休みの日の過ごし方
記憶が蘇ったばかりの頃は、ちょっとばかりドタバタしたけれど、その後数日は問題無く過ぎてくれた。
そして週末。
学園は月曜から金曜まで授業、土曜日は自由参加の課外授業、完全休みは日曜日のみ。
祭日などはない。
年末から2月末まで冬休み、7、8月が夏休み、9月に進級って感じだ。
9月から前期、3月からが後期の二期制となる。
日本の文化と海外の文化ごちゃ混ぜのご都合主義は、流石女性向けゲーム……なんて言うと反感買うかな。
因みに社交デビューする夜会は、成人を迎る年の10月過ぎに行われる。
進級して新しい顔を覚えた頃に開催するのかな。
今は10月下旬で、そろそろ寒くなる季節。
今日は冬用のコートや小物を持った外商が屋敷を訪れている。
……つまり今俺は着せ替え人形状態なのだ…。
「キャシー、今度はこちらを羽織ってごらん」
毛皮の事は全くわからないけど、手触りの良さはわかる。
そして手触りが良いと言う事は、お高いんだろうなぁ。
勿論値札が付いているわけでなし、自分で払うわけでなし、ついでに選ぶのも俺じゃない。
父親に言われた濃い紫のコートを羽織ると、母親が茶色系のコートを手にする。
「あら、それも良いけど、新しく作ったドレスにはこちらの方が良いと思うわ」
すると兄は薄いピンクのコートを差し出してきた。
「お母様、そちらも良いですね。
でもキャシーには少し地味なのではないでしょうか」
「あら、これは地味とは言いませんのよ。
落ち着きのある、と言いましょうね。
それにキャスティーヌはもう成人なのですから、可愛いばかりを求めるのはレディーとして見ていないと思われるわよ」
「そうだなアルバート、確かにキャシーは幾つになっても可愛いが、大人びた色も似合うと思うぞ」
父親や母親は、落ち着いた色を勧めるのだけど、兄は淡い色…パステル系?を勧めるのだ。
うん、アラサーにポワポワした可愛い系の色は、一種の攻撃に値シマス。
結果的に新しいドレスやらに合わせた茶色系にするとして、今度は「え?どこが違うの?」と微妙なグラデーションになった茶色から、あれでもないこれでもないと、着ては脱ぎを何度繰り返したのか……。
外商が来たのは朝なのに、やっと決まったのは昼食前とか、たかが上っ張り一枚で、なんて思うのは主人格の俺が男だからか?
とりあえず決まってやれやれと、揃って昼食へ向かっている時、母親に爆弾が落とされた。
「では昼食の後はどんなデザインにするか決めましょうね」
ま…まだ続く……だと………。
結局コート一枚決めるのにほぼ1日がかりでした。
前世で彼女の買い物に付き合った時、イライラして悪かった。
一時間なんて全然たいした時間じゃなかったんだね。
そして驚愕の事実なのが、コートは今日決まったけど、まだ靴やバックやアクセサリーなどが決まっていないと言う事…………。
もうさ、家にあるの付けとけばいいじゃん、貴族的にアウトなの?
人と被るのもダメなの?
同じ服を何度も着るのも恥?
いいじゃん、洗濯して着まわせばエコなんだし。
マナー面とか家の恥とか、女と言うか、貴族って大変なんだねぇ……。
前世のお気楽衣装生活、カムバーック!
さて、ほぼ日課のベッドの中での今日の出来事反省会。
休みの日は家族サービスなのはいいとして、もっとさぁ、こうさぁ、出かけるとかないのかなあ。
でも今までもこんな感じだった記憶があるから、きっとこれが普通なんだろうけど、家族揃ってお茶しながらずーっと喋ってるとか、外商の持ってきた絵画なんかを見ながらあれこれ話すとかじゃなくて、出かけてもいいんじゃないの?
絵画見るなら美術館とか、服を買うならお店に行くとか、観劇でもコンサートでもいいじゃん、外出ようよ。
と、俺は思うんだけど、どうも高貴な方々は家から出ないのがこの世界らしい。
えーーー、アクティブに行こうよ、前世インドア派だったけど、イベント行ったり、本屋行ったり、ゲーム買いに行ったり、コンビニ行ったりしてたよ。
ネット通販しないんだから、アクティブだよね?
それに生まれ変わって放課後にちょろっと街に行く事はあるけれど、見慣れないモノとか多くて楽しいんだよね。
だから休みの日はフラフラしたいって思ってたのに、家族の愛と貴族のしきたりが重いです。
はー、明日からの放課後、ヒロイン誘ってもっと出歩こう。




