またしても
こんにちは
まあ。なんやかんやあったけど、スーが『もういいから行きませんか?』とエンの肩を叩いたお陰で僕達は次のステージへと来ていた。
「これはこれは御久しゅうございます。私はサンシャイン公爵家長女のヒカル・フォン・サンシャインです」
どこからともなく場違いなド赤なドレスを着た女性が出て来ると、ラララァーラララァーと鼻歌を交じりながら
「御会いできて光栄の極みです。さ、これは報酬です。」
ドサッと、スーに手渡しされた重みのある皮袋にはお金が入っていた。
それは、お金が特有の音が発生せずズッシリとした重量感の音は、まるで鉄の蹄とアスファルトが擦れる音に似ている。
ハイテンション&ハイスピード&意味不明な行動と共に、変に有名な家柄が絡んでスーは停止した。
「スー。やったぜぇ!」
しかし、僕が単にお金をゲットしたことで喜んだのもつかの間。
女は再確認する間も無く『冒険者はもう帰っていいぞ』と言われた時、スーはハッと気付くが既に遅い!
スーの『ちょっと待って下さい』と声を掛けるも『足りないの?でしたら……』と言われ、追加の金貨の入った袋が渡された。
……これはなんのお金なのか?このサンシャイン家と名乗る者は本当にアノ有名な"日が昇る"とされる者なのだろうか?アル様を一体どうするのだろうか?そういう思いが一気に駆け巡った時、奇跡は起きた。
「この先が私の部屋です。私は先に入ってますので……」
と言われて直ぐに
「ああ。アル、待っていたよ。」
階段を登った先にシャル・フォン・デカカッタナがいた。
なので、当然の如く。
「兄上!」
そんな感じで、ギュイン!とインコースを攻めて行く主は階段の先へと上り詰めるのだった。
「さ。貴族ルールなんてものはどうでも良いから入ると良い。好きな所に座ってくつろいでくれ。」
「お菓子だ!お菓子がたくさんだよぉ。」
一呼吸開けて3人のメイドは出入口に待機をしていたが『さぁ、エン・スー・ヤーも自由に座りなさい』と言われたことでスムーズに入って行ったのだ。
僕のハイテンションの声を聞きながら、プロークやリサ・他のメイド達から歓迎される。
それは部屋に入った瞬間、皆が立食パーティーのような接待となったのだ。
「アハハ。アハハハ。良い……」
笑い声にクスリと微笑むシャル兄は良い笑顔を向ける
「やはり良いな。……雨風をしのげるのは良い事だなぁ。アハハハァハァッ……」
「……」
ちょっと所ぢゃ無い程に、時が止まった感じが!?
「して?アルよ。」
急に劇を飛ばすシャル
「なんでしょう。」
んばっ!と、貴族っぽく形だけハマったやり取りをする事により、僕が言った重大なことはスルーされるのは間違い無いだろう。
「その……小動物はなんだ?あと、スーの持っている大金は……」
明らかにシャル兄の指先はスーに向かっていたが、僕のあとを追いかけるパブゥがどうしても目に入ったのだろう。最終的には指先はパブゥになっていた。
簡単に言うと、先手ブルドッグという奴だ。
「ああコレは……生成しました。」
スー達への嘘は日常へと変わりつつあったので、最近のパブゥの偽装は経験により僕の耐久性は上がっていたのかもしれない。しかし、久しぶりに会う兄さんに対して同じ対応ができるか?と聞かれればそうではないだろう。
僕は正直者さ。
だけど
「ははーん。絶滅危惧種を隠し通せる言い訳には聞こえないぞ。私だったら父上に助力を申し出るぞ。」
ああ。これはイタイ。……どこかへ行きたい。
「父上ですかぁ……。父上達は動物に戯れるといった行動は見たことが無いのでぇ……ちょっと自信が」
「大丈夫だ。そういう機会が無いだけで、きっと父上や母上達をも力を貸してくれるに違いないよ。」
『うん。そんなに可愛い小動物なんだし』とニコッとする兄の顔を見続ける強いハートを持ち合わせて無い僕は、また嘘っぱちな発言をする。
「さすが兄上。ご賢察は凄いですな。ですが、この小動物は僕の命令が無いかぎり食事を一切とりません。なので父上の屋敷を行くとなると……」
「なるほど。忠義の硬いヤツなのだな?おそれいったぞ小さき巨人よ。」
うん。飛んで行きたい。
と?思った瞬間!!
〈聞き耳失礼しまっ。スキル捜索犬極をアイテムボックス極と同化……成功しました。新たにスキル名を捜索犬極改とします。
尚、新たに取得したスキル内容は①主人の親族の命令を聞く事が可能②親族も守る事が可能。効果はスキル忍術③収集物はアイテムボックス極と同等④飛行。
では、またの御来店を待ち遠しく待っています。〉
【飛行モードON?……YES/or/NO】
「(ノーですよ。)」
あたり前だろうが。
そして僕の思いとは裏腹に、タイミング良く『アルの兄ちゃんだぞ。来なさい』という言葉に『ピャンピャン』と声を出して行かれるスキルに"マジで飛んで行くなよ"と念押ししといたのは言うまでもない。
「で?アルよ。その大金はなんだ?」
深く沈むソファに優雅に座った兄上の膝の上には、パブゥが座っている。そして、パブゥの顔のシワを摘まんだりプニプニしたりしながら言うのだ。
「さぁ?わかりません。ですがスーに手渡しとなると……」
「まさか!?もうパブゥを狙っているとな!?」
違う。
「いや。違うでしょう。」
「何故そうと言いきれる!?」
「……(飛べ!そして父上に挨拶するのだぁ。)」
突然この部屋にジェット機が舞い降りたかのような風が吹き荒れると『なっ!?私のパブゥが』と兄上が言ったのだけど僕は冷静に『急いでトイレへ行きました』と声をかけると『なるほど』と言って落ち着いていた。
「ん?ヒカル様。どうされたのかな?」
時は、3分前に戻る
「ってぇ!?居ないじゃん」
そんな声を出した少女は後方にいたメイドからデカカッタナ家で現班長であるシャルと御会いされていることを聞き、いても経ってもいられず走り出した。
が、しかし!
自分より少し身分が上の班長の部屋立ち入る事が出来ないため、部屋の前でウロウロしていた矢先、突然の突風が来たのだ。
そして、ドアは勝手に開かれたのだ。
また、会いましょうや




