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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
第三章 対決!!勇者パーティー

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個性豊かなアーティスト

長い、話が長すぎる。ダンジョンを愛しすぎている。その点はミランダ社長と同じタイプのヤバい人だった。


「ところで、何の話をしていたっけ?そうだ・・・」


クリスさんの話では、ダンジョンマスターができるスタッフをアーティストと呼ぶらしい。「クアトロメイズ」ではテトラシティ以外にも多くダンジョンを持っていて、そこで成果を上げれば、テトラシティのダンジョンマスターができるそうだ。

代表がクリスさんのような人だから、アーティストも個性豊かな人ばかりで、争いが絶えないみたいだった。


「それでね。もうすぐしたら、勇者パーティーが来るんだよ。だから、誰がメインを担当するかでいつも以上に揉めていてね。勇者パーティーと勝負ができるなんてアーティスト冥利に尽きるからね」


何となく事情は理解した。


「今回の件では、ナタリーさんに一から凄いダンジョンに改変してくれという依頼ではないんだよ。いくらなんでもそれは無理だろうから・・・なので、なるべくもめごとを起こさないように担当者を決めてもらえばいいかなと思っている」


「分かりました。とりあえずアーティストの方と面談をしてみます」


「それとルキアのことなんだが・・・・」


これは結構こじらせている。私が悩んでいるとクリスさんが続ける。


「ルキアの前では強がって見せたけど、本当は問題が山積みなんだよ。難しい依頼だと言うことは理解しているので、成功報酬は弾むよ」


クリスさんの話によれば、長年の問題を誰か解決してくれないかと思っていたそうだ。そこに娘経由で「ダンコル」やヘンリーさんの話を聞いて、これはと思ったらしい。それにミランダ社長とは親戚で、社長は以前「クワトロメイズ」のアーティストもしていたそうだ。


(またまた、ミランダ社長の謎の経歴が判明した)


ミランダ社長のことを詳しく聞こうとしたけど、話が長くなりそうなので止めておいた。






まず私がしたのは、情報収集だった。ヘンリーさんが今までやって来た仕事でもまずは、綿密に情報を集めていた。それも一方向からだけでなく、多方面から。

アーティストの面談に先立ち、私はテトラシティの冒険者ギルドに赴いた。テトラシティの冒険者ギルドが他のギルドと違う点は依頼のほとんどがダンジョンの関係のものばかりで、ダンジョンガイドという専門の職員も常駐している。ダンジョンガイドとはダンジョン専門のサポーターのようなもので、罠の解除やダンジョンの案内もしてくれるらしい。


私は、ギルドマスターから話を聞くことにした。調査がしやすいだろうということで、人族領では私とヘンリーさんは、ミランダ社長が運営するダンジョン研究所の職員ということになっており、ミランダ社長もダンジョン研究の第一人者としてセントラルハイツ学園の博士号を持っているくらいなので、それなりに上の立場の人間も対応してくれる。

ギルマスは言う。


「ナタリーさんは、ミランダ博士の関係者だったんですね。私も嬉しいです。冒険者は馬鹿ばっかりですからダンジョンの深い話しなんかできなくて・・・だから、今日はダンジョンについて語り明かしましょう。ベテランのダンジョンガイドも呼んでありますし」


(多分長い話になりそうだ)


ダンジョン愛に溢れた話しは長く、脱線を繰り返していたが、有益な情報も多くあったし、無償でダンジョン関係の資料を提供してくれることになったし、それに当たらずとも遠からずの仮説も持っていた。

ギルマスが資料を指し示しながら説明する。


「私達の仮説ですが、ダンジョンとは意思を持った存在が作り出していると思うのです。今のこのダンジョンと1年前のこちらのダンジョンは製作者が同じではないかと思っているのです。因みに『脳筋将軍』と命名されています」


ベテランガイドも続く。


「長いことダンジョンに潜っていると癖みたいなものが分かるんでさあ。だから、探索を続けていくと「ああ、このダンジョンはあいつが作ったのか」なんて思えたり、「今回のダンジョンは手抜きみたい」とか思ったりするわけで、次に何が来るか読めたりするんでさあ。それがダンジョンガイドの腕の見せ所であり、面白さでもあるんですがね」


資料を見ながら話を聞くと人族もかなり、ダンジョンを研究している。テトラシティの冒険者は日々の糧にダンジョンを利用している者だけではなく、ある意味趣味として潜っている冒険者も多くいる。クリスさんの言っていた「ダンジョンは芸術」と言う言葉が思い出される。

テトラシティがここまで発展したのも、ダンジョン関係者だけの力ではなく、挑戦する冒険者との熱い戦いの歴史がその要因だったと考えられる。まさに「格闘芸術」だ。


そんなことを思いながら必要な資料を転写していく。ダンジョン経営学部には文官顔負けの実習もあり、転写スキルも身に着けているのだ。これにはギルマスも称賛していた。


「やはりミランダ博士のお弟子さんは違うな。こんなスキルがあれば国にも仕官できるのに」


(もしかして、私は何でもできる才女なのだろうか?)




それから、ギルマス以下にお礼を言って、私は「クワトロメイズ」の本部に戻ることにした。

いよいよアーティストの面談を行う。

最初に面談を行ったのは、筋肉隆々のオーガ族の男性だった。オーガ族は魔族の一種族で非常に力が強く、好戦的な性格をしている種族だ。人間が作った資料によると「脳筋将軍」と命名されている。ダンジョン構造もその名のとおりだった。彼が作るダンジョンは基本的に一本道で、ダンジョン全体には攻撃魔法が使えなくなる結界が張り巡らされていて、ガチムチのパワー系の魔物が出没し、真っ向から戦いを挑んでくる。ドロップアイテムはほとんどが肉で、ダンジョンボスもパワー系の魔物の上位種がローテンションで出てくる。


(このダンジョンは好き嫌いが分かれるなあ)


ファンの意見


・熱い戦いができるいいダンジョンだ

・ドロップが肉ばかりなので嬉しい

・前衛が活躍できるダンジョンなので、もっと増やして欲しい

・この前は武器、防具なし、パンツ一丁の本当に丸腰で挑戦した。攻略できたときは感動した。自分がやって来たことが間違ってなかったことが証明できた

(多分間違ってるから!!ヤバイ挑戦者もいるな・・・)


アンチの意見


・魔法の専門職の冒険者には地獄

・肉しかドロップしないので、ビーガンの私には拷問でしかない

・真向勝負を繰り返すだけのダンジョンなので、ダンジョンガイドの意味がないし、4つともコイツが作ったダンジョンなら、ダンジョンガイドは全員失職する

(そうだね。罠や迷路は全くない)



資料を読んでいると件のアーティストが入ってきた。

いよいよ面談が始まる。




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