年明けパーティー 続き
王子が迎えに来て、スカーレットは会場へと戻った。
俺もシスコン兄が来る前に戻ろうかな。
自発的に戻らないと鬱陶しいことになりそうだし。
それに何よりいい加減寒い。
今は冬なので、バルコニーは魔法のベールで覆われていて、一応防寒にはなってはいるのだけど、やはり室内よりは寒い。
長時間いる場所じゃないよな。
一つ伸びをして振り返ると、バルコニーの扉を開けて、一人の男性が出てきた。
大神官の息子こと、ベルアルム・ビアトゥールだ。
なんだ?なんでこっちに向かって来るんだ?
バルコニーなら他にもあるのに、わざわざ人のいるとこに来ることないだろうに。
まぁ、戻るところだし気にすることないか。
軽く頭を下げ、通り過ぎようとしたんだけど、
「ちょっとよろしいですか」
と、呼び止められてしまった。
え?接点ないよね?
学園でもすれ違ったことしかないのに、なんなんだ?
「こんばんは、ビアトゥール様。
ビアトゥール様とはお話ししたことなかったと思いますが、何かご用ですか?」
「私のこと知っているのですか?」
「ええ、学校でもお見かけしたことがありますし、大神官様を存じない人はいないと思います」
先程も挨拶があったし、入学式とか卒業式とかでも挨拶がある。
結婚式や葬式、それに子供が生まれた時など、教会に世話にならないって人は、国民にはいないんじゃないかな?
成人してからのベルアルムは、儀式やなんやかやの補助の一員として参加しているから、顔を知ってる人は多いと思う。
「貴女はサリフォル家のご令嬢でしたよね。
あのアルバート先輩の妹の」
「兄をご存知なのですか?」
「今学園に通っている生徒で、アルバート先輩を知らない人はいないと思いますよ」
そりゃそうか、成績的にも、見た目的にも目立ってるからね。
ありがとうございますとでも返しておこう。
それで何の用だよと、じっと見上げる(ちびの俺は周りは皆見上げなきゃなんないんだよ)
「先程一緒だった彼女とは知り合いですか?」
「オルグストー様ですか?
学園で同じクラスで、友人ですわ」
つい今し方からだけどね。
「同級………」
何だよ、同じ年には見えないって?
チビで悪かったな。
アルバートの妹と知ってても、年までは知らなかったのか。
「オルグストー様がどうかなさいました?」
マジに寒くなってきたから、早く戻りたくって話を進める。
「彼女の……失礼、貴女の同級生でヨルハイムと言う方が居ると思いますど、知っていますか?」
「はい、友人ですが、彼女がどうかなさいまして?」
「僕は名前しか知りませんが、どんな方かなと思いまして」
ははーん、三学年女性のトップに興味が出たのか。
頭のいい女性が好みのタイプだもんね。
本当ならスカーレットに聞こうと思ったけど、王子と一緒だから声をかけづらくて、一緒にいた俺に声をかけたのかな?
これは今まで折ってしまったフラグの分も、プッシュしとくべきだよな。
「彼女はヨルハイム子爵令嬢ですわ。
去年から一緒に学んでいるのですけれど、とても優秀な方で、お優しい方でもあります。
周りに流されず、ご自分の意思を持った、しっかりした方でもありますの」
ここぞとばかり、クリスティーナのプレゼンをする俺に、若干引き気味のベルアルム。
ヤバイ、テンション上がりすぎたか?
「……すみません、とても大好きなお友達ですので、ついつい力が入ってしまいました」
何事もやり過ぎは良くないよね、ちょっと反省して頭を下げる。
無反応のベルアルムに、チラッと見上げてみると……失礼な奴だなぁ、笑ってるよ。
「ふふふふ、面白い人ですね。
他の女性のことを尋ねると、大概の女性は取り繕った言葉だったり、足を引っ張るようなことを言います。
貴女ってちょっと変わっていますね」
やっぱり失礼な奴だ、面白いはまだしも、変わってるだなんて。
「実際ヨルハイム様はとても素敵な方ですから」
「貴女は彼女が好きだと伝わってきます」
「ええ、大好きですわ」
キッパリ言うと、さらに笑われた。
えー、こんなキャラだっけ?
もっと【インテリですが何か?】みたいなキャラだと思っていたのだけど。
「そうですか、同性にも好かれる素敵な人だと言う事が伝わって来ましたよ。
ところで貴女のお名前は?」
「キャスティーヌ・サリフォルです、ビアトゥール先輩」
「そう、キャスティーヌ様ですね。
そろそろパーティーも終わりそうですから、私は戻ります。
…またね」
何がまたなんだろう?
まだクリスティーナの事を聞きたいのかな?
「ご機嫌よう」
カーテシーで挨拶をして、俺も室内へ戻る。
すぐさま兄が近寄って来て、彼と何を話していたのか、根掘り葉掘り聞かれた。
クリスティーナの事を聞かれただけと答えて、納得して開放されるまで時間がかかったよ。
その日のパーティーは、第二王子の婚約発表で幕を閉じた。




