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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
第二章 新人コンサルタント

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防衛戦4

次の日になった。作戦の第一段階は上手くいった。次の段階に移る。


「第3部隊を残し、撤退!!敵に気付かれぬようにな」


骸骨騎士様ロンメルさんが指示を出す。それに答えて、第1部隊と第2部隊は撤退していく。

今回の作戦は、街道に築いた砦をワザと相手に占領させ、油断したところに夜襲を掛けるというものだ。砦自体もほとんどが木製で、燃えやすい作りになっている。


夜明けからしばらくして、敵が動き出した。重装歩兵の前に軽装歩兵が出て、罠の有無をチェックしている。同じ轍を踏まないためだろう。

こちらは大規模な弓矢での一斉射撃を行う。徹底抗戦の構えを見せるためだ。この時点で第1、2部隊は撤退しているので、それを相手に悟らせないようにと言う意図もある。


しばらくして、敵の攻勢が激しくなった。罠をすべて解除し終えたからだろう。満を持して投入した重装歩兵が隊列を整えて進軍してくる。


「よし!!第3部隊も撤退だ!!」


私も第3部隊とともに撤退する。私の部隊員であるフワフワ狼の夫婦とフワフワ熊の家族は、少し残って、投石などをしてもらった。フワフワ熊は、かなり大きめの岩を投げられるので、敵もまさか撤退しているとは思わないだろう。


しばらくして、砦は完全に敵の手に落ちた。


「カーン男爵軍など所詮は寄せ集めだ。一度もぶつかることなく、撤退するとは、腰抜け集団だ」


(多分これを聞いたらみんな怒るだろうな・・・・)


私は、一角兎ホーンラビットと感覚共有して、砦の情報を把握し、ヘンリーさんに伝える。


「第3部隊の皆さん、お疲れさまでした。砦への夜襲は第1部隊が行います」


ヘンリーさんが夜襲部隊を編成し、私も夜襲に参加することになった。うちの部隊員は夜目が効くからね。砦ではちょっとした宴会をしていた。緩みきっている。もったいないが、強めのお酒とお酒に合う食料(燻製肉と魚の干物)を多めに置いていた。

一角兎ホーンラビットの報告が届く。


(みんな楽しいそうだよ。見張りの人もいるけどお酒を飲んでるし、寝ている人もいるよ)


夜襲をするなら今がチャンスだろう。

夜襲と言ってもほとんどこちら側に危険はない。予め爆発する魔石と油などを仕込んである箇所を把握しているので、そこに火矢や火魔法を撃ちこむだけだ。


「ヘンリー殿の奥方も有能ですな。ここまで凄いテイマーとは思いもよりませんでした。もしかして、高名な大魔法使いではないのですかな?」


オゴディさんの中で、私の評価は上がっているみたいだった。

そして、夜襲が始まる。予め決めてあった場所に火矢や火魔法を撃ちこんでいく。私もファイヤーボールを撃ちこんだ。うまい具合に爆発する魔石に直撃したので大爆発した。

簡単な魔法なら無詠唱で撃てるので、大爆発を見て、「凄い!!」「大魔法使いだ」とか称賛された。悪い気はしない。

(撃ったのはファイヤーボールです。とは今更言いづらい)


これで、敵が戦意喪失して、撤退してくれればいいのだが、そうはならなかった。

怪我人などを自領に戻すなどの措置を取ったが、それでも200人位は兵力があり、進軍するようだ。


「普通は、三分の一も戦闘不能になれば撤退するのが定石なのだが・・・・」


「ロンメル師匠。多分政治的な理由ですね。引くに引けないのでは?」


ヘンリーさんが言うには、今回の争いは、既にオルマン帝国中央も把握しており、調査団が近々やってくるみたいだ。それに根回しも済んでいるみたいだ。なので、もし、今の状態で調査団が来た場合、今までの悪事が露見してしまう。それならば、無理にでも進軍して、カーン男爵領を手に入れ、関係者は盗賊にでもやられたことにして口封じする。それぐらいしか、グリード子爵が助かる道はないとのことだった。

元はと言えば、グリード子爵側に大きな落ち度がある。岩塩が独占状態のときから、他領と良好な関係を築いていればこうはならなかったし、ダンジョンができた後でも心を入れ替えて、形だけでも誠実な外交をすればこうはならなかったのだ。


「そんな状態なら尚更、正面から戦うことはできんな。徹底的に時間を稼ぎ、嫌がらせをしてやろう。貴族らしく、華々しく散ることなんてさせんぞ!!」


次の作戦も同じ感じだ。もうすでに街道を封鎖してある。相手が街道を迂回して、森を進軍するならそこで迎撃する。もし街道の封鎖を解除する作戦を取れば、そこを奇襲する。

結果的にグリード子爵軍は、森を進軍することになった。最初は街道の封鎖を解除しようと人海戦術で工事のようなことをしていたが、そこにも罠が仕掛けられていたし、どこからともなく飛んでくる矢や投石で一向に復旧作業は進まなかった。

結局待ち伏せされたり、罠での嫌がらせを覚悟して、森の中を進軍することに決めたようだ。


ここでも私(隊員達)が大活躍だった。進軍ルートを伝え、それに応じて罠を仕掛けていく。我が軍には現役の狩人が大勢いるので、罠設置などお手のものだった。それにヘンリーさんと、骸骨騎士様ロンメルさんの知識が加われば、非常に強力だった。


一角兎ホーンラビットの感覚共有で状況を確認する。


「見え見えのロープのトラップじゃないか?逃げるのに必死で罠が雑になっているな」


「これくらいなら俺らでも解除できるな」


「「ギヤー!!」」


トラップが発動した。ヘンリーさん曰く、基本的な複合トラップらしい。あからさまにトラップと分かる罠を設置し、実はその付近に巧妙に隠されたもう一つの罠が設置されているのだ。今回はロープに当たると上から丸太が落ちてくる罠のすぐ近くに、単純なトラバサミを複数設置していた。


これは、心理的な効果も大きい。疑心暗鬼になり、進軍速度は極めて遅くなる。森の中にロープだけ張り巡らせた場所で、半日も進軍が止まっていた。街道を普通に通れば徒歩でも2日あれば着く距離なのにグリード子爵軍はかれこれ5日も森の中を彷徨っている。

なので、結構な数が脱走していた。さすがに正規の領兵が脱走することはなかったが、200人はいた部隊員が150人位にはなっていた。

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