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二人の聖女


 〈☆??? 船の中のせまい部屋。〉



「ーーーーーーーー」


 誰かの声が扉の向こうから聞こえる。

 ラビィはゆっくりと瞳を開けた。暗い部屋に目が慣れたみたいで、暗闇の中にぼんやりと荷物が置かれているのがわかった。


 カシャとドアの鍵穴に鍵を挿した音が聞こえた。それは二、三度音を立てて、鍵穴があい、部屋にわずかな光がもれる。


「ラビィさま……」


 ーー誰??


 光の中から人影が見える。

 その人影は、固い地面に座っている私を見て、慌てて近寄って来た。


「ーーお怪我はありませんか!?」


  水色の髪の毛。ダイヤモンドの瞳。その色は暗い部屋でも際立っていた。


「ひとまず安全な場所へ移動しましょう」

 

 あたたかい青の炎が私の腕を拘束していた光の輪を切り裂く。


「さぁ、足元お気をつけて」


 まぶしい光の中に包まれる。暗い部屋から出ると、男性のしっかりとした男らしい腕が見えた。灰色のシャツに、黒のパンツ。ラビィは背の高い男の背に隠れるように後ろを付いて行った。





 〈☆××海岸。馬車の前。〉


 

「観光は楽しめましたか? 午後にはシリウスさまのお仕事がありますので、そろそろお屋敷に戻られますか?」


 「ラビィさま?」


 メイドに名を呼ばれ、シリウスの横の少女は軽く頷いた。

 

 シリウスはメイドたちに先に荷物を馬車に乗せるように伝えた。


 「シリウスさま、出発のご準備が整いました。ーーって、あれ? シリウスさま?」


 今まで馬車の前に立っていた二人は姿を消した。





 〈☆××海岸。浜辺。〉



「ーー君のことは十分に調べさせて貰った。オマエの目的は僕だったのか」


 今まで穏やかに会話をしていたシリウスの表情が強張った。



 シリウスが見つめる先のラビィにそっくりな少女は微笑した。


「なぜ僕らに接近した? 接近すればすぐに正体がバレることも承知の上だろうに」


 女性はいっこうに言葉を話そうとしない。それに違和感すら覚える。


「ーーなぜ、ずっと黙っている?」


 少女は悲しそうな目でシリウスの瞳をじっと見つめたままだった。





 

 〈☆王国騎士団。隔離室。〉

 


「ーーそれで? ラビィさんの記憶を消したヤツは誰なの?」


 隔離室には小さなテーブルが置いてあった。テーブルには切れ長の眼光の鋭い男が座っていた。上下真っ黒の服。低い声とは裏腹に妖しく微笑みを浮かべていた。


 男の向かい側に座る人の煮え切らない答えに、イライラした男はにこっと笑って、指を上に跳ねた。


「ーー団長!! 教会で魔法は禁止されております!」


「ーーああ、そうだったかな? でも、絶対に聖女さまは守らないといけないという魔法使いの規則をやぶったのは君たちだよね?」



 一瞬瞬きをした瞬間、何かの爆発音が聞こえた。隔離室の壁が崩壊し、部下たちの悲鳴が聞こえる。



「ーー聖女さまに手を出したこと、これは騎士団にも、魔法使い全員の命に関わることだから、君はどんな罪をも被るって認識であっているよね?」


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