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スキル《絶対殺すマン》持ちの俺は、死ねない少女と旅をする  作者: 日並うたたね


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31/31

第31話 いざ、グローリア大陸へ!

港には、朝早くから荷を運ぶ労働者達の姿があった。

馬車便の前では大声を上げて呼び込みをしている者や、慌てて飛び乗る観光客。

サルティアの町は、朝から活気に満ちていた。


小型船や中型船が並ぶ埠頭には、ひと際大きな船が一艇止まっている。


"ナターシャ号"。


グローリア大陸とシルフィーナ大陸間を行き来する大型船のひとつであり、商業船と客船を兼ねている。


船体は黒鉄で補強され、帆は白布に鳥をモチーフにした青い紋章。

船首には女性の胸像をあしらっている。


因みに___

大型船にはみな女性の名前が冠されているが、その理由は不明である。


心地良い潮風を浴びながら、3人は出発の時を迎えていた。


キリム「カーティス様! フルメシアに着いたら必ず........フレイバードを飛ばしてくださいね!」


スピカ「フレイバード? バードということは.......鳥さんですよね?」


カーティス「ああ。遠方にいる者との連絡手段でね。手紙をつけて飛ばせば、目的地へと届けてくれるんだよ」


ほう.......つまり伝書鳩みたいなもんか。

マナポルタなんて便利なものがあるかと思ったら___

こういうところはちゃんとアナログなんだな。


キリム「約束っすよ!? か・な・ら・ず・! っすからね!?」


カーティス「ああ。わかってる」


カーティスはキリムの顔には目を向けず、空を見上げながら答えた。


こんだけ念を押されるってことは、きっと常習犯なんだろうな。

だけどこの様子だと_______

今回も、送る気はないと見た。


ウィル「あ、そういえばこの手形______本当に助かったよ! 正直金がなくて困ってたんだ」


キリム「いえいえ! ボクにとっても_______今回は良い話だったっすからね♪」


キリムは満面の笑みを浮かべている。

結局、昨日カーティスがなにを耳打ちしたのかはわからないままだった。

あれだけ渋ってた手形を出してくれたんだし、かなり良い条件だったんだろうけど........

それにしても、めちゃくちゃ気になるな。


キリム「おふたりとも! サルティアに寄ることがあったら、また声をかけてくださいね! 次は別の美味しいお店を紹介するっすから!」


スピカ「ぜひぜひ♪ 今度は沢山滞在しますからね♪(じゅるり)」


ウィル「また来るよ。その時はよろしくな!」


キリム「はい! では、みなさんお気をつけて! あと........フレイバードを忘れないように!」


そう言い残すと、キリムは協会へと戻って行った。

今は仕事が山積み状態で、すぐにでも仕事に取り掛からないといけないらしい。

昨日の食事の席でも「サルティア支部はホントに人手不足っす!」なんて愚痴ってたしな。


ウィル「ってかさ、キリムってまだ子供だよな? それで支部を任されてるって、相当優秀なのか?」


カーティス「優秀であることは間違いないが____子供と言うにはいささか歳が行き過ぎているね」

「確か、25歳とかだったはずだよ?」


ウィル「え!? 俺より年上!? ってか、あれでカーティスと2つしか違わないのかよ!」


マジかよ。

俺、昨日お子様扱いしてジュースばっかり勧めてたわ。


スピカ「まあ、ウィルさんはカーティスさんにもかなりフランクですからね! 気にするのも今更な気はしますけど」


ウィル「うっ......」


カーティス「ふふ。私は気にしていないがね」


なんとも懐が深い。

なんか、ホントごめん。


カーティス「さて、ここからはしばらく船旅になる。時間は沢山あるからね___君たちがいた世界のこと、色々と聞かせてもらうよ」


スピカ「もちろんです! ああ、でも.......私は行動範囲がひじょぉぉぉぉに狭かったので! そこはウィルさんに聞いた方がいいかもしれないですね!」


ウィル「俺だって___さほど変わらない気がするが」


学校と家との行き来。

コンビニとの行き来。

......以上。


カーティス「ふふ。どんな情報でも役に立つさ。というよりも、単純に興味がある。ここ以外に別の世界があるのなら______ぜひ一度訪れてみたい」


スピカ「一度死んだら行けるかもしれないですよ?」


ウィル「おい! 変なこと勧めるなよ!」


この子は、ケロッとした顔でとんでもないこと言うな。


カーティス「なるほど! それもいいかもしれないね」


ウィル「おいおい.......」


そこ乗っかるのかよ。

薄々気が付いてはいたが____

実はカーティスも結構なボケキャラなんじゃないのか?


