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第八話「暗雲晴れ、花に囲まれ、夢の中」


 前回のあらすじ。

 フィアーナがサテラの協力で、デビサバに、2度目の致命傷を与えられた。

 サテラが去ったところで、アクアが駆けつけて、デビサバに、3度目の致命傷を与え、討伐した。







「アーママ……」


 貧血による浅い息で、アクアに話しかける。


「どうしたのぉ?」

「さっきの光線……、

 フィアーナも、使えるの……?」

「〖王気(おうき)〗を纏えてたから、

 使えると思うよぉ。

 本当は、12歳になると、

 使えるようになるんだけどねぇ」


 尋ねると、アクアが紫色の袖なしチャイナドレス姿で、フィアーナを抱きしめながら、瑞(みずみず)々しく、艶(つや)やかな唇を動かして、甘ったるく、包み込まれるような増艶(ぞうえん)美声で、教えてくれた。

 おうき……っいうのは、あのオーラのことなんだな。



「「リョウっ!」」


 ユキネが大きな半袖シャツ姿で、右のほうから、這いずって、近寄ってきた。

 続いて、リルが緑色の半袖パーカー、膝丈スカートを合わせた姿で、同様に近寄ってきた。

 アクアは、ふたりが座れるように、フィアーナを抱えて、俺の足もとへと、移動した。


「心配させて、ごめん……」

「ごめんじゃないわよっ。

 ばかっ」

「戦闘力2500はっ、やばすぎるのに、

 立ち向かうなんて、あほやっ」


 謝ると、ユキネは、やや垂れ目で、青色の大きな瞳を潤ませながら、怒ってくる。

 リルも、垂れ目で、緑色の大きな瞳を潤ませ、怒っている。

 なにも考えず、怒りに身を任せて、動いていたな。


「わたしたちには、

 あなたが必要不可欠なのっ」

「みんな、リョウのことが

 大好きだかんねっ」


 必要不可欠、大好き……という言葉を聞いて、嬉しくなり、涙が溢(あふ)れ出した。

 サテラさんが来なかったら、悲しませてしまうところだったんだな。


「あなたを守れるように、強くなるから、

 2度と、無理して、戦わないでっ」

「犠牲になろうとするのも、

 あかんでっ」

「わかった……っ。

 2度と、無理して、戦わないし……、

 犠牲になろうとしない……っ」


 ふたりに、宣言した。


「フィア、ねえさんたち姉妹のどちらか、

 わたしたち姉妹のどちらかを娶(めと)って、

 わたしたちの家族を

 妾(めかけ)にして、幸せにすること、

 絶対に、悲しませないことも、約束よ」

「うん……。

 約束する……」


 めちゃくちゃ努力するけど、俺なんかが幸せにできるのか?

 ていうか、大事なところで、泣いていて、かっこ悪すぎるな。


「選んでほしい気もちを押し殺して、

 選ぶ余地を残してあげられて、えらい」


 リルが瑞々しく、艶やかな唇を動かして、甘く、明るい美声で、呟く。


「右手、触るわよ」

「うん……」

「「やくそくげんま〜ん、

 うそついた〜ら、はりせんぼん、

 は〜りせ〜んぼ〜ん、のます、

 ゆびきった」」 


 ユキネがリルとともに、左手の小指同士を絡めてきて、ロック調の約束の歌を紡(つむ)いだ。




 ふたりと約束したところで、成人サイズの影が左のほうに向かって、真上を通過した。

 左を見ると、成人サイズの影は、垂れ目で、橙色の大きな瞳の南銀獣族なハルネだった。

 ユキネの妹な彼女は、桜色のニットワンピース姿で、モミノを背負っている。

 モミノは、リルの姉だが、やや垂れ目で、濃い桜色の大きな瞳の南聖霊(せいれい)族。

 この種族は、若葉状の耳、そして、小麦肌が魅力的で、元々、南方大陸の南方に住んでいた。 


「下ろしますね」

「ありがとうござい――リョウたそっ!」


 ハルネが甘く、癒やされるような美声で、告げて、着地させると、モミノが橙色のニットワンピース姿で、甘く、色っぽい美声で、感謝を述べた。

 そして、こちらを見るなり、やや垂れ目で、濃い桜色の大きな瞳を潤ませ、運動靴、膝上丈の黒い薄タイツ越し、小麦色の美脚で、駆け寄ってくる。

 駆け寄る動きに合わせて、肩にかかる長さの淡い茶髪が靡く。

 さらに、右手首の〈花のルナリング〉――濃い桜色の〈ルナリング〉――、そして、橙色のニットワンピース越しの豊満すぎる胸が揺れる。


「えっ?

 おにいちゃん……!?」


 ハルネがこちらを見るなり、驚いて、両手で、口もとを覆った。

 そして、しゃがみ込んで、垂れ目で、橙色の大きな瞳を潤ませる。


 それによって、ツインテール状態の長い黒髪、桜色のニットワンピースの裾が少し舞い上がる。

 さらに、右手首の〈炎のルナリング〉――橙色の〈ルナリング〉――、そして、桜色のニットワンピース越し、モミノと同じ豊かさの胸が揺れた。



 モミノは、こちらに迫ると、心配そうに、美しく、涼やかで、魅惑(みわく)的な顔を曇らせて、両膝を地面に着いた。


「顔色が……!

