他人の揚げ足を取るのと、噂話を広げるのが生き甲斐。

都合が悪くなると涙を浮かべたら男の子なんてイチコロよ〜♪なんて思っている人ばかりなんだって。


いや〜、それはあんたの周りにたまたまそんな人が集まってるだけでしよ?

クリスティーナもスカーレットもそんな人じゃないよ。

二人とも優しいし、思いやりあるし、自分をしっかり持ちつつも、正義感もあってもちろん成績優秀。

あれ?二人とも条件に当てはまるんじゃないの?

あ、だからパーティーの時に俺に探りを入れにきたのか。


ん?それじゃあなんで俺に申し込むの?

スカーレットは王子と婚約したからダメだとしても、クリスティーナは?

ヒロインとくっ付けよ、脇役に来るなよ。


「お父様…私はこのお話を受けた方がよろしいのでしょうか?」

「家の事や私達の事を考えることはないよ。

キャシーが嫌なら断ってもいいんだからね」


この国は貴族でも王族であっても、恋愛結婚を推奨している。

政略結婚も無いとは言えないけど、政略結婚は色々不幸を呼ぶからね。

本人達だけじゃなく、結婚した後に本人達だけでなく、一家一族巻き込んだゴタゴタや、国を挙げてのゴタゴタになるくらいなら、好きな相手とくっ付けよ、って感じ。


ただ、やはり本当に『誰とでも』とはいかず、ある程度家柄に釣り合いが取れていることが前提だけどね。

だって、育ってきた環境が違うと価値観は否めないからね。

例えば、伯爵家の跡取りである兄の相手が八百屋の娘とかだったら……もうその字面だけでアウトじゃん。

マナーや貴族間の付き合い、しきたりや親戚付き合い、仕事の補佐に、後継が生まれたときの教育。

一から覚えてなんて無理だよ。

これがまあ、格下でも同じ貴族なら、基礎はできてるだろうから何とかなるだろう。


でもうちより上位の貴族になると、更に他国との付き合いやその家の歴史やら何やかやが上乗せされる。

マナーやしきたりも変わってくるから、あまり差があると結婚後が厳しいことになる。

だから、家柄的に釣り合う範囲で「さあ、この中からなら好きな相手選んで良いからね」って感じになっている。


大神官の相手なら、貴族位なら下位でもギリOKって感じかな。

伯爵位なら問題ナッシングだろう。

だからと言って、だからと言ってなぜ俺に白羽の矢が刺さる?


「お父様がよろしいのなら、このお話はお断りさせていただきたいのですが」

「そうか、わかった。

キャシーにはまだ早いからな」

いや、早くは無い。

結婚ではなく婚約なら、それこそ10歳くらいで結んでいる人もいる。

初恋の人とってやつだね。

そのまま成人と同時に結婚する人もいるし、当然ダメになる事もある。


結婚でもこの国の女性の適齢期は18〜20歳なんだから、17になる俺に婚約話は決して早いとは言えない。

だいたい成人前後に婚約して、卒業後に結婚って感じかな。

卒業前に結婚するのも珍しいわけではないけど、それは庶民の話かな。

貴族は卒業まで待つ。

体面を気にするからね。


恋愛結婚を推奨していても、惚れた腫れたですぐに結婚、とはいかない。

最低でも婚約期間を一年は取ると決まっている。

ガッと盛り上がった感情だけでなく、生活習慣を擦り合わせたり、性格を見極めたり、まぁ夜の相性もね。

一年以上の婚約期間を置いて、この人となら大丈夫となれば、晴れて結婚への運びとなる。

これは貴族も庶民も一緒だ。


うちの国は結婚より離婚の方が難しいんだよね。

死別とか、相手が何か犯罪を犯したとか、よほどのことがない限り、離婚は認められない。

だからこそ、婚約期間にしっかり見定めるのだ。

なので、俺の年で婚約者がいるのはさして珍しいことでも無いんだけど、それとこれとは話は別だ。


「ではこの話は断っておこう。

………それで、キャシーには婚約したいような好きな相手はいるのかい?」

おいおいおいおい、今早いって自分が言ってただろう?

なにフラグを立てようとしてんだよ、オヤジ!

「例えば、その……リ」

「いえ、お父様!

私はまだまだお父様と一緒が一番です!」

言わせないよ!

外堀埋めるの勘弁してくれよ!

「そうか!そうだよな!

うんうん、キャシーはまだまだお父様と一緒がいいんだよな!

そうだよ、まだ16歳なんだし、婚約なんて早い話だな。

なんなら結婚などせず、ずっとお父様と一緒でもいいんだぞ?」

いや、それはどうよ……。

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