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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
第四章 オリジナルダンジョン

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ダンジョン戦争 8

作戦本部に防音の結界が施されてから3日が経った。

情報部隊のミーナもお手上げのようだ。


「過敏なくらい情報を漏らさないようにしているわ。私も今日は、実際作戦本部の出入りを確認するくらいしかできてない。変わったところというと、連日勇者が作戦本部に詰めている。それと作戦本部の人間が鎧や剣を準備していたから、ダンジョンに入っていない本部員をここで投入するんじゃないかしら?」


「難しいところを情報を取ってきてくれて、ミーナさんには感謝しているよ」


ヘンリーさんがミーナを褒める。

しかし、ますます相手が何をやってくるか分からなくなった。一体どういった作戦でくるのだろうか?


そして次の日もオルマン帝国軍部隊はダンジョン攻略にやって来た。今日も昨日と同じ覆面をしている。

ヘンリーさんが言う。


「どこかに攻略をメインにしたパーティーがいるはずだ。すべてのパーティーを分析することは難しいから、エリアを一つでも攻略したパーティーは積極的に分析していこう」


しかし、帝国軍部隊もなかなかのもので、エリアを一つだけ攻略して、帰還するパーティーもいて、どれがメインで攻略するパーティーか分からなくしていた。

そんなとき、ダクネスが叫ぶ。


「見付けたッス!!18番の斥候がいたッス!!今回は弓兵のフリをしていたッス!!」


エリーナも確認して報告する。


「間違いないです。それに別の斥候部隊員をパーティーに組み込んでいます。それで気付くのが遅れたんだと思います」


オルマン帝国軍の作戦は、ギリギリまで、メインで攻略を狙うスペシャルチームを悟らせないようにすることだった。


「植物系、鉱山系エリアはすでに攻略されてます。飛行系エリアで対処しましょう」


ここでもヘンリーさんは落ち着いていた。最終的にはエリアボスまでたどり着かれたが、ボスと交戦中にロックゴーレムを出現させる奇策に出て、魔法使いと18番ではない斥候に重傷を負わせ、撤退に追い込むことができた。

これで今日も私達の勝ちだ!!そう思っていたが、再びダクネスが叫ぶ。


「もう一組いたッス!!体の大きなタンクが二人、剣士、斥候、魔法剣士の5人パーティーッス!!」


分析すると体の大きなタンク役はそこそこの腕前で、防御に関してはかなりの者だった。逆に剣士と斥候の動きは未熟で、骸骨騎士様ロンメルさん曰く、新入隊員に毛が生えたくらいの実力しかないとのことだった。いずれも今回ダンジョンに来るのは、初めてのようだ。


一番目に付くのが年配の魔法剣士だ。遠距離攻撃から近接戦闘、回復役まで幅広い活躍を見せていた。タンクの二人も特徴があり、正面からの攻撃を受け止める若いタンクと奇襲攻撃をすぐに察知して受け止める、年配のタンクがいる。

剣士と、斥候は全く攻撃に参加せず、自分の身を守ることに集中している。戦闘は実質、タンク二人と魔法剣士の3人で行っていた。


現在、そのパーティーは3つ目のエリアボスである鉱山エリアのメタルゴーレムと交戦していた。メタルゴーレムはゴーレムをメタルコーティングした魔物で、防御力だけならA級に匹敵する。こちらの作戦としては、メタルゴーレムに集中させたところで、奇襲攻撃をする作戦だ。

