ログインしたら、いきなりボス戦でした
リハビリ作品の第3弾となります。
第2弾のアラカンは、ちょっと置いときます。
この作品で完全復活となれれば良いんですが。
今回、AIさんは、プロットの相談とかに留まっております。
その日、俺は人生で一番ワクワクしていた。
VRRPG『トゥルーライフ・オンライン』――通称TLO。
ついに正式サービスが開始され、俺、祭屋涼真(14)は、貯めに貯めたお年玉を使って“準備万端”でログインする。
「よし……これで勝ち組だろ」
課金ショップで揃えた装備一式。魔法を強化するとともに剣技も使えるミスリル小剣に、HPとMPを常時微回復するブラッディーウルフの革鎧。そして、ランダムペットの卵、各種ポーション。
そして何より、目玉は――
「氷属性・極大魔法スクロール……一回きりだけど、絶対ヤバいやつだろこれ」
説明文にはこう書かれていた。
『広範囲に壊滅的な氷結ダメージを与える』
いや、絶対強い。
初心者が持っていいやつじゃない。
だが――それがいい。
「行くぞ……!」
俺はベッドに横になってVRゴーグルを被り、意識をゲームに接続する。
キャラクターは、既に作成済みだ。魔法も使える前衛、魔法剣士。一人で何でもやれる万能職。器用貧乏なんて意見は、もちろん却下する。
視界が白に染まり――
次の瞬間。
「な、なんで人間が出てくるのよ!?」
「ふざけるな! 召喚はどうなっている!?」
「終わりだ……こんなの、勝てるわけがない……!」
――は?
気づけば俺は、石造りの床の上に立っていた。
ゲームのチュートリアル?
いや、違う。
目の前には、血まみれの男女。
そして――
「■■■■■■■■■■ッ!!」
巨大な咆哮とともに、視界を埋め尽くす“何か”。
黒い甲殻。
鋭い牙。
床を抉るほどの質量。
……どう見ても、初心者向けじゃない。
「おいガキ! なんでそんな装備なんだよ!? レベルは!?」
高そうな鎧を着たニイチャンが、がなり立てて来る。
ログインし立ての俺は、もちろん初期装備のままである。
「レベル?」
言われて、反射的にステータスを確認する。
――レベル1。当然だ。
「……1、です」
「はあああああ!?」
絶叫が飛んだ。
「召喚したのは“上位存在”のはずよ!? なんで初心者なの!?」
「終わりだ……もう終わりだ……!」
パーティーの空気が一気に崩れる。
いやいやいやいや待て。
俺も状況が分からないんだけど?
「下がって!」
その時、一人の少女が俺の前に出た。
銀色の髪。
透き通るような白い肌。
そして、真っ直ぐな瞳。
「違う……この子は“外れ”なんかじゃない……私には分かる!」
え、何それ。
めちゃくちゃな美人なんだけど。
しかも俺のこと庇ってる?
「バカかお前! どう見たって“外れ”だろっ!」
「でも、この子は……!」
言いかけた瞬間、
――ボスの腕が振り下ろされた。
「危ない!」
少女が俺を突き飛ばす。
直後、衝撃。轟音。
石床が砕け、瓦礫が飛び散る。
破片が当たった所が痛い。血も出てる。
やばい。普通に死ぬ。
いやこれゲームだよな? だよな?
……いや、違う。
痛みがある。匂いがある。息が荒い。何より、空気が重い。
これ、現実だ。
「くっ……もう魔力が……!」
少女が膝をつく。
周囲の仲間も限界。
逃げ場なし。
完全に詰み。
――いや。
「……あ」
その時、思い出した。
俺、持ってるじゃん。
“課金アイテム”。
手元に意識を向ける。
インベントリ。
ある。
ちゃんとある。
「これ……使えるのか?」
分からない。
でも――やるしかない。
俺はスクロールを取り出した。
「お、おい何してる!?」
「いいから、離れて!」
叫ぶ。
少女が一瞬だけ俺を見る。
その目に、ほんの少しだけ期待が宿った。
……任せろ。
「――発動!」
スクロールを破る。
圧縮された膨大な呪文が、周囲に撒き散らされる。同時に、収束される魔力。
瞬間。
空気が凍りついた。
視界が、白に染まる。
続いて、
世界そのものが凍結した。
轟音。
氷の奔流がすべてを呑み込み、
巨大なボスを――
粉砕した。
静寂。
誰も動かない。
凍りついた空間の中で、俺だけが立っていた。
「……は?」
「え……?」
戦っていた連中が、呆然と俺を見る。
いや、俺も分かってない。
ただ――
勝った。
それだけは分かる。
少女が、ゆっくりと立ち上がる。
そして、俺の前に来て――
「やっぱり、あなたは“外れ”じゃなかった。名前を教えて? 私はセルティよ」
「え、あ……祭屋、涼真」
「リョウマ……」
その名前を、大事そうに繰り返す。
そして、
「ありがとう。あなたがいなかったら……」
そう言って、少しだけ顔を近づけてきた。
え、ちょっと待って。
距離、近くない?
いやこれ――
(キス来る!?)
心臓が跳ねる。
その瞬間。
視界が歪んだ。
「あ……」
体が、引っ張られる。
「待って――!」
少女が手を伸ばす。
だが、その指先は届かない。
「また……!」
声が途切れる。
そして俺は、
光に呑まれた。
次に目を開けた時、
俺は自分の部屋にいた。
ベッドの上。
現実。
「……は?」
しばらく、動けなかった。
今の、何だ?
ゲームじゃない。
夢でもない。
でも――
あの子の顔だけは、はっきり覚えている。
「……また、呼ぶって言ってたよな」
ぽつりと呟く。
その時。
ふっと、体が浮いた。
「……え?」
床が消える。
重力が消える。
そして――
落ちる。
「うわああああああああああ!?」
視界が、再び白に染まった。
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