~第六十一話~
学校が無い休日の日、俺は、行く所があった。
それは……俺の働いている喫茶店、ラブ喫茶「アイライク」である。
今日は、バイトの日なので、俺は、バイトしに家を出たのであった。
電車に乗り、目的地、秋葉にたどり着く。
秋葉の町は、夏が近いからか、薄着の格好をした人達で、溢れ返っていた。
その町の中を、歩いて数分後、目的地、アイライクにたどり着く。
関係者専用口から、中に入り、店長の東雲紫さんに、挨拶をする事にした。
「紫さん、おはようございます」
「あら、まこさん、おはようございます、あ、まこさん、今日は、いつもと服装が違うから、それを着てね?」
「いつもと違う服装ですか? 解りました」
そう言って、控え室の中に入る
中に入り、俺専用のロッカーを開けると、その中に、いつもと違った服が入っていた。いつも着てるギャルソンタイプの服とは違い、なんか黒で統一された、執事とかが着そうな服だった。
店長に着てね? と言われたので、俺は、その服を着る事にしてみる。
サイズは、何故かぴったりで、全く問題が無かった。
いつもの服装と何所が違うんだ? と思ったが、蝶ネクタイがあったので、鏡で自分の姿を見てみると、思いっきり執事服っぽい感じがしてしまった。
執事服に着替え終わり、控え室を出て、ホールに行くと、他の店員の格好も、執事服だった。
さっきあった紫さんも、何所で着替えたのか、執事服を着て、俺に話しかけてきた
「まこさん、似合ってますね」
「紫さんも似合ってますけど、ところで……今日って」
「はい、今日は、お客様は女性限定で、店員の格好は、執事デーとなったの」
「そうですか」
「まあ、やる事は服装が変わった程度で、あとね? 注文を取る時に、お嬢様って言ってね? それ以外は、いつもと同じだから、よろしくお願いしますね」
「解りました」
そう言って俺は、接客する事にした。
店内を見渡してみると、確かに、お客様が女性だけしかいない
いつもだったら、男性客も入ってはいるのだが……今日に限って、男性客が一人もいなかった。
ま、男性客がいても、俺に声をかけて来る事はなかったから、全く問題はないな……と思いながら、いつもどおりの接客をする事にした。
相変らずと言うか、呼ばれてお客が言う言葉は「かっこいい」やら「彼女にして下さい」とか、言って来る。
うん……俺に、関しては服装がちょっと変わっても、いつもと変わらないって事なのか……
俺は、とりあえず……笑顔で接客に当たる事にした。
そして、時間が過ぎていき、休憩時間
控え室で休んでいると
「まこ先輩、ちょっといいですか?」
そう言ってきたのは、店長の弟の東雲玲だった。
玲の格好は、ウィッグを装着していながら、執事服を着ている。
でも、何と言うか……男の格好なんだけど、思いっきり女の子に見えるんだが? ボーイッシュな女の子に見えているな?
