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アラサーの俺がヒロインの友達に転生?ナイワー  作者: 七地潮
〜のんびりいこうよ、え?いけないの?〜
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試してみよう…ってまたかよ

兄とベルアルムが話し合い、双方が納得した後で、俺はからの魔石に付与を与えることになった。


うーん、命に関すること?

いや、魔石付与だから、多重付与ができるかどうかだし、兄へプレゼントしたやつの【過労死退散】みたいな思いを込めて、いくつか付与をするんだよね?

さっさとやって、俺のしょっぱい能力を検証しよう。


いざ始めようとしたら、今まで無言だったリズヴァーンが待ったをかけた。

つうか居たんだよね、静か過ぎて存在忘れてたよ…婚約者の俺が!


「キャスティーヌのお腹の子に影響は無いと言えるのか?」

ああ、それ大事だよね。

安定期とは言え、お腹の大きい妊婦だし、魔力を使う事だから、絶対に影響がないとは言えないのでは?

リズヴァーンの言葉に皆がハッとする。

兄は俺のことは考えていてくれたけど、お腹の子のことは頭から抜けていたようだね。

逆にリズヴァーンはお腹の子第一?

ありがたいっちゃあありがたいけど、なんだか微妙な感じもする?


「それは大丈夫です。

神殿では女性の神官が産み月まで付与を与えたりしています。

寧ろ妊娠した後、それまでほど魔力を使わなくなりますから、魔力溜まりを防ぐためにも付与をされていますよ」


あー、確かに俺も妊娠発覚してから、それまでほど魔法を使わなくなったよな。

魔力溜まりって確か過ぎると体調悪くするとか聞いたことあるし、何であろうと溜めるのは良くないよね?

んじゃあ張り切ってパーっといこうか。


うーん、そうだなぁ…この前出会った冒険者はこの国には居ないけど、俺のイメージの中の冒険者の様に、いろんな場所へ行ったり、魔獣と戦ったりする人達って、やっぱり命がけだと思うんだよね。

だって下手したら死ぬし、喰われる事もあるんだよ?

魔獣を狩る時には、防御結界とか張ってるだろうけど、万が一結界が切れたら命に関わるから、死なない様に、結界プラス防御力アップ、ついでに魔力切れで結界を張れなくなった時のことを考えて、魔力回復の効果が有れば、死は遠ざかるんじゃないかな。

人々の安全と、美味しい食卓の為にも、魔獣を狩る人が安全であります様に…………どうだ!


魔力が動く感触があったから、付与は成功したんだと思う。

期待して目を開けたけど、前回みたいに魔石が光ることは無かった。


ベルアルムは鑑定道具も持って来ていて(用意周到だ)鑑定してみたけど、付与は成功しているけど、付いていたのは【防御力アップ 小】だけだった。

あれ〜〜?



その後4回ほど試したけど、付与は出来るんだけど、効果は一つだけだった。

部屋の中を沈黙が支配する。

く……空気が重い。

もう一度…と思ったけど、リズヴァーンからストップがかかった。


「手を抜いている様子はありませんでしたね。

ではなぜ……?」

「やはり偶然なのでは?」

頭を傾げるベルアルムに冷静に兄が言う。

俺もそう思うので頷いたんだけど、そこでまたリズヴァーンが声を出す。

最近本当によく喋る様になったよね。


「バザーに出品して買われて行ったのは二つだけでは無かったのだが、異変が有ったのはこの二つだけなのだな?」

「ええ、他に何か有ったとの申し出はありません」

ベルアルムの言葉に暫し考え込んで、リズヴァーンは自分の考えを述べる。


「意識するからダメなのではないのか?」

ん?ドイウコト?

「こう言う付与を付けようとか、複数の付与をと意識して考えるから失敗するのでは?

アルバートへのプレゼントや、そちらの二つは【何か特別な事をしよう】としたのではなく、無意識に自然と【こうなれば良いな】と言う気持ちが奇跡を起こした…そう考えることはできないか?」


いやー!奇跡を起こしたなんてそんな大仰な事言わんといて下さいな!

なんだかスゲーことやらかした感じに聞こえるから!

って俺が内心青くなってるのに、兄達は「それだ!」みたいに、手をポンと打っている。


「なるほど、無意識で他人の命を守りたいと願う心が奇跡を起こすのですね。

納得できます」

なんでだんだん大袈裟になって来てんの?

「さすが僕のキャシー、まるで聖女のようではないか」

やーめーれー!!

違うら!残念チートなだけだから!

思ったようにならないなんて、失敗以外の何物でもないじゃん!

落ち着いてよーく考えようよ!

「そうですね、まるで伝説の聖女様のように慈悲深いお方ですね」


……………………………………もう突っ込むのも疲れた……。


兄とベルアルムはなんだか盛り上がっていたけど、知らん!

スルーだ、スルー!


俺が疲れ切ってソファーの背もたれに体を預けると、いつの間にかリズヴァーンがソファーの後ろに立っていて、肩にそっと手を置いた。

うん、物静かなのってこういう時イイよね。

何も言わなくても、俺の内心の疲れをわかってくれてるようで、ちょっと安心する。


んでふと気になった事があるんだけど、以前実習で魔獣を一人で倒したけど、あの時も無意識で威力の強い魔法が発動したよね?

もしかして俺って【無意識魔法増強チート、但し初回のみ】とかなんじゃないの?

すっっっごく残念感溢れるんだけど?


まあ、これは黙っておくべきだよね、面倒くさくなりそうだから。



その後、今日のことは他言無用とキッチリ言質を取って、ベルアルムを見送った。


あー、まったり平穏な生活が希望だけど、どうせならもっとちゃんとしたチート能力が欲しかった……気もしないでもない。


人の心は複雑なんだよ。

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