活躍できるとき
僕はとうとう歯が痛くなった。
信頼できる歯医者さんに行かないと!
町の歯医者さん、白瀬歯科医院の隣にあるクリニックへ行こうとすると、大好きな白瀬先生に呼び止められてしまった。
「どこへ行くんだい?きたまえ」
行き交う人に助けを求めている僕の口を手でふさぎ、先生が僕を白瀬歯科医院へと引きずっていく。
治療室の椅子に座らせられた僕に、白衣のお姉さんがエプロンをかける。
もうダメだ!
僕はあきらめた。
「どうしたんだね。僕の出番のようだけれど」
先生がうなだれた僕をレントゲン室に引きずっていく。
写真を取ると先生は僕に説明を始めた。
「プルだ!こんちが必要だ。コアはファイバーにしよう。もちろんオールセラミックでほてつする!」
先生にもこんな専門知識があったんだ!
僕は先生を見直した。
信頼できる。
「心配しなくていい。炎症がひどいから麻酔は効かないだろうが、どうでもいい。僕が痛いわけじゃない!」
麻酔が効かない!
ドリルのピーンという音が響き、痛む歯が削られ始めた。
僕の脳天が炸裂する。
「やはり深い」
あー!
「今から根っこの治療だ!」
僕は気絶した。
目を覚ますと先生が優しく微笑んだ。
僕は人を見る目がない。
悔やんでいると先生が語りかけてくれた。
「治療はうまくいった。やはり僕のところへ来て良かった」
治療が成功。
やっぱり先生はすごい。
そのとき、治療した歯の両隣の歯が崩れた。
あー!
僕は気絶した。
〜活躍できそうなときでも、失敗することはある〜




