~第六十九話~
夏休みに入ったので、家にぼ~っとしていると
「お姉ちゃん、今日はあの日だよね?」
と、妹の亜季が、そう言って来た。
一体あの日って、なんだろうな……と思って、カレンダーを確認してみると
、今日と明日は、毎年恒例の山野辺祭りの日だった。
「あ、今日って、山野辺祭りの日だっけ?」
「そうだよ? お姉ちゃん、どうせなら……一緒に浴衣着ようよ?」
亜季がそう言ってくる。
別に、断る理由もないので、俺は、Okする事にした。
母親の美鶴母さんに、「浴衣ある?」と聞くと
「浴衣なら、持ってるわよ?」
と言い、母さんが浴衣を持って、俺達の前に現れた。
「母さん、着付け出来るの?」
「ええ、出来るわよ? 丁度いいし、亜季と真琴のをやってあげるわね?」
そう言って、浴衣の着付けを、やってくれた。
そして、亜季が水色の浴衣、俺が、黒色の浴衣を着る事になった。
帯をしっかりと結んで、鏡で浴衣姿を見てみると、なんか結構、似合っている。
「お姉ちゃん、似合ってるね~、私もどう?」
そう言って、亜季が、回転して、そう言ってくる。
「亜季も、似合ってるよ」
「ありがとう、お姉ちゃん」
「じゃあ、私も浴衣に着替えようかしらね?」
美鶴母さんが、そう言って、赤色の浴衣姿になった。
「母さん、仕事はないの?」
俺が、そう聞くと
「今日は、仕事ないのよ? だから、家族で、山野辺祭りに行きましょう?」
「うん、わかった」
そう言って、家族三人で、出掛ける事になった。
そう言えば……家族でお出掛けって、結構久しぶりな感じがするな?
外に出てみると、天気は快晴で、浴衣の人が結構、沢山いた。
まだ、日が落ちていないので、屋台の準備をしている者や、もうお店としてやっている屋台もあった。
「まだ、本格的なお祭りの時刻になっていないから、何所かぶらぶらと過ごしましょうか」
母さんが、そう言ったので、俺と亜季は、それに従う事にした。
移動していると
「あっれ~まこ?」
そう話しかけてきたのは、緑色の浴衣姿の栗谷美鈴だった。
「まこ、浴衣なんだ? 珍しいね~」
「珍しいって……美鈴は、どう思ってたの?」
「まこの事だから、私服で来ると思ってたもん」
「あ、そう……」
「こんにちは、美鈴ちゃん」
「あ、美鶴さん、こんにちはです」
「宜しかったら、美鈴ちゃんも一緒に回ります?」
「ちょっと、お母さん、何言ってるの?」
「あら、亜季、何か不味い事でも?」
「ううん……そうじゃないけど……」
「いいんですか? 美鶴さん」
「いいですよ?」
「じゃあ、お言葉に甘えて、一緒に行きますね?」
そう言って、美鈴が俺の手を握ってきた。
何で、手を握ってくるのが謎だったけど、それに対抗してか亜季も握ってくる。
右に美鈴、左に亜季と言う事になってしまった。
その姿を見た美鶴母さんが
「あらあら、フフフ……」
と、にこやかな笑顔でそう言っていた。
何でこんな事になったんだ? と思ったけど、ま、いいか……と思い、お祭りを堪能する事にしたのであった。
「それにしてもさ~今年も人多いね~? まこ?」
そう言ったのは、浴衣姿で、何故か右手を握っている美鈴だった。
「うん、確かにそうだね……ところで、美鈴?」
「何? まこ」
「いつまで、手を握ってるのかな……ってね、あと、亜季も」
左手を握ってるのは、妹の亜季だった。
亜季も浴衣姿で、結構似合っている。
「え? お姉ちゃん……手を繋いでちゃだめ?」
亜季が、上目使いでそう言ってきた。
そういうのは、男の対してやるものではないんじゃないか? とか思ったけど、何故か、俺に向けてそう問いかけて来たので
「まあ、別に問題はないから、いいけどね」
そう言うと
「じゃあ、このままでいいよ? 私も嬉しいし」
「あ、じゃあ、私も」
「貴方は、お姉ちゃんから離れて下さい」
「何でよ?」
「私が嫌なんです、お姉ちゃんだって、きっと嫌だって思ってます」
「ええ? まこ? 私と手を繋いでるの、嫌?」
いや、何で美鈴まで、そんな事を言ってくるんだ?
