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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
第三章 対決!!勇者パーティー

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ダンジョンボス

ヘンリーさんの司会で情報を基に協議する。

ノーザニア王国は、人族領で唯一魔族領に面している国で、表向きは戦争状態だが、実質は休戦状態で、魔族領の隣国である魔国デリライトと良好な関係にあるという。噂だが、現王妃は魔国デリライトの王女だという。


「恋愛結婚なら乙女心をくすぐるストーリーがあるかもしれないですね?」


「色々あったみたいよ。詳しくは忘れたけど」


私の話に恋愛にあまり興味がないミランダ社長は素っ気なく答えた。


「とりあえず1日は猶予があります。できることをしましょう。それに特殊部隊は情報収集が任務ですから、最悪交渉でなんとかなるかもしれません」



ということで、私は実家のダンジョンに戻り隊員を招集した。連れてこれたのは一角兎ホーンラビット1匹だった。隊長としての実力のなさが露呈した。

言い訳だが理由はある。フワフワ狼は「奥さんが妊娠中で離れたくない」というし、フワフワ熊はそもそも偵察任務に向いていない。一角兎ホーンラビットの母親と子供達は明日は群れの集まりがあって無理だという。

一角兎ホーンラビットの父親だけが、私が可哀そうになったみたいで着いてきてくれた。なので、今回の私の部隊は戦闘力がほぼゼロの隊員が2名だ。

ただ、キョウカ様がフワフワ鳥のフワッチと感覚共有するときは魔力を補充してくれる魔法を掛けてくれるとのことだったので、この2名だけでも何とかなると思う。



それからは地味な監視の業務が続いた。

件の特殊部隊はかなり慎重な進軍で、7階層で1泊、9階層で1泊していた。

会話をまとめると「目的はダンジョンの採取活動の再開で、原因の究明が第一の任務。すぐに対処できそうなら対処する」とのことだった。

ヘンリーさんは言う。


「ノーザニア王国も「光の洞窟」から結構な収益を上げていたので、早期に解決したかったのでしょう。だから精鋭部隊を投入したと思われます。それに部下の安全を第一に考える姿勢を見るとノーザニア王国もこの部隊も交渉の余地は十分ありそうです」


そして特殊部隊は、ダンジョンボスが待ち受ける10階層に到着した。待ち受けるダンジョンボスはミスリルリザードだ。10階層には予め音声を拾える魔道具を設置していた。戦闘に巻き込まれると私の隊員では一溜りもないからだ。


しばらくして戦闘が始まる。


「隊長!!ミスリルリザードです。それもかなり強力な個体です。多分魔物の活性化もこいつが原因ですよ」


「そうだな。少し攻撃してみよう。魔法と弓で攻撃だ。みんなスナイパーを援護しろ」


スナイパーと呼ばれていた覆面の弓使いを中心に魔法と弓で攻撃を開始した。攻撃は通っているが、みるみる傷口は塞がっている。自動回復のスキルをミスリルリザードは持っているようだ。


「自動回復スキルか!!何!!なんかやってくるぞ。回避行動を取れ!!」


隊長格の男が叫ぶと同時にミスリルリザードがミスリルの弾丸を撃ち出した。かなりの威力で広範囲に拡散している。魔法使いの女が結界魔法で防いだようで、特殊部隊は無傷だった。


「かなりきついですね。私の結界魔法では何発も防ぎきれません」


「分かった!!撤退する。原因が分かれば対処法がある。最悪、1000人規模の部隊を編制して、2日くらい攻撃し続ければ、正規軍でもなんとかなるだろうしな」


すると特殊部隊は潔く撤退していった。

(もう撤退するの?)


そこからの特殊部隊の行動は迅速で、一気に5階層まで戻って野営を始めた。

ロンメルさんは特殊部隊を褒めていた。


「無理に戦えば勝てたかもしれんが、一番は情報を確実に持ち帰ることだ。我が指揮する部隊があれば、あの隊長は欲しい人材だな」


「そうですね。特殊部隊ですからあまり、表に出たくないでしょうしね」


ヘンリーさんも頷く。


「じゃあ、ノーザニア王国が本格的に討伐軍を差し向けるまで、待つというのはどうでしょうか?特に被害もありませんし」


私の提案はすぐにミランダ社長に却下された

「駄目よ!!駄目、ダメ!!さっきの戦いでかなりのDPをミスリルリザードに吸い取られてるわ。特に自動回復スキルとミスリルの弾丸を撃ち出したときはかなり持っていかれたわ。隊長が言っていた2日間ぶっ続けで攻撃をされたら、DPが無くなってしまうわ。ダンジョンのことを考えると短時間で倒さないと・・・」


一同暗い顔になる。


「対策は考えるとして、もう少し情報収集しませんか?ナタリー、頼める?」


「了解です」



それから私は、フワフワ鳥のフワッチを特殊部隊の野営地に送り込んだ。

運がいいことに特殊部隊は会議をしているようで、拳闘士の女が隊長に詰め寄っていた。


「隊長。無理すれば私達でもやれたんじゃないですか?」


「そうだと思うが、安全策を取る。それとこれは皆には秘密にしていたんだが、討伐には勇者パーティーを当てると思う。政治的な理由もあるし・・・」


「勇者パーティーってあのクズ野郎どもですか?」


重戦士が注意する。


「おい!!口を慎め。まあ否定はせんがな。勇者パーティーなんてクズか、訳ありか、変り者しかいないしな」


(ミランダ社長は確かに変り者だ。それに私が知ってる勇者と聖女は本当にクズ野郎だ)


隊長が言う。


「コスト面で考えても勇者パーティーを当てたほうが安くあがるし、それに例え負けてもこっちは何も困らんしな。全滅したら僅かばかりの見舞金を払って終わりだ」


(ヤバい!!イカれた勇者がやってくる)


「上の判断ならそうなんでしょうね。それにミスリルリザードに負けるようじゃ、勇者の名が廃るってもんですよ」


「まあ、情報を持ち帰ってから会議となるだろうが・・・また報告書を書かかないとな・・・」


「隊長!!手伝いますよ」




特殊部隊がダンジョンから去ったのを確認し、会議を行う。


私は会議で意見を言った。


「勇者なんてクズ野郎ですよ。ゴブリンなんか見つけ次第、皆殺しにされますよ。本当にクズで聖女もヤバいですから!!」


「ナタリーちゃん、落ち着いて。勇者は代替わりして、今は違うみたいよ。なんか前の勇者は色々やらかしたそうで。だから、今度来る勇者パーティーがどんなものか情報を集めましょう」


「そうですけど、勇者パーティーって人格破綻者の集まりじゃないんですか?今回の勇者もきっとクズ野郎ですよ」


「それって私も人格破綻者って言いたいわけ!!ナタリーちゃん酷い!!」


「いや・・・そういうわけでは・・・」


そんなやり取りをしていたところ、キョウカ様が斜め上の意見を言った。


「私が腹が立つのはゴブリン達です。存亡の危機にブルブル震えているだけなんて、情けない!!私が腐った根性を叩き直してあげますわ!!」

気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!

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