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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
第四章 オリジナルダンジョン

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10組目の攻略パーティー

今日はニューポートの地元パーティーがダンジョン攻略に挑戦する。その名は「阿修羅&ゴブリンズ」だ。領主である勇者が、何とか地元からも攻略パーティーを出したいということで、根気強く育成してきたパーティーだ。

メンバーはニューポートの文官トップでニューポート出身のゴブリン族ゴブル管理官、ゴブル管理官の秘書で阿修羅族のシクス、地元のゴブリン族の冒険者姉妹カリンとコリン。それに、臨時でシクスの従弟で元魔族チームのアッシュを加えたメンバーだった。

前衛は阿修羅族の二人、後衛は弓使いのカリン、魔法使いのコリンでゴブル監理官がサポーター兼司令塔の役目だった。


今回は、ダンジョンの難易度は上げたままだが、奇をてらったことはせず、魔物はすべてオートモードで管理している。

というのもキョウカ様の希望で、このパーティーの攻略挑戦に合わせて、定例会という名のお茶会を開くことになった。今回も前回と同じ、「試練の塔」からはキョウカ様、ミルカ様、骸骨騎士様ロンメルさんが参加し、「ミスタリア」からはラッセルさんとミーナ、「光の洞窟」からはネロスさん、「クワトロメイズ」からはニールさんとルキアさんが参加している。

それと特別ゲストとして、吸血族で「血のダンジョン」のダンジョンマスターのアスタロッテさんが参加している。実際のダンコルの活動を視察したいという要望に答えたものだった。


心配していたアスタロッテさんも、参加者と打ち解け、クワトロメイズのニールさんとテトラシティのサブダンジョンの構築計画を話していた。


DPダンジョンポイントはそちらが全額負担していただけるのですか?」


「そうですね。私どもは血液が集まればそれで充分なので」


「それでは、こちらがかなり得をしてしまいます。そうだ!!こういうのはどうですか?・・・」


血のダンジョンのテトラシティへの進出が決まりそうだった。


そして本日、いつもとテンションが違っていたのは「光の洞窟」ネロスさんだった。興奮気味に話している。


「今回の阿修羅&ゴブリンズには期待しているんですよ。ゴブリンでもやれるというところを見せてもらいたいんですよ。私もゴブリン達の管理者として・・・・」


管理者としての心構えなどを熱く語っているが、本来のダンジョンマスターという役割を完全に忘れている。

そんな和気あいあいとした雰囲気の中、ダンジョン攻略に臨む阿修羅&ゴブリンズを観戦することになった。


阿修羅&ゴブリンズの攻略は順調だった。

ただ、観戦しているネロスさんだけは少し問題があったけど・・・。


「おい!!阿修羅族!!しっかりゴブリンを守れ!!しっかり周りを見ろ!!」


大声で阿修羅&ゴブリンズを応援している。かなり迷惑だ。流石にキョウカ様に注意される。


「ネロスさん。静かに見守ることも大事ですよ」


「取り乱してすいません。管理者として常に冷静でなければということですよね」


(だから、あなたはダンジョンマスターですから・・・)



ネロスさんの応援のおかげか、阿修羅&ゴブリンズは3つのエリアを無難に攻略していた。やはり阿修羅族のコンビが強力だ。この二人だけでも並みの魔物なら殲滅できるだろう。後衛の二人は火力が無い分確実に二人のフォローに回っていた。特に飛行系のエリアでは魔法と弓でボスモンスターを地上に落としていた。

連携の取れたパーティーだ。ただ、ゴブル管理官だけは、戦闘にほとんど加わらず、指示とアイテムの補充のような仕事をしているのが少し気掛かりだ。



しばらくして、回復や武具の点検を終わった阿修羅&ゴブリンズは転移スポットからダンジョンボスエリアに転移した。彼らを待ち受けるのは・・・・


「ミスリルゴーレムです。DPダンジョンポイントのコストをかなり下げて、ゴーレムを作りました。コスト削減の関係から・・・・」


ヘンリーさんの説明が始まる。かなり大きなゴーレムで高さが5メートル以上あり、全身がミスリルで覆われている。ミスリルだけあってかなり防御力は高いのだが、欠点もあるようだ。


「ミスリルリザードなどのようにミスリルの弾丸は撃てません。それと自動回復スキルもかなり性能を落としています。パワーはかなりあるので、その辺は心配ないかと」


ヘンリーさんの説明を受けて、クワトロメイスのコーディネーターのニールさんとミスタリアのラッセルさんが話し始める。


「DPの消費をここまで抑えて、この性能なら十分ですよ。うちの「脳筋将軍」ことオーウェンさんは好きそうですね」


「うちで使うとしたら、素早いけど耐久力のない魔物に使うかな。ドロップ品を豪華にして、討伐を難しくすれば冒険者も喜ぶと思う」


評価は上々のようだ。


戦闘はというと阿修羅&ゴブリンズは苦戦していた。ミスリルゴーレムは、かなりのパワーで阿修羅族のコンビも舌を撒くほどで、ゴブリン姉妹の弓と魔法の攻撃は、ほとんどダメージを与えられないでいる。

ネロスさんは叫ぶ。


「頑張れ!!頑張るんだ!!ゴブリンの意地を見せてやれ!!」


(だ・か・ら!!あなたはどっち側の人間なのよ?)


このままの戦況なら、阿修羅&ゴブリンズは安全策を取って、撤退するだろう。ミスリルゴーレムのプレゼンもできたことだし、こちらとしては満足した結果だ。


しばらくして、何を思ったか、阿修羅族のコンビは揃ってミスリルゴーレムに体当たりした。通常攻撃が効かないからヤケクソになったのだろうか?

しかし、何とその体当たりで、ミスリルゴーレムは吹っ飛ばされた。

ヘンリーさんは言う。


「気付かれたかもしれませんね。コスト削減のため、重量は見掛けよりもかなり落としてます。言ってみれば張りぼてです。それにゴブル管理官はもう一つの弱点にも気付いたかもしれませんね」


そうしたところ、ゴブル管理官はゴブリンの姉妹に指示を出し、ワイヤー弾を撃たせた。ワイヤーでミスリルゴーレムの動きは制限されたが、長い時間の拘束は無理だろう。

するとゴブル管理官は等身大の人形を出した。その人形は弓を持った美しい女性だ。どことなく、魔道弓兵部隊のアルテミス王女に似ている。

そして拘束されているミスリルゴーレムの頭部に人形を抱き着かせて、自爆させた。ドーンという爆発音のとともにミスリルゴーレム頭部のミスリルコーティングが剝がされてしまった。


ミスリルゴーレムのもう一つの弱点である自動回復能力が低いところを狙ってきたのだろう。すると、阿修羅族のコンビが息を合わせて、ミスリルゴーレムを持ち上げて、頭部を地面に打ち付けた。

その攻撃で動かなくなったミスリルゴーレムは程なくして消滅した。


「見事な戦いでしたね。ゴブル管理官は指揮官としての才能があるようだ」


ヘンリーさんは言う。


「そうなんですよ!!ゴブリン族は、不遇の歴史をたどってきました。その中でも頑張って、健気に生きていく姿は、本当に尊く・・・」


ネロスさんがゴブリンの歴史について語りだした。この人も自分の興味のある話になると周りが見えなくなるタイプの人間だ。


最後に大喜びしている阿修羅&ゴブリンズを見ながら、ミランダ社長は言った。


「戦力は整ったと思います。そろそろ、リバイネ様の救出

作戦を開始しようと思います」



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