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東西故郷物語 ~Memories of Hometown  作者: ミサゴ
第3章 静けさの町
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第022話 - 国のやり方




「こっ、こんな牛肉が60イースト(日本円換算6,000円±)!?たっか!」


「こんなべらぼうな値段でもさ、食糧難だから皆買ってっちゃうんだよね…」


「死ぬぜ、このまま東側に居たら。」



-宮城県仙台市。

首都となったこの市街地。

閑散としたこの街のスーパーで、複数の若者達がこうして言葉を交わす。

震災から2ヶ月余り。

この激震による影響は、既に東北圏内にまで及ばされていた。


「栗原スラムエリアの奴ら、今頃飢え死に続出じゃねぇ?」

冗談掠めで俺はこう言った。


「ははは、今ならこの肉も100ドル近くで売れるかもな。」

知人も冗談任せで笑いながらこう言う。




家に帰ってテレビをつける。

報道規制が敷かれた番組は、首都圏大震災には軽々と触れた後、淡々と明るい話題を報道していた。




「支援を打ち切るだなんて、余りにも有り得ない事だ!」


「矢ヶ部総理、貴方は一体南関東の1000万人余りの人命をどう考えてるんですか!?」


仙台の国会では、もはや恒例のお祭り騒ぎかのように怒号が飛び交う。


「ではこちらから改めて皆さんに問いましょう。貴方は普段使わないような屋根裏の空間を毎日隅から隅まで綺麗に掃除しますか? 使いもしない雑巾を毎日毎日高い洗剤を使ってピカピカにしますか?」


まるで、国のトップとは思えない発言も、ここから生まれた。

馬鹿な国のトップが、ひたすら馬鹿な事ばかりを吐き捨てて政治を混乱の沼へと引き摺り下ろしてゆく。

そんな事をよそ目に、今日も一日平凡に過ごしてゆく。



俺は昔から仙台の街で生まれ、仙台の街で生き過ごしてきた。

「うぅん…この人の発言のどこがおかしいのだろうか。」

一人暮らしの部屋の中、独り言を口走る。

俺はこのやり方には一切の不満も抱かなかった。

むしろ、この政治の進め方には賛成の手を挙げていた。



「成功の為の犠牲だ」と言う言葉が小説や漫画で使われている通り、このまま西側が存続してゆくためには必ず何らかの犠牲が必須なのは分かっていた。

だって、既に1,000万人以上を見放し、犠牲にしているじゃないか。



この国では、国のトップに大幅に逆らうとそのまま監禁され、刑務所に放り込まれるか強制労働を強いられる。

例によると、著作物などによる政治批判。

新聞やテレビを利用した政治批判だ。



俺の首元に残る、長方形の角だけを取ったような穴の跡。

東側では、脱東を防ぐ為に国民全員への情報埋込みカード(ICチップ)の埋設が震災前から義務付けられている。

完全監視社会となった今、「楽園」と呼ばれる西側へ行こうと言い出す者は本当に居なくなった。









そんな社会の中、1人だけ国のやり方を真っ向逆な考えを持つ政府の役人が居た。



国のトップ達は奴を「天邪鬼」と呼んでいる。





が、当の本人が後に世界に賞賛されるのは、まだまだずっと先の話である。

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