水龍ダンジョン 1
ということで、リバイネ様のダンジョンを作ることになってしまった。
ミランダ社長が提案したのも訳がある。リバイネ様から吸い取った魔力はDPとして保存しているのだが、使い道が今のところないらしい。せっかくのDPが無駄になるので、どうせならダンジョンを作ってみないかということだった。
リバイア様はミランダ社長にいう。
「そういえば、ダンジョンの運営を通じて長命種ならではの悩みを解決し、己を高めていくと発表された論文「長命種のためのダンジョン療法」に書かれてましたね。リバイネにも責任ある仕事をさせましょう」
リバイア様は賛成してくれた。
ダンジョンを一から構築するのは骨が折れる。コンセプトを考え、スタッフを集め・・・やることは無数にある。ドライスタ様のダンジョンの本オープンもあるし・・・・。
ドライスタ様は言う。
「我のダンジョンの本オープンは少々遅れても構わん。リバイネのダンジョンを優先させてくれ」
これを受けて、本格的にリバイネ様のダンジョンを作ることになる。
ミランダ社長が言う。
「リバイネ様のダンジョンを作るに当たって最適な人材がいるのよ」
次の日、ミランダ社長が連れて来たのは、クワトロメイズのアーティストでマーマンのマモンさんだった。
「ミランダ社長から『研修をさせてあげるからついて来きて』と言われて来ただけなんですが、一体どういうことでしょうか?」
マモンさんは水系のダンジョン構築に定評がある若手のホープだ。クワトロメイズのアーティストで唯一研修に参加できなかった。後日、別で研修するとは言ったものの、なかなか研修をさせてあげることができなかった事情がある。
ミランダ社長が言う。
「マモンさんにはリバイネ様のオリジナルダンジョンを作ってもらいます。水龍であるリバイネ様がマスターとなるので、水系ダンジョンが得意なマモンさんがピッタリね。研修だと思って頑張ってね。因みにDPは腐る程あるから思い切ったコンセプトで作れるわ!!」
「研修は有難いのですが、僕にできるでしょうか?まだメインダンジョンも作ったことがないのに・・・」
マモンさんは自信がなさそうだった。
「失敗してもいいのよ!!駄目水龍の教育が目的だから!!」
(ミランダ社長!!それは言いすぎでしょう)
「それと優秀なスタッフを付けるわ。タリーザ、あなたは今日からマモンさんの補佐ね」
急に話を振られたタリーザは、戸惑う。
「そ、そんな、急に言われましても・・・・」
ここでリバイア様が話に入ってくる。
「タリーザ、あなたはよくやってくれています。あなたが推薦したダークリザードのスタッフも従者として十分働いてもらっています。私からもお願いします。この話を受けてください。そして、あなたにはリバイネの教育係もお願いしたいと思います」
「リバイア様がそう言われるなら、謹んでお受けいたします。マモンさんでしたっけ、あなたも男なんだから覚悟を決めてしっかりやりましょう!!よく考えてください。大陸初の水龍ダンジョンを作るお手伝いができるんですよ」
タリーザはマモンさんとは違い、リバイネ様のお世話ができるということで張り切りだした。マモンさんはというと、しばらく考えた後、この話を受けることになった。
こうして水龍ダンジョンプロジェクトは動き出した。
プロジェクトの柱は二つ。
ダンジョンの構築とリバイネ様の教育だ。
ダンジョンの構築については、今あるドライスタ様のダンジョンとどのように差別化を図るかが問題となる。因みにニューポートではドライスタ様のダンジョンを「龍神ダンジョン」、リバイネ様のダンジョンを「水龍ダンジョン」と呼ぶことが正式に決定したらしい。私達もこの呼び名をそのまま使うことになった。
一端、やると決意したマモンさんは、積極的にコンセプトや意見を出してきた。
「私はマーマンで、補佐をしてくれるタリーザはダークリザードで、ともに水中活動が得意な種族です。私の夢は水中活動が得意な種族が活躍できるダンジョンを作ることです。今回の水龍ダンジョンではそのコンセプトを基に素材採取に特化したダンジョンを作ろうと思います」
ダンジョン構築は順調だった。
元々マモンさんは、いつテトラシティのメインダンジョンを任されてもいいように様々なダンジョン案を既に持っていた。マモンさんは、クワトロメイズの代表のクリスさんも実力を認める存在で、「後は経験と自信が出てくれば」と言っていたそうだ。なので、今回の研修ではマモンさんに多くの経験させてほしいとのことだった。
正に今回の水龍ダンジョンの構築は、打って付けの機会となった。後は水龍ダンジョンが成功して、マモンさんが自信をつけてくれれば、言うことはないのだが・・・。
もう一つの柱であるリバイネ様の教育は・・・・困難を極めていた。
今もリバイア様とタリーザの怒号が飛び、リバイネ様の悲鳴が聞こえてくる。
「リバイネ!!なんでそんなこともできないの?今まで何をやっていたの?」
「リバイネ様、何度も言っているようにキチンと礼儀正しくしてください。古龍としての自覚を持ってもらわないと困ります」
「ダークリザード風情が偉そうに!!妾を誰と心得る・・・グワ!!」
リバイア様に拳骨を喰らわされた。
「従者にそんなことを言うとは何事ですか!!タリーザ程、我らの従者に相応しい者はそうはいません。敬意を持って接しなさい!!それに妾とか、今時、誰も使いませんよ。我に直しなさい!!」
「ご、ごめんさい・・・・」
そしてこれからしばらく、私の任務はリバイネ様の行動確認が主な仕事となってしまう。又ダンジョン関係とは別の仕事だ。
最近よく思う、ダンコルをクビになったら、私はダンジョン関係の仕事に就くことはもう無理かもしれないと。
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