~第七十一話~
俺は、いつもと違う場所にいた。
その場所というのは……
「真琴、ここがライブ会場よ?」
そう言ったのは、アイドルの連城麗華だった。
「そうなんだ……」
「すごい大きい会場でしょ? 私も、ここでライブするなんて、思ってなかったわよ」
「ふ~ん……でも、いいの?」
「いいのって?」
「いや……自分みたいなのが、一緒にステージに出る事になってさ?」
「ああ、それは大丈夫よ、真琴も結構人気あるしね?」
そういう問題か? と思ったが、深く考えない事にした。
何故、俺が、ステージに麗華と一緒に出演する羽目になったのかと言うと
事の始まりは、こうである。
夏休みのある日、宿題も終わらせ、俺は、家でのんびりとすごしていた。
妹に作ってもらったお菓子を食べながら。まったりとTVを見ていると
俺の携帯が鳴って、相手を確認してみると、麗華だった。
「はい、南山です」
「あ、真琴? 声聞くのお久しぶりね」
「お久しぶり、そういや電話とかしてなかったしね」
「でね? 真琴にお願いがあるのよ」
「お願い?」
「うん、今日って、真琴、暇かしら?」
そう言われて、ちょっと考える。
確かにTVを見てるので、ぶっちゃけて言うと、結構暇だった。
別に出かける予定もなかったので
「うん、暇と言われれば、暇かな」
そう答えると
「じゃあ、今から私の言う場所に来てくれないかな?」
「りょ~かい」
そう言って、俺は麗華に言われた場所に行く事にした。
そして辿りついたのは、大きなステージ会場だったのである。
そこでであった麗華に「新曲のライブやるから、真琴も演奏者として参加しない?」
と、誘われたのであった。
そう言われて、せっかく来たんだし、断るのも悪いかな? と思ったので
それを了承、俺が担当する事になったのは、ベースだった。
まあ、ベースなら暮見翔と三島陽子との三人バンド、MKYとして、やった事があったので、別に問題はなかった。
そういえば……麗華は、MKYの事知ってるのかな? と思ったので、聞いてみる事にした。
「麗華?」
「何?」
「MKYって知ってる?」
「MKYって、あれでしょ? 翔が出演したドラマの主題歌を歌ったバンドでしょ?」
「じゃあ、誰がメンバーか知ってるの?」
「え~っと……翔と陽子と……あといたっけ?」
「あと、自分」
「え?」
「自分もベースとして参加したんだよ、母さんに言われてね?」
「そうだったんだ、教えてくれればよかったのに、あ、MKYって三人のイニシャルだ、そういえば、じゃあ、ベースは、大丈夫よね?」
「うん、まあ、大丈夫だと思うよ」
「ありがと、そろそろステージも始まるから、真琴、準備してね?」
「りょ~かい」
そう言って、俺はベースを肩にかけて、ステージの裏に行く。
そこにいたのは、ドラマー担当の人とギター担当の人だった。
ドラマーもギターも、同じ女性で、俺に向かって「もしかして、真琴さん?」と聞いてきたので「はい、そうですが」と答えると「ドラマ、面白かったです、また何か出演するんですか?」と聞いてきた。
そう言われても、今後ドラマとかに出るとか、その予定まったくないんだがな……そう思っていると、司会者の方が「本番そろそろです、スタンバイしてください」と言ってきたので、スタンバイする事にした。
麗華の姿が一旦見えなくなって、何所に行ったんだろう? と探していると
派手な衣装を着た、麗香がステージにやって来た。
「どう、真琴? 似合ってるでしょ?」
そう聞いてきたので
「うん、似合ってるよ」
と言うと
「真琴の評価がいいと言う事は、これはいいわね、この衣装でいくわ」
そう言って、麗香はマイクの準備をする。
そして、時間が過ぎ、ライブが始まったのであった。
「みんな~元気かな~!?」
ステージの幕があがり、ステージ衣装を着こんだ麗華が、マイクを持ってそう言ってくる。俺もベースを持って、ステージ上にいて、あといるのは
ドラム担当の女性と、ギター担当の女性で、四人編成でステージ上にいた。
「じゃあ、早速、歌っちゃうよ! まずは、この曲から!」
そう言って、麗華が俺達に合図を送る。
最初に弾く曲の段取りは、ステージをやる前から聞いていたので、演奏する事にした。
ベース担当なので、ギターの音色に合わせて、ベースを弾く。
そして、麗華が歌いだし、会場が盛り上がってきた。
ドラムもバシバシと聞こえて、結構派手な音楽になっていた。
一曲目の演奏が終わり、麗華がマイクでこう話す。
「じゃあ、メンバーの紹介をするよ~? まず、ドラム、エリコ~!」
そう麗華が言うと、ドラムのエリコと呼ばれた人が、ズダダンとドラムを叩く
「で、ギター、キョウコ~」
ギター担当のキョウコと呼ばれた人が、ギターを掻き鳴らした。
「ベース、マコト~」
俺もそう言われたので、ベースを弾く。
「メンバー紹介も終わったし、じゃあ次の曲いっくよ~」
そう麗華が言うと、会場が「おお~」とか、盛り上がっていた。
次に弾いた曲は、麗華の新しい曲で、結構難しいリズムだった。
けど、何とかミスる事もなく、演奏する事が出来て、ちょっと安心した。
無事に出番が終わり、ステージから離れると、暑かったからか、結構汗をかいていた。
とりあえず、持ってきたタオルで汗を拭いて、これからどうしよっかな?と 思っていると、麗華が、話しかけてきた。
「ありがとね? 真琴、参加してくれて」
「いや、礼を言われるほどじゃ……」
「ねえ、本当にバンド組んで活動しよっか? この四人でさ?」
ドラム担当の、エリコさんがそう言ってきた
「あ、それいい考え~、私はOkよ」
ギター担当のキョウコさんが、それに賛成している。
「ふむ、いいかもね……真琴、やってみない?」
そう言われて、どうしようかと迷ったけど、バイトもあるし、夏休みが終わったら、学校もあるので
「ごめん、断るよ」
そう言うと
「そう……でも、また一緒にやろうか? バンドとか?」
「それだったら、いいかも」
と、答えておく事にした。
ライブも終わったので、俺は、家に真っすぐ帰る事にした。
家に帰ると、妹の亜季が
「お姉ちゃん、何所に行ってたの?」
と、聞いてきたので、とりあえず
「と、友達の所かな」
と、答えると
「ほんと? まあ、お姉ちゃんがそう言うなら」
なんか、怪しんでいたけど、一応納得してくれてるみたいだった。
こうして、俺の一日が、終わったのである。




