男、あれこれ夢想した。
フッ、所詮、あの世界、あの世界だけの、あの世界のみの……定義と、法則における異世界だったのだよ。それをそうなのだろうと、信じていただけなんだ。フフフフ。
ニンゲンが頭に髪の毛、顔に目玉が2つに鼻一つ、おちょぼな口が一つ、胴体に手足。あの美に溢れたバランス世界。そう……ソレが丸々当てハマる事なんて、妄想世界だったのだろう……
『現実』が存在すれば、それが力を持つ。妄想など曖昧と、たやすく打ち砕く。『現実』の仲間の『事実』が『夢見る生者』に認識せよと、熱々おでんの丸々茹で卵を、大きなスプーンに乗せて、これを口に入れろ、飲み込め!とゴリゴリ押し付けてくる。
口の中を火傷すると思うのに……。顔を背けても逃げることは出来ない。その熱さで認識するのだろうか。無理やり『夢見る生者』の口をこじ開け、押し込めた『事実』が直後に口を塞ぐ。
声すら上げられない。先ずはそのもの熱にやられ、ガクガクと震えつつ、どうにもならなくて、歯を入れた時に漏れる蒸気にやられる。
涙目になり口から吐き出したいのだが『この世の常識』に、羽交い締めにされている為に、手は使えず、身体を動かす事も出来ない。足は『現実』に、既に固められている。口は『事実』が大きな手で塞いでいる。
情けなく、涙を溜め、恨めしい目でしか叛意を表すことが出来ない、ほくそ笑む『現実』、スプーンを口に押し込んだ後、キャーハハハと声立て嗤う『事実』を見上げ、背後の『この世の常識』を憎むことしか出来ない。
そしてソレを、否応なしに飲み込むのだ。口から手を離された、涎がつぅ、と糸を引く。開放が来ると思えば。
「次はこんにゃくか?がんもか?餅巾……くひひひ」
そう『現実』が言う。
グツグツ、ボコゴコと、憔熱で温められている赤銅色した鍋に、スプーンを突っ込む『事実』
その顔は喜々としている。
さらに力を込める『この世の常識』
逃れる術は無いのだろうか。
前世において俺はラノべ作家で、異世界転生、転移物語を書きまくってた、身清らかなチェリーなおっさんだった。楽しかった。充実していた。
そしてある日の事、まさに自分の作品の中の様な展開を迎え、この世界に『転生』ならぬ少しばかり若返り『転移』を果たしたのだ。色々とあり過ぎて、こうして記録している日々。
カリカリ、カリカリと、黒の羽根ペンで傷をつけるように、デカイ葉っぱの上に乗り、彫り込んでいる俺。側では、俺の第一夫人が不思議そうに、小首をかしげ見ている。
美しい青の目玉一つで!
単眼族の姫らしい。
2つを足したような大きさの目玉が、顔の真ん中に一つ以外は、俺基準の美女の定義にハマる。背に流れるプラチナブロンド、鼻筋通り、さくらんぼの様な唇、窪んだ鎖骨に、ぷるん、ぷるんと揺れる胸。くびれた腰に、なだらかな柔き桃の丘が続く、目を閉じ抱きしめれば、まさにパラダイスが見えることだろう。
アントワネットと、超えてみるかな、しかし産まれ落ちたベビーが、一つ目だったら、ホイホイ差し出しそうとする気がする……しかし、その後きっと、何をするにも、後悔の念に苛まれそうで、なのでやめとこう。
二人の間に授かった、やや子が喰われるという理由と、快適な暮らしと、余命を守るという訳で、一線は超えていない。ここでも、未だにチェリーな俺。
「ホーホケキョ、ケキョけ!ケケケ!キョッ、キョキョ」
「あ?なんだ?アントワネット、誰か来たのか?」
主人公チートなのか、自動翻訳能力があるらしく、意思疎通は出来ているのだが、言葉がホーホケキョなので、名前を呼ぶとなると『ホケ』意味は『輝ける美女』 なのでとりあえずこの名をつけた。
「だんな様、お茶をお持ちいたしましたのよ」
「ああ、ありがとう、楊貴妃」
ぬたん、ペタン、ぬたん、ペタンと、音立て、肩をくねらせ色っぽく、にじるようにお盆を手に持ち、近づいて来るのは第二夫人。
腰から下が、例えるなら紫グラデーションの蛸の足。
多足族の姫らしい。
ウェーブした、漆黒の肩まで髪、象牙色の肌、翡翠の瞳は二つ、濃い赤の薔薇色、ぷっちりとした蠱惑的な唇。そして日本語しゃべれるし!胸も動く度に左右にふるふる揺れる、脚だけ目をつぶれば、な位置で、俺の第二夫人の座を得てる彼女。
お好きなお名前をつけて下さいまし……、わたくしは、『蕩かす美女』と呼ばれておりましたの。と、出合った時に足に驚き、油断をしていたら、ウネウネを、触手の如く動かし、俺の清らかなる下半身に、絡ませて来やがった。
ふお!こ、これは危ない!多足族とのハーフか……若しも!俺の足でウネウネプラスのベビーが産まれたら……、いかん!それは避けねばならない。
そう思いつくと、初めての感覚に戸惑いつつ、俺はこの危機を逃れるべく、おっぷぁい愛の求道者としての道の重要かつ、口先三寸の愛を語った。
「まあ……おっぷぁいが何より重要」
そうだ、おっぷぁいから始まるのだ、そなたは美しい、大きさ形は完璧だと、彼女を生まれて初めて口説き落とし、その名を与えてた、俺は……、ウネウネ天国、否!地獄から開放され事無きを得た。
七人だから、越えても構わないかと思うのだが、蛸だしな、それにそそられないのは……致し方ない。なので辛うじて貞操は守れた、チェリーな俺。
「はい、ホケ」
「ホーケキョケキョ、ケキョケキョ」
アントワネットが礼を述べながら、楊貴妃から盆を受け取っていると、俺の第三夫人が、籠を腕に下げ、床スレスレ、ギリギリ低空飛行で、ビュワ!とやってきた。
「∉……∋、⇒♡!」
「ああ、クレオパトラ、茶菓子運んできたの」
嘴に果物やらお菓子を詰め籠を加えた、俺の第三夫人がスタン!と軽やかに到着を果たす。
手はなく、代わりに美しいきらめく羽根がある。
飛行族の姫らしい。
髪は鮮やかな真紅、黒曜石の目玉は3つ。しかし、一つは額なので、前髪を下ろせばわからない。凛々しい相貌、切れ長の涼やかな目元、低めの鼻に金の嘴、背には羽がありながらも、足はアントワネットと変わらない。
飛ぶために鍛えられた、引き締まったボディライン、スレンダー美女、まさにチッパイ美の極地。おっぷぁいについては、小さければ包み込みたい、大きければ、顔を埋めたいタイプなのは経験が無くても解ってる、彼女の存在は貴重だ。
ふ……おっぷぁい愛、それを追求したくて、俺は物語をせっせと、神経をすり減らし、求める物を書いていたのだから……。おっぷぁいは……イイ。
という理由と、もう一つの訳で、第三夫人の座を射止めた。
名前は『∞←!』日本語で発音すれば、R18に抵触するのだが意味は『世界を統べる美女』 なので、クレオパトラと名前をつけた。
そして勿論、第一、第二を差し置いて、いただきますはしていない、それに次こそは、先ずは告白をして、手を握ってからを、信条としている俺は……、やっぱり身清らかなチェリー。
命を守るべく誰にも心を動かさない俺は、清らかなる身を守るべく、日々を皆の物質欲を叶え、執筆に全てを捧げている。