しかも亜季は、なんか喧嘩腰で話してくるし……
「えっと……まあ、別に嫌って程じゃあないけどさ……目立たない?」
そう言うと
「大丈夫だよ、ならこのままでいいよね」
「……お姉ちゃんが、そう言うなら……」
何とか、この場は治まったようだった。
そう言えば、ずっと黙っている美鶴母さんは、何してるのかな?と思って、後ろにいる美鶴母さんの事を見てみると、母さんが、サインを求められていた。
まあ、母さんは、変装もしてないから、思いっきり女優だってバレバレだなあ……と思った。
俺は、母さんに
「母さん、先に行ってていい?」
と聞くと、美鶴母さんは
「ええ、いいわよ? 私は、後から行くわね? 盆踊り会場で待ってて?」
「うん、分かった、じゃあ、亜季、美鈴? いこっか?」
「うん、お姉ちゃん」
「了解~」
そう言って、俺達は、その場から移動する事にした。
手を繋ぎながら歩いているので、周りの視線がヒシヒシを感じるのだが、そこは、あえて無視を決め込んで、屋台で、たこ焼きと焼きそばを買って、休憩スペースで、食べる事にした
「はい、お姉ちゃん、あ~ん」
亜季が、たこ焼きの一つを爪楊枝で刺して、そう言ってくる。
「い、いいよ、自分で食べるから」
そう言うと
「あ、じゃあ、私も~まこ~これもどうぞ~」
そう言って、美鈴は、焼きそばを箸で掬って、こっちに向けて来た。
何でこんな事をしてくるんだ? 二人とも……
そんな感じの食事が終わり、盆踊り会場に向かった。
盆踊り会場に辿り着くと、櫓の上に、太鼓があって、そこではっぴを着た者が太鼓を叩いている。
「結構、大きい音だね~まこ?」
「うん、そうだね」
「お姉ちゃん、踊ってる人結構いるけど、一緒に踊る?」
亜季が、そう言ってきたけど、俺はと言うと
「いや、いいよ、踊り知らないしさ? 亜季は、踊ってくる?」
「ううん、お姉ちゃんがやらないなら、私もいいや」
「そう」
そう話していると、美鶴母さんが、やって来た。
「三人とも、お祭りは楽しんでる?」
「うん、結構楽しんでるよ」
「私も~」
「一人、お邪魔な人がいるけど……楽しいよ~」
「そう、来てよかったわね? あ、でも……もう結構遅い時間になるし、そろそろ帰りましょうか? 今日は、花火大会はなしって聞いてるからね? それとも、まだ屋台とか見て回る?」
母さんが、そう言ってきたので、俺はと言うと
「うん、そうするよ、じゃあ帰ろっか?」
「うん」
「わかった~」
そう言って、家に戻る事にした。
戻る途中、美鈴が
「じゃあ、私、こっちだから、じゃあね? まこ」
そう言って、美鈴と別れて、三人で家に戻る。
家に辿りつくと、亜季が
「お姉ちゃん、明日は、私と二人でいこう?」
とか言ってきた
「それはいいけど……母さんは?」
「明日は、私は仕事があるのよ? だから、亜季と行くといいわよ?」
「そう……じゃあ、亜季、一緒に行く?」
「うん」
こうして、明日の山野辺祭りは、亜季と二人で行く事になったのであった。




