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【完結】魔導士団長アンクの秘めごと  作者: くれは


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エピローグ

 ルス団長に告白されて恋人同士になってから1年が経った。


 また同じ季節が巡ってきたわたしはパタンと魔法書を閉じる。


「読み終えたー!」


 わたしが居るところは王立図書館だ。黒い団服ではなく、所々に金の装飾がされた白いローブ姿をしている。つまり、お分かりだろうか?

 このローブは、魔導士団だと団長であるアンクしか着られないものだ。


「ははっ……まさか、わたしが団長になるなんてね」


 あれからルス団長と2人揃って、国王陛下へ頭を下げに行った。事情を理解してくれた国王陛下は、反対に謝罪までされて慌てたのは言うまでもないだろう。女だからという理由だけで、試験すら受けられないのはおかしい話だからね。

 そうして、わたしは何のお咎めもなく新団長になってしまった。


「……これは正直言って想定外だった」


 アンリとして働かなくて良くなったから、仕事量は減ったけど……。魔法の探求時間が削られる! だって、このために団長しか入れない地下室の魔法書は全て読んだんだよ。

 まぁ、そんなわけで時間をかけて残りの本を読んで1年経ってついに全制覇した。


「精霊様の魔法や、固有魔法についてはやっぱり不足してたなぁ」


 わたしは最後の本を棚に戻して王立図書館をあとにする。実は、今日もう1つ大切なことがあるんだ。


 長い廊下を歩いていき、訪れたのは温室。あのときと同じピンクの花と、青いペリースをなびかせる黒髪のイケメン……。ルス団長と付き合ってからちょうど1年を迎える。


「その顔は、全ての魔法書を読み終えたようだな」

「あはっ。分かります? 精霊様のことや、固有魔法についてはやっぱり新しい情報はありませんでしたけど」

「君はとても分かりやすいからな。それで、これからあの店に行こうと考えていたんだが、どうだろうか?」

「是非っ!」


 ルス団長がわたしたち2人を誘った同じ店だ。あのときは、顔を赤くして恥ずかしがる貴重なルス団長を見られて最高だったなー。


 にやけているのが顔から分かったようで、軽くほっぺたを引っ張られる。


「ひゃあ。やめてくらさい」

「君が、俺の失態を思い出して笑っている気がしたからな」


 さすが、勘の良い男。ルス団長だ……。わたしたちが恋人同士なのは国王陛下から、お城の人なら誰もが知っている。同じ部署だったら確実に飛ばされていたかもしれない。実力があって団長同士だから仕方ないね!


 わたしたちは半休を取っていたため、着替えを済ませて2人してお城を出た。色んな脅威はあったけど、そんなことなど知らない王都はいつもと変わらず活気に満ちている。

 王城が街から少し離れているから、2度の騒ぎも国民は知らなかった。騒動がお城で良かったのかもしれない。


「なんだか不思議な気持ちです。もう1年も経っているのに」

「ああ……そうだな。君の魔法には驚かされたが」


 わたしはルス団長の素直さと、騙されたのに怒らない大人力で驚かされたけどね!

 いや、意外と抜けてるからかもしれない……。


 気持ちのいい風が頬を撫でる。この季節は王都に訪れる旅商人もいて、広場で出店が出ていた。

 少しだけ視線を向けると去年はなかった装飾品店がある。思わず足が止まったけど、再び歩きだすわたしと違って出店へ向かうルス団長を追いかけた。


「ちょっ……ルス様。お店はこっちですよ」

「知っている。だが、君はこの店を気にしていただろう?」


 嘘っ……。先を歩いていたのに、わたしが見ていたの分かったの?

 えっ? ルス団長って超能力者かな?


 わたしはプライベートだとルス団長のことを様付けで呼んでいる。だけど、1年経っても慣れなくて……心の中では相変わらずルス団長だ。


 出店には色とりどりの装飾品が売られている。宝石から、素材まで違って見ているだけで楽しくなった。

 そして、その中から1つを手に取ったルス団長を見て目を丸くする。


「えっと……」

「可愛らしいと思わないか?」


 それは、子供が作ったのかと見間違えるほどの表情をした猫の形をしたイヤリングだった。なんて言ったらいいんだろう……。

 過去の記憶で言うのなら『目が1本線の猫』だ。しかも、それなのに素材が白金で出来ているらしい。


 なぜ⁉


 驚きを通り越して話し込む店主とルス団長を交互に見る。あれ? もしかして、わたし蚊帳の外……。

 ルス団長が楽しそうだから良いんだけど。もしかしたら、趣味は悪いのかもしれないと頭を過る。


 ルス団長、絶対騙されるよ! わたしの目から見ても素材は本物だけど、作者を教えてほしい。


「良い買い物をした」


 あっ……。気づいたら購入してた。だけど、イヤリングだよ? いや、男性もするけど……ルス団長はしていない。

 そうして心の中で悶々していたら、スッと長い手が伸びてくる。


「……これは君への贈り物だ。別にも用意していたが、貰ってくれないだろうか」

「えっ?」


 別にも用意してくれているんだ。ルス団長って根本的に素直だよね。


「あっ、ありがとうございます。嬉しいです」


 よく見ると、可愛い見た目かもしれない……多分。猫は好きだしね?

 あっ……またあの顔! ドヤ顔してるよ。もう、1年経っても変わらない……寧ろ、わたしの好き度が上がったせいで、どんどん可愛く見えるよ!


「もぉ~! 今日も私の団長は可愛くて心配になる!」


 目の前のイケメンが目を見開く姿に一瞬思考が停止した。少しして瞬きをするルス団長に口から出ていたことが分かって思わず両手で塞ぐ。

 わたしは満面の笑みで誤魔化してみるけど、さすがのルス団長も騙されなかった。

最後まで相変わらずの二人でしたが、いかがでしたでしょうか?

少しでも、楽しいと感じて頂けたら嬉しいです。


皆様、応援していただき有難うございました。

次回作は別サイトなので、暫くなろうに新作は上がりませんが、また楽しんで頂ける作品を書けたらいいなと思います。

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