表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
第一章 ダンジョン研修

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/152

研修の課題

「試練の塔」6階層はセフティースポットになっている。私のイメージしていたセフティースポットとは全く違い、高級そうなレストランや売店などが設置されていた。よく見ると骸骨騎士様と戦っていた貴族達が優雅に食事をしていた。メニューを見たが倒れそうになるくらい高かった。売店の商品も魔王学院の購買で普通に売っているようなものを10倍~20倍の値段で売っていた。

それでも、それなりに売れているようだった。


「これも不思議に思うのですが、このセフティースポットまで来ることが、オルマン帝国ではステータスになるらしいのです。そこで6階層まで来たという踏破証明書を発行しています。かなりの高額で一般庶民が一月暮らせる額なのですが、結構売り上げがあるんですよ。姉も『紙切れ1枚にそんな大金を払うなんて、人族は頭がおかしいのか?』と言っていました」


6階層の案内が終ったところで、レストランの個室に案内された。値段は気にせずに好きに食べていいと言ってくれた。味は本当に良かった。骸骨騎士様は貴族たちが持ってきた手土産のお酒を美味しそうに飲んでいる。今はまた、スケルトンになっているが、人間の姿は凄くカッコよかった。赤髪でがっしりとした体型で、いかにも軍人といった姿だった。年齢は40代くらい、イケオジといった感じだ。


ある程度食事も済んだところで、ミルカ様が話始めた。


「私があなた達をお呼びした理由の一つには、こちらのロンメルのこともあったからです・・・・」


ミルカ様の説明によると、骸骨騎士様は生前はロンメル・ダンカンというオルマン帝国の大将軍だったそうだ。当時は戦乱の世で大規模な戦争もあったみたいで、武功を上げて、かなり有名だったらしい。そんなとき、たまたまキョウカ様を通じてロンメルさんと知り合ったそうだ。

そして二人は恋に落ちた。


「私も別れが辛くなると分かっていたんですが、それでも短い時間でも一緒に生きようと決意しまして・・・」


ミルカ様は恥ずかしそうに答える。普通にロンメルさんが寿命で亡くなっていればよかったのだが、悪徳貴族に騙し討ちに遭い、部下を逃がすために無謀な戦いを挑んだ結果、戦死してしまったらしい。こんなに早く別れが来てしまったことにパニックになってしまったミルカ様は、ロンメルさんの遺体をダンジョンに持ち帰り、禁忌とされる蘇生魔法を使ったのだ。


「ロンメルは私が初めて愛した人で、そのころ私も若かったですから・・・・」


しかし、その蘇生魔法は中途半端なものだった。代償は大きく、ミルカ様は魔力を大きく失ってしまい、今でも当時の半分も回復していないらしい。以前はキョウカ様と同じくらい魔力を持っていたそうだ。

そして、ロンメルさんはというとスケルトンになってしまったのだ。それとダンジョンから一歩でも外に出たら消滅してしまうらしい。


「私の我儘からロンメルには酷いことをしたと思ってます。こんなところに閉じ込めるようなことになってしまって・・・。しかもスケルトンだなんて・・・」


ミルカさんは涙ぐむ。


「ミルカよ、気に病むな。我はこれでも満足している。ミルカの側にいられるし、それに酒も飲めるしな・・・我としては、ミルカを我が縛り付けているように思えて心苦しいのだ。我のことを忘れてミルカには幸せになってほしいと思うこともある」


「ロンメル・・・・」


かなり、重い雰囲気になってしまった。私達はどうすることもできない。そう思っていたが、ヘンリーさんは違っていた。


「つまり、


1キョウカ様の症状の改善

2ロンメル殿とミルカ様の関係改善

3必要があればダンジョン自体を改善する


これが研修課題といことですね?」


「そんなことは可能なんでしょうか?」


「それが研修課題と言われればやるまでです」


「済まんが頼む」


「分かりました。それではもう少しダンジョンのことを教えてください。それとDPダンジョンポイントの収支の資料がありましたら見せてください」


そういうとミルカ様は、スタッフに資料を持ってこさせ、ダンジョンの関係の説明を始めた。


「まず、これより上の階層についてですが、一応50階層までありますが、15階層までしか稼働させてません。姉が勢いで無計画に50階層まで作っただけですから・・・。

過去の最高踏破者は当時の勇者パーティーで、それでも13階層だったと思います。ここまで真剣にダンジョン攻略に情熱を傾けてくるのは珍しく、当時はどうするか会議をしたものです。最終的には15階層で姉と私とロンメルが覆面を被って撃退することになりました」


(そんな強力な3人が来たら、誰も勝てないだろう・・・)


「結局、勇者パーティーは13階層で撤退したので、私達が登場することはありませんでした。なぜ撤退したのか、未だに分かりません。ダンジョン関係の説明は以上で、こちらが収支の資料になります」


私達はミルカ様からDPの収支関係の資料を受け取った。ヘンリーさんは真剣に見ている。

しばらくしてヘンリーさんは口を開いた。


「DPに関してですが、かなりの額をダンジョン協会に納めてますね。それと彫刻や絵画などの装飾品を大量に購入されています。ある程度の購入はキョウカ様の威厳を示すのに必要だと思いますが、ここまで、大量に購入されている理由はなんですか?」


「ダンジョン協会へのDPの納入は、姉の指示です。『ランキングの1位になって、見下すようにして、虐めてやったほうが、効果があると思うのよ』と言っていました。実質は、納入期日の直前にダンジョン協会の方に1位になれそうなポイントを教えて貰い、その額を納入するようにしています。DPによる装飾品の購入も『こんな物も買えないの?能無しの、ごみ共が!!』と罵るのためだけに買っています」


しばらくヘンリーさんが考え込む。


「私の見立てでは、ダンジョンの階層変更などをする必要はないと思います。根拠を裏付けるためにダンジョン入場者からも調査したいのですが・・・」


「それなら本日、先ほどロンメルと戦っていた貴族達とパーティーをすることになっています。お二人も出席予定でしたので、それとなくお聞きください」


私達が出席するパーティーは、通称「キョウカ会」という最上位の貴族や王族くらいしか参加できないパーティーらしい。キョウカ会に出席することは大変名誉なことらしく、それだけにコアなキョウカ様ファンが多いみたいだ。

ただ、激しくキョウカ様に虐められるため、「試練のパーティー」とも呼ばれている。なんでこんな会が人気なのか私には理解できない。

余談だがキョウカ会の歴史は古く、一説ではダンジョン協会などに使われる「協会」と聖母教会の「教会」も「キョウカ会」がその語源とも言われているらしい。


そしてキョウカ会は、私にとって本当の試練のパーティーになってしまう。

気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!


因みにロンメル・ダンカンは、

勇者ビジネス

~勇者を使ってみんなが好き勝手に稼ぎます!!

https://ncode.syosetu.com/n3716ii/

に登場するダンカン将軍の御先祖様になります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