冒険者と一緒 8
夕食後、おじさんとおばさんは、昼間にできなかった分の仕事の処理のため、部屋へ戻った。
残りの11人で、食後のお茶をしながら話をしていたんだけど、ふと気づくと一人足りない。
ミヤミヤムーの姿がないのだ。
俺が気づいたことに気づいたアキチカ達が、苦笑を浮かべながら話す。
「うーん、気にしなくていいですよ、いつもの事だから」
「ミヤミヤムー、お兄ちゃん大好き、だから逃げる」
「お子ちゃまなんだよねー、確か23歳だっけ?
人族なら大人な年齢なんでしょ?」
「いやいや、難しい年頃なんだろ。
憧れとか尊敬とか、表に出すのが照れくさい時期ってあるもんだろ?」
「わはははは、可愛いもんじゃな」
アキチカ達の言葉に、チムチムリーが頭を掻く。
「皆の言う通りなんだろうけど、そろそろ落ち着いて欲しくはありますね。
同じ年のアキチカと比べても子どもっぽくて」
「え?だってうちの兄さん凄いのは、誰が見ても明らかだし、そんな凄い兄さんの弟って誇りに思えるし。
ミヤミヤムーの恥ずかしいって気持ちの方がわからないよ」
チムチムリーに話を振られたアキチカが、曇りなき眼で言う。
いや、コレもある意味子供っぽいよね。
「僕、こう言うことを言葉でハッキリ言えるリーダー大好き」
スックが言うと、アキチカはキョトンとした顔をする。
「だって言葉にしないと伝わらないだろ?」
「だが、普通はもう少し恥じらうと言うか」
「別に口が軽いわけでもなし、兄に対すること以外なら、口にする言葉もキチンとできているから、良いではないか」
「それはそうか」
(見た目)年長者のアッスルム達が頷き合う。
仲のいいパーティーだね〜。
話を聞いてて笑顔になるよ。
「でもなアキチカ、兄さん他の島の人達とたくさん会って思ったんだけど、他の島の人達って、あまり身内を褒めないみたいなんだよ」
「えー、凄いとか凄くないとか、肉親が一番わかるのに、わかってて褒めないなんて意味がわからない」
ハルモリ達と合流してからのアキチカって、なんだか幼い気がする。
こっちが素なのかな。
「褒めて伸ばす島柄なのかな」
「褒める、伸びる。
叱る、萎縮する。
合理的、考え、イイね」
「まぁボクもクラリから褒められると嬉しいし、頑張ろうって思うけどね」
「それ、こっちの言うこと」
こっちの兄弟も仲良いね。
そんな2組の兄弟を見て、チムチムリーはため息をつく。
「私の島は、褒めると調子に乗るからと、褒める事を厭う風習があります。
その上で、出来の良い者と比べるのですが、それにより競争心がわくのは良いのですが、それだけでは済みませんからね。
だから私は弟に島の考えが全てでないとわかって欲しくて、冒険者になることを勧めたのですが…」
おっと、お兄ちゃんのお悩み相談室か?
これって完全第三者の俺たちが聞いて良い話なの?
「ミヤミヤムーはいい奴ですよ。
最初の頃は人見知りだったけど、今では一番社交的で、情報収集も一番です。
この前だって南の国で」
「わー!わー!わー!アキチカストップ!!」
聞いてはならない話が出るとこだったみたい。
「アキチカ、真っ直ぐ、良いこと。
周り、見えなくなる、ダメダメ」
「こう言う時にミヤミヤムーが居れば、上手いこと話を持っていってくれるのだがな」
「アキチカの素直な所は良し悪しじゃな」
うん、まあ確かにミヤミヤムーが会話の舵取りをしてたよね。
そうすることでアキチカの無自覚ポロリを防いでいたのかな。
「そうですか。
私が冒険者になってから顔を合わせることが減って、会話もあまりしていないので、今の弟のことを知れてありがたいです。
あの子のこと、色々教えて下さ…」
「あの子なんて言うなよ!
子どもじゃないんだからな!」
バーーン!と扉を開けてミヤミヤムー登場。
これ、今までドアの外で聴いてたな。
「ほら、もう部屋へ行こう。
明日出発なんだから早く寝よう」
ミヤミヤムーに腕を引っ張られながら、アキチカは笑う。
「あははははは、そうだね、早く寝ないと明日からまた冒険だもんね」
「ムー、可愛い〜」
「クラリ、煩い!」
「若いって良いね〜」
「全くですな」
アキチカ達のパーティー退場。
えっと、俺達青春ドラマの舞台でも見せられていたんだっけ?
「良いメンバーに恵まれたみたいで良かった」
「本当ですね。
さて、それでは私達も失礼しましょうか。
部屋は先ほど休憩させていただいた部屋で良かったですか?」
チムチムリーの言葉に、リズヴァーンも腰を上げる。
「案内を呼びます」
残った俺と王子も部屋へ戻ることにした。
サロンを出る時、王子がふと立ち止まる。
「王都へは9月まで戻らないのか?」
聞かれたので素直に答える。
「ええ、そうですわね。
サリフォル領でも過ごしますので」
「そうか……。
スカーレットが寂しがっているから、戻ったら顔を合わせて欲しい」
おおー、婚約者に気を使うなんてこと、この王子にもできたのか!
「勿論ですわ。
私も早くお会いしと思っています。
スカーレットによろしくお伝えいただければありがたく思います」
言いながら頭を下げると、「うむ」と返事をして先に出て行った。
スカーレット、大事に思われてるようでよかったね。
なんだか今日はホコホコした気持ちで眠れそうだ。




