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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
第四章 オリジナルダンジョン

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パーティー情報収集

ヘンリーさんの要望というかドライスタ様の要望は、ダンジョンで採取した素材を使用した料理を作ってほしいとのことだった。最近ドライスタ様は、カーン子爵の五男さんの料理に嵌っている。古龍エンシェントドラゴンは食事は必要ないのだが、お気に召したようだ。

私としても単純に美味しい料理が食べられて嬉しい。


ドライスタ様御一家もご満悦で、ドライスタ様がちょくちょく「新人マスターが・・・」とか「ランキングが・・・」とか言ってしまいそうになったので、ヘンリーさんに止められていた。ダンジョン情報は極秘事項で、スタッフの採用はかなりの注意を要する。なので、ダンジョン経営学部卒業というだけで、身辺的には問題ないことが証明されていることから、一部の例外を除き、普通は就職に困ることはない。


ドライスタ様だけでなく、勇者も普段よりも饒舌だった。ダンジョンを攻略し、安心していたのかもしれない。自分のことやパーティーメンバーのことを色々と話してくれた。

勇者はクラシア・ラーシア。ラーシア王国の第一王女で屈強な獅子族の父と魔法が得意な猫獣人の母の血を受け継ぎ、剣も魔法も得意だ。今までダンジョンの攻略状況を見て来たがリーダーシップもあり、話した感じだと誰に対しても分け隔てなく接している。


勇者と同じくラーシア王国の出身は女魔法使いのルナリア・リーブスと神官騎士のレイモンド・ミッチェルだ。ルナリアは両親が宮廷魔術士で、勇者クラシアの魔法の師匠でもあったことから勇者とは、幼馴染として育つ。そして、従者枠としてセントラルハイツ学園に入学している。ヘンリーさんとも面識がるみたいだった。可愛らしい女性だが、どうもレイモンドが好きなように思われる。ニューポートでの仕事はレイモンドの教会での仕事を手伝っている。


レイモンドはかなりのイケメンで、しかも好青年だ。「光の洞窟」のゴブリン達もヘンリーさんと人気を二分していた。出身はラーシア王国だが、所属ということになれば聖母教会ということになるみたいだ。これは政治的な理由もあるみたいだった。


勇者パーティーの初期はこの3人でスタートしたみたいだった。そして、商業都市ダッカでドワーフの女戦士グリエラとエルフの拳闘士ガイエルが傭兵ギルドからの紹介で仲間に加わったとのことだ。グリエラとガイエルは特に難しいことは考えていないように思う。今もドライスタ様なんか気にせずに大酒を飲んでいる。これで今は総合ギルドの職員ということらしいが、ニューポートの人材不足は深刻なのだろう。


そして、カーン子爵の五男のロイさんだ。カーン子爵の奥様に良く似ている少年で、体は小さいものの、器用で何でもできる。所属はノーザニア王国の官吏で、当初はサポーターとして戦闘には加わらない予定だったが、努力の甲斐もあり、スリングショットの技術を身に付け、戦闘面でも勇者に期待されているようだ。

先代の勇者パーティーでは不遇な目に遭ったが、逆境にあっても挫けず、努力するところは好感が持てる。また、このような優秀な人材を埋もれさずに雇用したノーザニア王国の手腕を評価したい。ノーザニア王国が短期間で国力を増強できたのも頷ける。



そんな分析をしていると、今までと趣向が異なる料理が運ばれてきた。魚介類の煮込み料理だ。


「これは凄いですね。単純だけど深い味わいで・・・・私はこの料理が一番好きです」


(奥様のリバイア様が絶賛している。ウォータードラゴンだから魚介類が好きなのだろうか?)


続けて勇者がリバイネ様に料理の説明をする。


「魚介類は近海で取れたものですが、魔族領で取れない果実酒と野菜を使って煮込んでいるんですよ」


「そうなのですね。どおりでシンプルな調理法なのに初めて食べる味なのですね」


更に勇者は続ける。


「東の海の開発もいずれは着手しようと思っております。航路を確立すれば、もっと美味しい料理を提供できると思いますので、つきましてはそちらのお力添えいただけたら幸いです」


これを聞いたヘンリーさんが小声で私に言ってきた。


「こういう料理を使った方法で頼み事もできるようになったとは・・・・。成長してるね」


どのように返していいか分からなかった。


勇者の頼みごとについては、ドライスタ様が事前の打ち合わせ通りに答えた。


「まあ、あれだ。まずはダンジョンの攻略を頑張れ。攻略パーティーが10組に達するのを楽しみにしているぞ。東の海の件はそのときに話そう」




会食が終わり、今後の方針についてミーティングをすることになった。ヘンリーさんは言う。


「ニューポートとしても東の海を開発したい。そのためにはクラーケンとなってしまったリバイネ様をどうにかしなければならないでしょう。こちらとも利害が一致しているのでこれは僥倖でしょうね。ただ、今のままでは戦力が足りないでしょう。ダンジョン攻略に来た有望パーティーを・・・・」


ヘンリーさんの案としては、リバイネ様の救出作戦には多くの実力者が必要になる。そのための方策として、ダンジョン攻略に来た有望パーティ―を救出作戦に引き入れる。

有望パーティーの素行を調査して、問題がなければ、それとなく勇者とのつながりを作る作戦のようだった。


「とりあえず、ナタリーとダンジョンスタッフの3人は、ダンジョンに有力なパーティーがやってきたらすぐに報告してほしい。軍事顧問のロンメル殿に分析をしてもらう。ロンメル殿にはすでに了承してもらっているからね」


私達もやることが決まった。

ダンジョンの運営もそうだが、有力パーティーをしっかりと見付け出そう。



1ヶ月以上は経過した。しかし、有力なパーティーは現れなかった。そうなると私達は特にすることがない。ダンジョンの運営は新人スタッフが行う。それに新人スタッフの3人はかなり優秀だから、余程のことがない限り、心配はない。私が新人の頃とは大違いだ。

ということで、私とヘンリーさんは総合ギルドで情報収集をすることにした。総合ギルドは冒険者ギルドと商業ギルドが統合したギルドだ。ギルド内は冒険者だけでなく商人も多く、冒険者と商人が今も親し気に話している。


調査をすると、この総合ギルドは非常に上手くいっていることが分かった。素材の買い取りも無駄がないし、何よりも情報が命の商人が多くギルドにいるので、自然と様々な情報が集まる。相場状況を迅速に把握できるので、冒険者も同じような考えになっている。

最近は人族領でもスパイス料理が人気で、今後値上がりが期待できるので、スパイスが多くドロップする植物エリアが人気だ。強者の商人になると冒険者パーティーに同行している。なので、同じような活動をしていても冒険者の収入は上がっている。


ワイバーン襲来事件のときに一緒に解体作業をしたベテラン冒険者は言う。


「俺達の実力じゃあ攻略は無理だ。けど、安定的に稼ぐにはこのダンジョンはかなりの優良物件だぞ」


ある程度予想したことではあるが、安定を求める冒険者が多く集まってきている。攻略をメインにするギラギラした冒険者はあまり来ていないようだった。


「この状況が続くようなら、何らかの手を打たないといけないね」


私とヘンリーさんがダンジョンに帰還するとハーフドワーフのダクネスが報告に来た。


「ちょっとおかしなパーティーが来てるッス!!」



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