 今、治癒するから……あれ?」


 モミノは、焦って、リルへの口調で、告げてくる。

 やや垂れ目で、濃い桜色の大きな瞳が輝き始めると、彼女が驚く。


「サテラ――」

「サテラさん……っていう女の人が

 治癒してくれたから、大丈夫よ」


 ユキネの美声がハルネのほうから聞こえた。

 そちらを見ると、ユキネがハルネの頭を撫でていた。

 腰が抜けているのに、泣きそうなハルネのもとへと、向かう。

 姉の鑑(かがみ)だな。



「うわっ!」


 モミノが小麦色の細い両腕で、抱きしめてきた。

 それによって、橙色のニットワンピース越し、圧倒的な豊かさの胸が押し当てられて、ドキドキしてしまう。


「よかったっ。

 愛しのリョウたそが無事でっ」


 泣いてる?


「魔力回復も、済んでるし……、

 こうなった元凶も……、

 フィアーナ、サテラさん、

 アーママが

 倒してくれたから……、

 大丈夫……」

「そうなんですねっ。

 サテラさんに、

 お礼しないといけませんねっ?」

「そうだね……」


 モミノが顔を合わせて、小麦色の美しく、しなやかな左手で、右ほおに触れてくる。

 そして、若葉状、小麦色の耳に、肩にかかる長さの淡い茶髪をかける。

 やっぱり、やや垂れ目で、濃い桜色の大きな瞳が潤んでいるわ。


「リル。サテラさんの特徴、教えて」

「うん。

 王竜族のおねえさんで、

 髪の長さは、モミノくらい。

 水色のローブを纏ってたよね?」


 モミノが両手で、涙を拭いながら、リルに尋ねる。

 すると、リルは、俺の右手を握った状態で、返答した。


「魔力の感じで言うと、

 すっごく強そうだったよぉ」


 リルに頷くと、アクアが追加情報を教える。

 王竜族のおねえさんは、見てなくても、魔力の感じで、強さを把握できるんだな。


「覚えておきます」


 また会えるとは、限らないけどな。



「おうち、帰ろうねぇ?」

「うん……」

「きーちゃんたちは、のんちゃんたちに、

 肩を貸してもらうとして、

 なーちゃんとリョウくん、

 ふたりとも、抱えるのは――」

「リョウさまは、

 わたしが抱えさせていただきます」


 サクラがブラウスに、膝丈スカートを合わせた姿で、現れる。

 そして、瑞々しく、艶やかな唇を動かして、甘く、優しげな美声で、告げた。


「じゃあ、リョウくんは、さーちゃんに、

 おねがいして、

 なーちゃんは、ママが抱えるから、

 のんちゃん、はーちゃん、

 ふたりをおねがいねぇ」

「はい」

「はいっ」


 アクアが指示すると、モミノは、返事して、俺の右手側へと、移動する。

 ハルネは、涙交じりの声で、返事して、ユキネに肩を貸す。


「姉なのに、助けてもらって、

 悪いわね」

「いいんです。

 ねえさまの役に立てて、嬉しいですし、

 お返しにも、なりますから」


 ユキネとハルネが立ち上がりながら、会話する。

 今さっきの行動、姉らしかったんだから、そう思わなくていいのに。


「ほら、リル」

「あんがと」

「うん」


 モミノは、リルに肩を貸して、立ち上がらせた。



「リョウさま、お手を失礼します。

 いちおう、掴ませておきますね」

「うん……」


 サクラが告げて、俺の左手首を掴ませてきた。


「抱えさせていただきますね」

「うん……」


 サクラが細い両腕で、俺を姫抱き――お姫さま抱っこ――する。

 姫抱きされたことにより、果実みたいな甘酸っぱいフェロモンは、血液のにおいで、感じられないが、ブラウス越し、モミノと同じ豊かさの胸が手の甲に触れて、ドキドキしてしまう。


「みんな、準備できたみたいだし、

 帰るよぉ」

「「はい」」

「はい。

 リョウさま、動きますね」

「うん……」


 アクアが指示すると、サクラは、モミノとハルネとともに、返事して、俺を姫抱きした状態で、街に向かって、歩き始めた。



「リョウさま、よかったですね。

 サテラさんとフィアのおかげで、

 危機を切り抜けられた上に、

 もうふたり、妻を娶れることになって」


 サクラが話しかけてきた。


「フィアーナは、初恋の彼女で、

 ずっと想ってくれているのに、

 ふたりと約束しちゃった……。

 フィアーナに嫌われて、

 捨てられちゃうよ……」


 アーシアからすれば、大浮気。

 100年の恋も、余裕で、冷める。


「そうならない……と思いますけど、

 もし、そうなってしまったら、

 わたしが癒やしてあげますね」


 サクラは、ご主人さま思いだな。



「眠っていただいて、構いませんよ」


 強い眠気が襲ってきて、欠伸(あくび)すると、サクラが言ってくれる。


「眠らせてもらうね……」


 サテラさんのこととか、上空の巨大な物体とか、気になるけどな。


「はい。おやすみなさい」

「うん……。おやすみ……」


 サクラに返事して、まぶたを閉じたところで、意識が途切れた。







 第一章「幼少年期 異世界生活の始まり編」、終了。


 次回、第二章、開始。

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