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監査令嬢~仕事を減らしたいだけなのに、王国が勝手に改革されていきます~  作者: 涙目
第二十四章 知識信仰編

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番外編 そういうものなのでしょうか?

この物語は全てフィクションであり、実在する人物、事件とは一切関係ありません。

 朝から監査局が妙に落ち着かない。


 誰かが時計を見る。

 誰かが窓を見る。

 誰かが書類を落とす。

 誰かがソワソワしている。


 しかし。


 当の本人。


 アメリアだけが平常運転。



「局長」


「はい」


「今日は何の日でしょう?」


「火曜日です」


全員脱力。


「合ってますが、違います」


「違うのですか?」


 本気で分かっていない。



 そして仕事開始。


 午前終了。


 昼終了。


 午後終了。


 アメリアだけいつもと変わらない。



 夕方。

 仕事終了。


 監査局員達が妙にソワソワする。


 アメリアは書類を片付ける。


 そこへ。


 扉が開く。


「皆様」


 ミリアだった。


「行きましょう」


 監査局員達が立ち上がる。

 状況が飲み込めないアメリアだけだった。


「どこにでしょう?」


 ミリアが微笑む。


「来ればわかります」



 移動。


 監査局員達。

 アメリア。

 ミリア。


 全員で歩く。


「どちらへ向かうのでしょう?」


 質問する。


「秘密です」


「なるほど」


 全然なるほどではない。



 ホールに到着。


 舞踏会用ホール。


「ここは……」


 扉が開く。


 そこには。


 公爵家の面々。


 父。


 母。


 執事ハロルド。


 庭師。


 使用人達。


 さらに。


「マリアさん?」


 思わず驚く。


 そして。

 みんな笑っている。


 アメリアだけ状況が分からない。


「これは何でしょう?」


 全員。


「まだ分からないのか……」


 公爵が前へ出る。


 グラスを持ち上げる。


「それでは」


 全員がグラスを取る。


 アメリアも渡される。


「アメリアの誕生日を祝って」


 一瞬の静寂。


「乾杯!」


「かんぱーい!」


 ホール中に声が響く。


 アメリア。


 完全停止。


 ぱちりと瞬きをする。


「誕生日……」


 ようやく理解した。


 母が笑う。


「そうですよ、アメリア」


 ミリアも微笑む。


「おめでとうございます」


 監査局員達も続く。


「おめでとうございます!」


「局長!」


「誕生日おめでとうございます!」


 次々と祝福される。


 アメリアはしばらく固まる。


 戦争もあった。


 監査局もあった。


 政争もあった。


 忙しかった。


 だから。


 本当に忘れていた。


「……」


 少しだけ目を伏せる。


 そして。


「ありがとうございます」


 静かに頭を下げる。



 宴開始。


 監査局員達が騒ぐ。


 公爵が酒を飲む。


 母が楽しそうに笑う。


 ハロルドが料理を取り分ける。


 庭師は隅で緊張している。


 マリアは平然と食べている。


 アメリアはその光景を見る。


 昔なら考えられなかった。


 こんな風に。


 誰かに祝われる日が来るなんて。


 不意に。


 ルルリアが近寄ってくる。


 アメリアの服をつまむ。


「?」


 抱き上げる。


 ルルリアが笑う。


 また理由は分からない。


 だが。


 今回は答えを知っている人がいた。


 ミリアが笑う。


「ルルリアもお祝いしたいのでしょう」


 アメリアはルルリアを見る。


 そして。


 少しだけ微笑む。


「そういうものなのでしょうか」


「はい」


 優しい返事。


 賑やかな声。

 笑い声。

 乾杯の音。


 その中心で。


 アメリアは静かに思う。


 悪くない誕生日だ、と。

お読み頂き、ありがとうございます。

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