「一体何?」
「まこ先輩にお願いがあるんです」
「何のお願い?」
「はい、実は……カップルのフリをしてくれませんか?」
「それは……なんで?」
「これです」
そう言って、見せてきたのは、映画のチケットだった。
「懸賞で何か当たればいいかな? とかそんな感じの思いで、応募して見たら、当たっちゃって、しかもこれ、カップル専用チケットみたいなんです、僕、この映画、どうしても見たくて、で、これ……期日が今日までなんです、で、他の人を誘ったんですけど、用事があって、断られてしまったんです、だから……まこ先輩、一緒に行ってくれませんか?」
そう言ってきた。
俺は、どうしようかな……と思い、そのチケットを見てみると
丁度テレビでCMをやっていたので、いつか観たいな……と思ってた映画のチケットだった。
「解った、いいよ」
「本当ですか! ありがとうございます、じゃあ、また、バイトが終わったら、声をかけますね」
「りょ~かい」
そう言って、玲は、控え室から出て行った。
あれ? もしかして……これって、デートか? と後で、思ったが、まあ、深く考えないでおこうっと……そう、思ったのであった。
休憩が終って、ホールに出て接客をする。
いつもより、お客様に声をかけられまくってしまったが、とりあえず……笑顔で接客をしていき、時間が過ぎて、仕事が終わった。
今日は、執事デーだったので、執事風な格好のまま控え室に入り、私服に着替える。
私服に着替え終わり、店長の東雲紫さんに、挨拶してから、店の外に行くと、ウィッグを外した後輩の玲がいた。
玲は、俺の姿を見て、こう言ってくる
「あ、まこ先輩、お疲れ様です」
「お疲れ様、映画だったよね?」
「はい、じゃあ行きましょうか?」
「りょ~かい」
そう言って、二人で、映画を見に行く事にした。
秋葉の町を二人で歩いていると、なんか……人の視線を感じる。
何で視線を感じるんだ? と思っていると
「凄いですね……まこ先輩」
「何が?」
「まこ先輩の事見て、何か話してますよ? ほら、まこ先輩ってTVに出た事あるじゃないですか?」
「まあ、確かにドラマとかに出たけど、そんなに有名じゃないかと と言うか……どっちかと言うと、玲の方を見ていないか?」
「いやいや……僕じゃありませんよ、まこ先輩ですって」
「そうか?」
そう思いながら、歩いていると、映画館に辿り着く。
やっている映画はさまざまで、俺は、玲に
「玲、この映画だよね?」
「あ、はい、そうです」
そう言って、指差したのは、アクション映画、「ミライ・ハザード」とか呼ばれる作品だった。
「じゃあ、入ろうか」
「はい、これにしましょう」
待ち時間を見てみると、丁度、すぐに上映するらしく、そんなに待つ事はなかった。
カウンターで、チケットを渡して、俺と玲は、シアター内に入る。
シアター内は、結構広く、結構沢山の人が入っていた。
俺と玲は、指定された席について、一息つく。
そして、すぐに上映が始まり、映画を鑑賞する事にした。
映画の内容は、未来の話で、主人公が異星人と対決するという。
笑いあり、涙あり、アクションありのバトルファンタジーみたいな、作品だった。
ず~っと見ていて、結構面白く、いい作品だな……と思っていると、玲も同じ感想なのか、画面を食い入るように見つめている。
声をかけるのも悪いかな? と思ったので、そのまま映画鑑賞を続ける事にした。
二時間ほどで、映画が終わり、映画館を出る。
出るときに、玲は、はまったのか、パンフレットを購入していた。
秋葉の町の中に出ると、もうすっかり日が落ちて、真っ暗になっている。
「今日は、一緒にこの映画を見れて、よかったです、ありがとうございます、まこ先輩」
「そう、自分のこの映画は当たりと思ってたから、誘ってくれてありがとね?」
「はい」
そう笑顔で言ってきた。
うわ、なんというか……カワイイ……って、俺は、何を考えてるんだ!?
男に考える事じゃないだろ、普通……そう思うのをやめて、俺は、こう言う。
「もう遅いし、帰ろうか?」
「はい、そうですね、遅くなると姉さんに何を言われるか、分かりませんし」
「じゃあ、決まりだね」
そう言って、電車に乗って、山野辺駅に辿り着く。
駅を出た後、玲が「僕、こっちなので、ここでお別れです、さようなら、まこ先輩」
と言ってきたので、そのまま別れる事にして、俺は、まっすぐ帰る事にした
家に帰ると、妹の亜季が
「お姉ちゃん、何所行ってたの?」
言って来たので
「バイト終わって、映画を見に行ってた」
と言うと
「え~なんかずるい、お姉ちゃん、今度は私と映画を見に行こうよ?」
そう言ってくるので、俺は、仕方がないなあ……と思いながら
「分かった、じゃあ、今度は亜季と一緒に行こうか?」
と言う事にした
「うん、約束だよ?お姉ちゃん」
こうして、俺の一日が、終わったのであった。