カーティス「アラネスという女神にも会ってみたいしね。異世界転生........とても面白そうだ」


ウィル「そんなにいいもんじゃなかったぜ? 見た目とか自分の能力とか事前に決められるんだけどさ______ほとんど自分で選べなかったし! しかも5分で全部決めろとか.......めちゃくちゃだったよな?」


俺が尋ねると、スピカは首を傾げて不思議そうな顔をした。


スピカ「え? 私の時はそんなことなかったですよ?」


ウィル「え!? そうなのか!?」


スピカ「はい。ユニークスキル以外は全部自分で決めましたし______時間制限もありませんでした」


ウィル「マジかよ!? あの女神.......不公平過ぎるだろ! 俺だって、時間があれば見た目とか色々もっとこだわりたかったのに_______結局前世と全然変わらんし!」


スピカ「見た目は私もそのままですよ? なんか他の顔とかあまりイメージができなかったんで。あ、でも! 髪色だけは水色にしましたけど♪」


じゃあ、スピカはもともと美少女だったのか。

もし、この見た目で普通に生活できてたなら____

きっと、周りの奴らは放っておかなかっただろうな。


カーティス「なぜ.......ウィルとスピカでそれほど違いがあるのだろうね?」


カーティスはなにやら納得のいかない表情を浮かべている。

まあ、そりゃ俺だって気にはなるけど。


ウィル「わかんねぇけど.......男女差別的なやつ? なんじゃねぇの」


カーティス「人を異世界へと転生させる________想像を絶する力だ。それほどの存在が、そんな理由で人を不平等に扱うだろうか?」


スピカ「もしかして______ウィルさん、女神さまに何か失礼なことしちゃったんじゃあないですか?」


ウィル「いやいや!」


急に変なところに連れてこられたと思ったら、呪いのスキル付きで異世界に飛ばされて________

どう考えても、失礼なのはあいつだろ!


カーティス「まあいい。こんな話をしていても、結局答えはでないしね」

「それよりウィル。君のスキルのことだが______これまでの状況を整理すると、発動条件がある適度は絞れそうだ」


ウィル「え!? 本当か!?」


カーティス「ああ。厄介なことには変わりないが、注意すればある程度は抑えられるだろう。詳しい話は船内でしようか」


スピカ「良かったですね! これで私も刺されずに済みます♪」


ウィル「う.......すまん」


死なないとは言え、痛みは感じるんだもんな。

2回も刺しちゃって、ホントにすまん.......


でも、対処法がわかるのはありがたい。

スピカだったらまだなんとかなるが(反省はしてます)

他の奴だと取り返しがつかないしな。



カーン カーン カーン


「グローリア、フルメシア行き! まもなく出航だよー!!」


出発の鐘が鳴り響く。

それに合わせるかのように、数名の観光客が慌てて船へと駆け込んだ。


カーティス「よし。 では、そろそろ_______」


スピカ「はい! フルメシア.........美味しいものが沢山あるといいなぁ♪」


ウィル「よし_______じゃあ行くか! グローリア大陸へ!」


こうして、異世界に転生した俺_________

スキル《絶対殺すマン》を持つウィルは、同じ転生者で"不死のスキル"を持つスピカ、大いなる知恵を持つ魔法使いカーティスと共に、グローリア大陸へと旅立った。


ここに来たばっかの頃は、正直絶望しかなかった。

訳の分からないスキルに振り回されて、「2度目の人生最悪だろ!」なんて________


でも、今は純粋にここへ来れて良かったと思ってる。


同じ境遇を持つスピカに、切れ者のカーティス。

退屈だった前世とは違って、今は大切な仲間がいる。


この先、どんな旅路になるかはわからないけど_______


大丈夫。


きっと、乗り越えていけるさ。





***






ユークラテス大陸から更に北

龍の住まう孤島______


「着いていたのか」


「ハイ。ズットネムッテオラレマシタネ」


「ああ。夢を_______見ていてな。遠い、昔の夢を......」

「今の俺にはもう........関係のないものだがな」


ゆっくりと歩き出すと、彼は遥か南の方角を見つめた。


「しばらくしたらここを発つ」


「タイガンヲ......ハタシニイクノデスカ?」


「まだだ。だが_______今回で全てを終わらせるためにも、不穏分子は早めに消しておきたい」


彼は拳を握り締めた。

爪は掌に食い込み、紫色の血が地面へと滴り落ちていく。


「これで______やっと戻れる」

「待っていろ.......」


その顔に憎悪を滲ませ、最初の転生者は再び動き出した。

1000年という______


短くも、長い時を経て。



第1章 完



今回掲載した「いざ、グローリア大陸へ!」で、第1章が完結となります。

ここまで読んで下さった方々、本当にありがとうございました。


思えば、執筆活動を始めたのが今年の6月。

短期間で多くの作品を書いてきましたが、今回の《絶対殺すマン》はダントツで一番長い作品になります。


しかもまだ1章........

序盤も序盤なので、いつ終わるのかが自分でも想像つきません。

大筋と最終回の構想はできていますが、ここから更に肉付けしていくとなるとかなり壮大なものになると思います。


第2章についてのお話を。

掲載時期は未定ですが、大まかな流れは考えているのでそこまで間が空くことはないと思います。

新しい大陸で早速トラブルに巻き込まれたり、新キャラに振り回されたり。

そんなお話が展開される予定です(あくまで予定です笑)


良ければ、ブックマークをして開始をお待ちください。

そして、ここまで読んで「おもしろいじゃない!」と思った方は、そっと評価していただけると嬉しいです。なによりも力になります。


改めて、ここまで読んで下さりありがとうございました。

みなさんがこの作品を見つけてくれたから、ここまで続けることができました。

パワーアップして帰ってくるので、その時までどうかお元気で。

それでは、また!








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