しかし、結果的にこの作戦は上手くいかなかった。

年配のタンクと年配の魔法剣士だけでメタルゴーレムの相手をし、若いタンクと剣士、斥候は周囲を警戒し、防御に専念していた。当然奇襲攻撃をするチャンスは無かった。


骸骨騎士様ロンメルさんは言った。


「ここで奇襲攻撃をしても無駄に終わるだろう。戦力を分析して、ダンジョンボスで仕留めるしかなかろうな・・・・」


時間は掛かったものの、そのパーティーはメタルゴーレムを討伐し、3つのエリアをすべてクリアして、ダンジョンボスに挑むことになった。

タリーザが質問する。


「遠距離攻撃ができるのは魔法剣士だけなので、飛行系の魔物を出そうと思うのですが・・・。セオリーならワイバーンですが、どうしますか?」


ヘンリーさんが答える。


「何か奥の手を持っているかもしれない。安全策を取って、ミスリルワイバーンを出現させよう」


骸骨騎士様ロンメルさんも同意する。

ミスリルコーティングした魔物はそれだけで、A級以上の強さがある。ミスリルワイバーンを出現させたのは今までで、勇者パーティーとマリオネットソードの2組しかない。つまり、このオルマン帝国のパーティーは、勇者パーティーと同程度の実力があると認めたことになる。


パーティ―が転移してきたのを確認し、ミスリルワイバーンを出現させたところで、驚きの光景を目にすることになった。

何と魔法剣士が空間魔法でアイテムボックスから弓矢を取り出して、若い大柄のタンク、剣士、斥候に手渡した。3人は素早く弓矢を装備する。


骸骨騎士様ロンメルさんが言う


「やられたな・・・あ奴らは専門の弓兵だ。それもかなりレベルが高い。ここまで隠し通してきたのか・・・」



帝国軍部隊は裏をかいてきた。近接攻撃メインのパーティーなら飛行系のダンジョンボスを出現させると予想し、飛行系の魔物と相性のいい弓兵を多めに編成したパーティーを用意していたのだ。

今思えば、変則パーティーで挑んできたり、全員に覆面を着けさせたり、そして今日、わざわざスペシャルチームを攻略に失敗させている。すべてがこのパーティーをダンジョンボスまで連れて来るための布石だったのだ。


戦闘はこちらが、かなり部が悪かった。弓兵はかなり訓練を積んでいるようで、剣士役と斥候役だった二人が速射で牽制し、大柄でタンク役だった弓兵が狙いすました強烈な一撃を命中せていく。


「タリーザ殿!!空中戦では無理だ。地上戦に切り替えよ。メインアタッカ―の魔法剣士の火力が足りないので、まだなんとかなる」


骸骨騎士様ロンメルさんの指示でタリーザは、ミスリルワイバーンを地上に降ろす。


「常に弓兵の射線上に魔法剣士を置いて戦われよ!!」


敵の最大戦力である弓兵の攻撃を無効化する上手い作戦だ。

弓兵は援護射撃ができず、魔法剣士もミスリルワイバーンを倒すほどの火力はない。ミスリルワイバーンがミスリルの弾丸を放つと魔法剣士は年配のタンクの後ろに退避し、弓兵隊は大柄の弓兵が盾を構えてやり過ごす。

このままこちらが持久戦に持ち込めば、撤退に追い込める。そう思っていた。


ところが、オルマン帝国軍の本当の奥の手を知ることになった。

年配の魔法剣士がミスリルワイバーンの後方に回り込む。注意が魔法戦士に逸れたところで、年配のタンクが大剣を振り上げて叫ぶ。


「金剛斬!!」


なんとミスリルワイバーンは真っ二つにされて、消滅してしまった。



悔しい・・・。新人スタッフの3名は涙を流して悔しがっている。


骸骨騎士様ロンメルさんが言う。


「いい戦いだった。相手が一枚上手だったということだ・・・。ヘンリー殿、戦は講和を上手くまとめてこそ終れる。禍根を残すことのないように頼むぞ」


「分かりました。最高の形で終わらせてみせましょう」


ヘンリーさんも骸骨騎士様ロンメルさんもこうなることは、何となく分かっていたようだった。



ダンジョンボスを討伐し、喜んでいる攻略パーティーを見ると覆面を取って、喜びを分かち合っている。


「あっ!!あの人は!!」


そこには、私達が良く知る人物がいた。

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